みなさんこんにちは。
今年の梅雨は雨が多いと発表されましたが、もうその時期かなと
思うような今日のお天気です。
しっとりとした空気で、かえるたちが大喜びしている姿が目に浮びます。
さて先日、当館に埼玉県草加市から俳句を詠まれる方々がご来館されました。
せっかくですので、と皆さんに感想を詠んでいただけないかお願いしたところ、
こころよく素晴らしい句をたくさん作って送ってくださいました。
全部ご紹介したいところですが、本日は館長セレクトでお送りいたします。
○ 汗滲む赤トンボ機の操縦悍 樋口 素秋様
赤トンボとは、予科練習生たちが卒業後に飛行訓練で乗る練習機のことです。
オレンジ色に塗られていたため「赤トンボ」の愛称で呼ばれました。
骨組みが木材とクロームモリブデン、まわりには塗装した絹を貼った軽い機体です。
操縦悍も館内に展示してありますが、やはり木材とアルミでできています。
練習生たちは、どんな思いでこの操縦悍を握っていたのでしょうか。
○ 予科練の友と競いて夏空へ 小俣 操様
当館の入り口を入ってすぐのところに、予科練習生たちが青空のもとで綱引きをしている
大きな写真があります。
リアリズム写真家 土門拳が昭和19(1944)年夏に撮影した予科練習生の写真です。
彼らの訓練生活は、すべてが競争でした。
「負けじ魂」と言われる闘争心は、こうしたところから積み上げられていきます。
○ 予科練の眠れぬ夜のハンモック 徳冨 美智子様
予科練習生たちは全国から集まっていましたので、隊内の兵舎で
寄宿生活をしながら訓練を受けていました。
彼らが唯一独りになれる場所が、兵舎に吊ったハンモック。
夜ともなると、ハンモックの中で故郷を思い出す練習生がいたかもしれません。
○ 予科練へ差し入れしたき柏餅 鈴木 春江様
15歳~17・8歳の予科練習生たちにとって、食べることは大きな楽しみでした。
育ち盛りの上訓練の毎日で、部活をやっている現在の中・高生と同じように
よく食べたことでしょう。
展示室の中には、前述の土門拳が、同期生のもとへたくさんの大福を運んでいる
練習生の姿を写した写真があります。
早く食べたくて食べたくて、のどからにゅーっと伸びる手が見えてきそうな
そんな表情をしています。
もし、彼らに柏餅を差し入れることができたとしたら、
どんな笑顔がかえってくるでしょうか。
俳句の会の皆様、予科練の風景が見えてくるような素晴らしい句をありがとうございました。
またのお越しをお待ち申し上げております。
皆様もお越しの際にはぜひ一句。 字余り。