来る11/3(木・文化の日)、元予科練生のお話会を開催します。
今回、講演者を務めていただくのは池田龍雄 氏です。
池田様は元甲種13期生で、83歳になった現在もご活躍中の現代美術作家です。全国の有名な美術館に作品が買い上げられ展示されている、たいへん著名な画家でいらっしゃいます。
池田様は東京にお住まいですが、先週、お話会の打合せもかねて予科練平和記念館にお出でいただきました。
土浦駅の改札口で待ち合わせご挨拶させていただきましたが、かくしゃくとしていらっしゃいました。予科練生としてかつて厳しく鍛えられた方々を見て私がいつも驚くことは、背筋がピンと伸びて頭脳も明晰、とにかくお若くていらっしゃることです。池田様も年齢を感じさせないお元気さ、若さをお持ちです。土浦駅の長い通路、そして階段をすたすたと歩かれ、私は度肝を抜かれました。でも、池田様はそのようなことで驚く私をかえって意外にお思いかもしれません。
制作、展覧会とお忙しい池田様にとって、土浦・阿見へのご訪問は久しぶりだったとのこと。最後は霞ヶ浦海軍航空隊で終戦をお迎えになった池田様には土浦、阿見は思い出の地と言えるようです。土浦駅周辺の変容ぶり、阿見までの国道125号線沿いの変容ぶりには感慨を持たれたようでした。「私はこの道を歩いたんだよ」とおっしゃっていました。
記念館に到着後、館内を見学いただき、お話会の打合せをした後、私は昼食をご一緒させていただきました。二人で同じ丼を食べたのですが、池田様はよくお食べにもなります。まだ若年の私にも少々多めの量だった食事を、池田様も平らげてしまわれました。また私は驚きました。現在も特に持病をお持ちではなく、美味しく食事をされているとのことでした。「でも、習慣で朝はパンなんだ」とお話になりながら「80歳を越えてきたので、いつ何が身に起こるか分からないと考えるようになりました」と言うお言葉も、にわかには信じがたいような目前のお元気さに、私はただただ脱帽です。元予科練生、そして芸術家がもつ優れたバイタリティは、私の憧れと言っても過言ではありません。
池田様は終戦の年、昭和20年に、霞ヶ浦海軍航空隊にて特攻の訓練を受けておられました。6月10日の阿見大空襲も経験され、鹿島灘方面への特攻命令を7月末頃に受けるものの出撃中止。8月15日、17歳の誕生日に終戦をお迎えになり、生まれ故郷の九州へ汽車でお帰りになったそうです。途中、惨状も生々しい広島の光景も目撃されたとのこと。そして戦後、師範学校に入学するも、元下士官であったがためGHQの方針により退学を余儀なくされ画家の道へ進まれました。岡本太郎、安部公房など超一流の芸術家と交わりながら前衛芸術の道を探求し続けてきた池田氏です。11/3のお話会では、予科練での体験、またその体験が人生でどのように生かされたか、たいへん貴重なお話をうかがえると思います。とても楽しみです。
私も人の親となってから、自身の来し方を振り返り、人の恩や歩んできた時間の重みなどを改めて考えるようになりました。厳しい逆境にあっても奮起し、自分の人生を切り開いてこられた池田様から、私も大いに学びたいと思っています。
皆様におかれましてもどうぞ足をお運びいただき、貴重な体験談に耳を傾ける文化の日にしていただきたいと希望いたします。
皆様のご来館を心よりお待ちしております。
「私にとって予科練とは」
時間 14時~15時(予定)
場所 予科練平和記念館20世紀ホール
※ 観覧料が必要となります