青や、緑や、黄色や、白

5月 8th, 2013

おはようございます。こんにちは。もしくは、こんばんは。

五月に入り一週間が過ぎました。ゴールデンウイークも終わり、みなさまは行楽シーズンも一段落と言ったところでしょうか。

 

ところで、五月は旧暦で皐月(さつき)とも呼ばれますが、旧くは月の名前は、それ一つではありませんでした。

今でこそ呼ぶ人は居なくなってしまいましたが、五月で言えば、橘月(たちばなづき)や菖蒲月(あやめづき)など季節の草花を冠した呼び方や、季節ごとの風景や行事からとられた名前など、さまざまな呼び名があります。

 

風景で言えば、五月雨月(さみだれづき)。旧暦では、五月はすでに梅雨でした。

 

行事から取られた別名は、予科練平和記念館の周りでも見られる、ある光景から取られたものもあるのですが、分かりますでしょうか。

クイズと言う程の話でもありませんが、御存知ない方は、下の写真をヒントに頭をひねらせてみてください。

 

霞ヶ浦沿いを歩いていれば、今の時期ならば自然と目に入る光景だと思います。

 

 

 

 

さて、正解の発表です。

答えは「田植え」。

別名には、稲苗月(いななえづき)、早苗月(さなえづき)、田草月(たぐさづき)と、一つどころか複数の呼び方があり、日本人は、農耕の民族なのだなと言うのがこんなところからも感じてしまいます。

…予科練平和記念館の周囲では、れんこん田ばかりで、クイズとしては、少し意地悪でしたかね。

 

ちなみに、「田植えの月があるなら、稲刈りの月もあるの?」と思われた方、ちゃんとあります。

9月の別名の一つは「稲刈月」。

分かりやすい。

 

青々とした苗が、黄色の稲穂に変わり、白い御飯に変わるのが楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

  

さて、お米の話を出しましたが、予科練生はどういったものを食べていたのでしょうか。

基本的に御飯は麦飯。小麦ではなく大麦です。白い御飯は士官でないと食べられなかったそうです。

それに味噌汁と副菜がつくのが基本の食事で、時には霞ヶ浦のわかさぎ等も出ましたが、日によっては麦飯、味噌汁、漬物を3回と言った日もあったようです。

当館で調査委員として活動されている元予科練生の方にお聞きしてみると、ラッキョウの漬物がよくでていたとのこと。

量については、10代の食べ盛りには、まったく足りなかったようで、予科練生の書かれた書籍や、当館で展示している手紙の中に、食べ物のことが所々に出てきます。確かに、今の食卓と比べてみると、おかずの種類が少ないように思います。

 外出の出来る日は、甘いものが食べられるのが楽しみの一つだったことも書かれており、もし当館にお越しの際には、そんな文章や展示をさがしてみてください。

 

もしかしたら、予科練生も外出帰りに、霞ヶ浦や田植えの苗を見て、秋のお米を想像してお腹をすかせていたかもしれませんね。

なんとはなしに当時の予科練の光景を想像すると、残っている白黒の写真の印象が強いせいか、想像の中まで単色になってしまうかもしれませんが、そういった身近な「食」や「色」を通して、予科練生の見た色も同じ色であったのかなと想像してみれば、浮かぶ姿が鮮やかになりそうです。

そうなれば、予科練生がまた身近に感じられるかもしれません。

空や霞ヶ浦、苗や稲や、お米の色はそうは変わらないでしょうから。

 

 

 先日、特別展の準備と勉強を兼ねて、東京に行ってまいりました。

まずは 千代田区の「靖国神社」へ参拝し、併設されている「遊就館」を観覧。

「靖国神社」は新聞、テレビ等でも取り上げられますので御存知かとは思いますが、戦争で亡くなられた御霊をお祀りする神社で、「遊就館」は、その靖国神社の祭神ゆかりの資料や、戦没者、軍事関係のものを展示されている施設です。

現在「遊就館」では常設展と共に、特別展「大東亜戦争七十年展Ⅱ」が開催されております。

史実に基づいて、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦など、日本軍の大きな戦闘を一つの単位にブースが分かれて展示がされており、展示の内容、展示の仕方ともに大変勉強させていただきました。

特別展は平成25年12月8日(日)までと長く開催しておりますので、皆様もいかがでしょうか。

 

 靖国神社 遊就館

http://www.yasukuni.jp/~yusyukan/

 

次は、同じ千代田区の「しょうけい館」。

前述の「靖国神社」から歩いて数分、地下鉄九段下駅のすぐ近くにある資料館です。

こちらの館では戦傷病者の、書籍、資料、証言を保存、展示をしており、結核や赤痢などの病気、義眼や義手を使わざる得ないような怪我。そういったものの証言映像や、実物資料に写真、手記などが展示されていました。

あまりテレビ等では見られない、戦争の一面を見ることができます。

オフィスビルの一角で、少し見つけにくいかもしれませんので、行かれる方はご注意を。観覧は無料です。

 

しょうけい館 戦傷病者資料館

http://www.shokeikan.go.jp/index.html

 

最後は新宿都庁前、新宿住友ビル48階にある「平和祈念展示資料館」を観覧。

こちらの館は、旧軍の兵士(特に恩給がもらえなかった方)、戦後シベリア等での強制抑留者、満州等からの引揚者の労苦を伝えるための施設で、展示もそれら三つのテーマごとに3室にわかれています。人形を使ったジオラマもあり、そこは一瞬、本当に人がいるかと錯覚するほどでした。

観覧は無料で、展示は映像資料や実物大の人形、解説資料にマンガを使い、企画ではゴールデンウイークにはアニメの声優さんの読み語りを行うなどして、分かりやすいものとなっています。

こちらもご紹介しておきます。

 

平和祈念展示資料館

http://www.heiwakinen.jp/