特別展「回天」へのいざない①

6月 22nd, 2012

 私はうっかりして、夏至を迎えたと自覚せずにその1日を過ごしてしまいました。なんと、もう日が短くなり始めるのです。これからますます暑くなっていきますが、暑かろうが寒かろうが夕方の日の長さに安心感を覚える私にとって、夏至こそが一大事です。寂しくなります。

 

 しかし、予科練にふさわしい青空が広がる夏にむけて、予科練平和記念館では特別展が始まります。

 ホームページでは先行して広報を始めていますが、今夏7/21(土)から10/28(日)まで、特別展「回天」を開催いたします。

 「回天」展を開催する動機ですが、2006年(平成18年)にTBS系列の2時間ドラマとして放送された「僕たちの戦争」という番組があり(主演:森山未來)、その撮影に使われ、後に阿見町に寄贈された実物大の回天一型模型を実物大資料として見ていただこうということが一つあります。芸術作品もそうですが、物の大きさ、色、形には必ず意味があります。特攻兵器として誕生した回天の意味を、実物大資料から実感していただきたいと考えています。

 また、戦後まで予科練教育の中心地であった土浦海軍航空隊において訓練を受けていた甲飛13期生(昭和18年12月入隊者)からも回天搭乗員が選抜され戦死者も数えており、予科練というものについても再考していただく機会になると考えています。

 以上の理由を主にして、戦争、特攻について改めて考え、平和の大切さや命の尊さを皆さんと一緒に考え直す機会とすることを特別展開催の主旨としています。

 機会が許される限り、回天についてご紹介していきます。

 今回は、回天の故郷、とも言える山口県周南市(旧徳山市)や大津島についてご紹介します。

 私が展覧会開催のため回天記念館を訪問したのが4月、桜が満開の時でした。

 

 写真は私が泊まったホテルから見える徳山の様子です。稜線が美しい山をもつ町です。かつて地理の授業で習ったように、新幹線に乗り徳山に近づくと大きな石油化学コンビナートが海岸線に立ち並び、その規模の大きさからも重工業の町としての歴史を感じました。海を控えた町でもあり、美味しい魚を売りにしている食事処・居酒屋が多い町でもありました。

 私が島へ渡った日は快晴で、暖かく、見晴らしがよい日でした。

 驚いたのは、島の海の美しさです。透明なばかりでなく青々と透き通り、まるで南国のような瀬戸内の海でした。この美しさは昔から変わらないものだろう、と私は思いました。京都の夕焼け空の美しさが清少納言、紫式部の時代と変わらないであろうように。このような美しい海で、特攻「回天」の訓練が行われていたのかと思うと、戦争の残酷さを改めて考えさせられました。

 島には桜が咲き誇り、人口が少ないこともありますがたいへん静かなところで、「ここは回天の故郷なんです」という回天記念館松本紀是館長のお話が何より実感できました。

 茨城からは遠い山口大津島ですが、その風景を見るだけでも、是非とも訪れてほしい土地だと私は思っています。