先日の10月3日(日)、すばらしい秋晴れの中、
(財)海原会主催の第43回予科練戦没者慰霊祭が挙行され、
招待者として参加させて頂きました。
参列された方々は、主催者の他、
元予科練習生や遺族の方々及び自衛隊の関係者など、
何れも戦没者と縁(ゆかり)のある人たちです。
主催者や参列された元予科練習生は、
皆80歳は越えているはずですが、
軍隊で鍛えあげられた体は今も健在で、
ご高齢とは思えぬ立ち振る舞いに、感心するばかりでした。
戦後育ちの我々のような者とは違う、芯の強さを感じました。
式典は、「若鷲の歌」を合唱した後、
当時をしのばせる飛行機が上空を2度旋回し、会場をもりあげました。
大空に憧れた少年たちが見上げた空を、
当時と同じように眺める元予科練習生の横顔は、
少年のような眼差しに戻り、
大志を抱く姿に戻っていたように写りました。
私がこの式典で最も印象に残ったのは、
遺族の代表挨拶で、
「今の社会は平和であるが、何かが違う、
亡くなられた方々には、現在の社会はどう写っているのでしょう。」
とおっしゃられたことでした。
皆さんは、どう思われますか?
家族のため、祖国のためと亡くなった方々に、
胸を張って今の社会を誇れるでしょうか?
そして、その遺族に顔向けができるでしょうか?
私の年齢の半分にも満たない少年たちが、
死と向き合い戦地におもむく境地など想像もできませんし、
その家族の心情など想像するだけで、胸が痛くなります。
この戦争を知らない我々は、
この戦争からもっとたくさんのことを学び、
平和であることのありがたさをもっと学ぶべきだと改めて感じました。
戦争でなくても人を殺めてしまうような世の中でなく、
本当の平和な社会が訪れるよう祈願して、
献花させていただきました。
これからも日本を背負っていく私たちを、
彼らはずっと見守ってくれることでしょう、
彼らに見放されぬ様、精進せねばなりません。
式典は、最後に参列者全員で、
不戦と核の撲滅を祈り、閉会しました。
元予科練生の皆さんは、
来年再会することを誓い合い散会しました。
その姿は、とても清々しく、輝いていました。
また、来年もこの少年たちと会いたいとものだと思いました。
最後に、
この慰霊祭の準備から開催までお骨折り下さいました、
(財)海原会及び陸上自衛隊土浦駐屯地の皆様のご健康でのご活躍を、
心からお祈り申し上げます。
平成22年10月8日
館長 糸賀富士夫