秋の行楽シーズンに入り、さらに「エール」効果もあり、多くの方に予科練平和記念館にお越しいただいております。また、校外学習などにより10月下旬から11月いっぱいまで小中高校からの多くの予約を頂いておりますし、観光事業者の方からは修学旅行時の見学場所としての問い合わせなども頂いているところです。
校外学習ですが、学年によってその学習の種別や内容も異なっているようです。遠足や宿泊学習、修学旅行はもちろんの事、自然観察や動植物の採取、公共施設等への見学学習、田植えや稲刈りといった生産活動体験など、様々な校外学習が行われています。
私たちの子供のころも、小学校の周辺にあった雑木林や霞ヶ浦に、授業の一環として担任の先生に連れられて、様々な自然に触れて学習をした記憶があります。そして、そのような授業のある日は、いつも楽しみにしていたものです。
さて、優秀な航空機搭乗員を養成するために設けられた予科練習生制度、14歳半から17歳程度の少年達は日々体力の訓練はもとより航空機搭乗員に必要な基礎的な教育を受けていました。航空術、砲術、通信術、航海術等の軍事学(兵学)はもとより、国語、代数、歴史、科学、物理等の普通学といった一般の学校と同じ科目もありました。練習生は朝から晩まで隊内で厳しい訓練や教育を受けていたのです。
そんな予科練習生も、季節ごとや訓練の進度ごとに様々な行事が組み込まれていました。隊内生活が基本の練習生にとっては、楽しみでもあり、気持ちの引き締まるものでもあったようです。
年間の行事の中で「行軍」という行事がありましたこれは、予科練習生が集団で外出し、名所旧跡などをまわるもので、土浦海軍航空隊では土浦市内をはじめ、筑波山、水戸、東京、鎌倉、鹿島、香取といった所に行軍行事がありました。また、1月には「兎狩り行軍」などもあり、うさぎがとれなくても、練習生たちは温かい汁粉や豚汁が楽しみであったようです。それ以外にも、陸上戦闘の実習を行うため神奈川県あった演習場での「野外演習」や実際の軍艦に乗りこんで実習を行う「艦務実習」、さらには、昭和11年まで続いた「幕営生活」など、隊外での実習や訓練なども行われていました。これも今でいう「校外学習」であったのだと思います。学校外での授業、隊外での実習訓練、当時と今では教育の視点が異なっているのかもしれませんが、共通するのは今の児童生徒も当時の予科練習生も「校外学習」を楽しみにしていたという事です。
今年は、新型コロナウイルス感染症予防により、学校も臨時休校が長く続いたことによる、学校行事の中止や延期、学習時間の変更等により児童生徒さん、そして学校の先生方には大きな負担になっているのではないでしょうか。そのような中で当記念館を学習の場として選んで頂きまして誠にありがとうございます。入館に当たって多くの制約がありご不便をおかけしますが、児童生徒さんの安全や見学方法等を熱心に打合わせに来ていただく先生もおり、大変ありがたく思っております。予科練平和記念館といたしましても、楽しみにして来られる児童生徒さんのために、万全の態勢でお待ちしております。