夏至を過ぎました。
もう昼間が短くなり始めています。こんなことを言えばペシミスティックに聞こえるかもしれませんが、冬至から半年の経過を思うと、この半年を無事に生きられたことに安堵しながらも、なにか寂しさを感じてしまいます。
そんな低調な気持ちを吹っ飛ばしてくれるようなギンギラギンの夏を望んでもみますが、今年はエルニーニョ現象の影響で大雨・冷夏の予報が出ているようです。
これからの夏、これからの半年に一体どのような物語が生まれるのでしょうか。
さて、予科練平和記念館エントランスにはカメラが設置されているのですが、平成24年からカメラ上部に燕が巣を作り、雛が巣立つようになっています。このブログでも何度かご紹介しました。
今年も燕が巣を作り、雛が生まれています。3期生、と言ったところでしょうか。
実は昨年の巣立ち後「翌年のために」と、空になった巣を大事に保存してきたのですが、人間の勝手な好意に反して燕は卵を産もうとしませんでした。
そんなこんなで気を揉んでいたある嵐の翌日、巣が綺麗に取れているのを発見しました。風雨のいたずらか、あるいは悪戯小僧の愛嬌か、とにかくそれが吉となったのでした。
今回の主役となったつがいはせっせと泥を積み重ね、あっと言う間に愛の巣を完成させました。
その後しばらくして親鳥がご飯に行っているとき巣を覗いてみると、今年はまず4個の卵が産まれていました。昨年はやはり4個の卵から3羽の雛がかえりましたので、この燕はきっと同じ血筋だと思っていました。
人が近づいても、雀がいたずらに来ても親鳥が絶対に動じない様子が6月始め頃に見られたので、覗く機会を待ち続けることある一瞬、親鳥が巣を離れた隙に覗いてみたら毛がない「ET(古い?)」のような雛が4羽眠っており、その後ろに新しく2個の卵が産まれていたのでした。
眠っている雛は、茄子の丸漬けが小さい容器にきちんと収められている、まるでそんな趣でした。可愛いと言うより、生命力、野性味そのものを感じました。
その時、親鳥の甲高い警告が鳴り響いていたのは言うまでもありません。ごめんなさい。
その親鳥が頻繁に巣を離れ、餌を運んで来るようになったのが6月20日過ぎでしょうか。薄い黄色のくちばしが5個並んでいたので、今年は5羽がかえったのだと分かりました。写真の左奥に写っているのが5男坊です。
やはり、先に生まれた4羽より体が小さく、どうしても兄貴(姉?)たちに押しのけられてしまうようでした。
生き延びられるか心配しましたが、今日になると随分逞しくなり、兄貴たちの背中に乗りかかって親から餌をもらっている様子を目にすることが出来ました。一安心です。
予科練平和記念館カメラでは燕の産卵は年に1度のようです。今年の吉例にならって、雛が巣立った後は綺麗にお掃除して、来年の新居建設に協力をしようかと考えています。
温泉好きの方はご存じだと思いますが、新潟県妙高山麓に「燕温泉」があります。妙高山頂(2,446m)が手の届く所に見える、しかし道半ばの標高約1,100mくらいにある閑静な温泉街です。場所によって若干の違いはありますが、白濁の硫黄泉で、疲労回復には効果てきめんの実にありがたい温泉です。
燕温泉という名の由来は、どうも燕が多いからのようですが、本当にスイスイと軽やかに舞っています。極楽に住む鳳凰は甘酒を飲んで身を美しく保つと言われますが、燕温泉の燕たちはよい温泉に浸かって、またちょっと一杯舐めながら美を保っているかのようです。
燕に恵まれた温泉が「燕温泉」であるなら、燕の故郷となった予科練平和記念館は何と名付けられるべきでしょう?「予科練燕」が誇りに思える愛称を考えていただけないでしょうか。