再会の日

5月 29th, 2012

みなさんこんにちは。

学芸員Wです。

5月最終週にはいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

気温が上がって雨も降るので、植物の成長が早いですね。

こんもりあおあおとした木が、とても美しく見えます。

若草色 若芽色 若菜色 若苗色 草色 苔(こけ)色 松葉色 萌黄(もえぎ) 柳色・・・

日本の緑には植物にちなんだたくさんの美しい名前がありますね。

数値的なものさしではなく、感覚に密着した色の分類の美しさを感じて、

日本の美しい自然に心から感謝したくなります。

 

 

予科練平和記念館のまわりの芝生も青々としてきました。

芝に混じって、あちらこちらにかわいらしい“ばんざい”が見えます。

 

 

気をつけて見るとそこかしこにいろいろ生えていますが、

シラスに混じっている小さいタコとかえびとかを見つけるような楽しさに似ている気がします。

去年はベビーもみじの成長を楽しみにしていたら芝と一緒に刈られてしまったので、

今年は刈られる前にどこかに移植しようと考えています。

 

最近Wにもお気に入りの緑があります。

 

女優の宮崎あおいさんがイメージキャラクターをつとめる服飾ブランド

「earth music&ecology」が行っている「クローバープロジェクト」で、

募金をするといただけます。

 

これは、被災地支援のボランティア組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の一つ

「ミシンでお仕事プロジェクト」に連携した活動で、南三陸町のお母さんたちの

自立支援をささえるものです。

 

クローバーは全部で5色あるそうですので、

見かけたときには、ご協力いただければ嬉しいです。

 

ミシンでお仕事プロジェクトについては、下記のページにまとまって

おりますので、どうぞご覧ください。

 

 ふんばろう東日本支援プロジェクト ミシンでお仕事プロジェクト

http://wallpaper.fumbaro.org/machine

 

 

さて、先日27日(日)第45回予科練戦没者慰霊祭が

おとなりの雄飛園で行われました。

お天気もよく暖かい一日でしたので、平和を願い故人に想いを馳せる方、

天国からかつての同期生や家族に会いにいらした予科練生のどちらにも

穏やかにすごせたよい一日だったのではないでしょうか。

 

予科練平和記念館にも、慰霊祭にご出席の元予科練生がたくさんおみえに

なりました。

顔見知りの元予科練の方がわざわざあいさつに来てくださったりして、私個人的にも

嬉しい再会の一日となりました。

なかでもスペシャルな方がこちら!

 

 

伝説の予科練生。1期生の伊藤進さんです。

山口県から美しい奥様とご一緒にお越しくださいました。

 

全身から発せられるエネルギーがお若くて、とてもご年齢(98歳)には思えません。

先日もオーストラリアの撮影隊が自宅に来たそうで、錦帯橋まで行って

ロケしていらしたそうです。すごい!!

現在もご自分の会社の会長さんをなさっておられて、

先ごろ豪華客船「飛鳥Ⅱ」でのオセアニアクルーズから

お帰りになったばかりです。

 

伊藤さんには、去年、予科練平和記念館で毎年行っている戦争体験者のインタビューのために

ご自宅におうかがいしたことが縁でお会いすることができました。

伊藤さんのことを考えると、いつも「希望」ということばが思い浮かびます。

人間の可能性を感じるからです。

 

年齢を重ねると、どうしても人間は柔軟性を失いがちになるように思います。

体にしても考え方にしても。

思うようにはいかない人生を必死に生きているうちに、ほとんどの人が

いつしかそうなっていくのかもしれません。

でも、伊藤さんは、今では考えられないような様々な矛盾や理不尽もあったであろう

戦前~戦後の激動の時代を生き抜いて、

不況下でかじ取りが難しいと思われる会社経営をこなし、

なお穏やかに笑っていらっしゃいます。

器の大きい人というのは、このような方をいうのだなと実感いたします。

 

若輩者の私Wですが、「つまらない大人にはならない」ということを自分との約束としています。

(文字にするとなんだか偉そうですね・・・あまり大したことではないのですが・・・)

伊藤さんのように、人生を能動的に生きていらっしゃる方は本当に心から尊敬いたします。

 

伊藤さんのところには毎日お客様がいらっしゃるとのことで、お忙しい毎日だと思います。

どうぞご自愛くださり、またお会いできますことをファンの一人として楽しみにいたしております。

 

 

再会もあれば、新しい出会いもあります。

記念館の入口にある防犯カメラの上に、つばめが巣をつくりました。

おとうさんとおかあさんが巣材を運んできて、あっという間に立派な巣ができあがりました。

人が通るたびにどこかに飛んでいってしまうので、

つばめにとってあまり落ち着ける環境ではないと思うのですが、

無事にひなが誕生してくれることを祈っています。

 

 

ご来館の際には、みなさんもどうぞあたたかく見守っていただければ幸いです。

 

また、昨日5月28日(月)18:10~NHK首都圏ネットワークで、

現在館内でご覧いただけます第5回所蔵資料展「兄を追って」展の

レポートが放送されました。

今日はそのお問い合わせも多く、ご来館のお客様からも、「見たよ」のお声を

たくさんいただいております。

NHKさんの影響はとても大きいですね。

「兄を追って」展は、6月24日(日)まで、常設展観覧チケットでご覧いただけます。

こちらもどうぞご覧ください。お待ちいたしております。

 

第5回所蔵資料展

https://www.yokaren-heiwa.jp/05tenrankai/03zosyoten.html