皆様こんにちは。学芸員Yです。
9月に入り、当館がある茨城県阿見町はぐっと涼しくなりました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、予科練平和記念館は
今年5月から臨時休館を継続しています。
本来であれば、特に8月は終戦記念日があることもあって、多くの皆様が
戦時の歴史に関心をお持ちくださる時期なのですが、
残念ながら今年は開館が難しい状況でした。
ですが、臨時休館中だからこそできたこともたくさんあります。
状況に合わせてその時にできることを精一杯やっていくしかないのかもしれないし、
その中で、今までとは違ったよいやり方やアイデアがでてくるのかもしれないなと思っています。
当館でも、これを機に動画の配信やバーチャルツアーなど、
もっとリモートでみなさんとつながることができる企画もできたらよいなと
思っている一方で、そもそもの力量不足や人員不足などの
現実と理想のはざまで、結局は目の前の仕事をこなすのに精一杯になってしまったり。
そんな中ですが、ブログを活用して閉館中の状況をお伝えすることでしたら
すぐにできるかなと思い、
今回は臨時休館中の現在、館内ではどんなことをしているか、をご紹介してみたいと思います。
休館中の館内では、普段はなかなかできないお仕事をしています。
その一つが資料のクリーニングです。
写真は、1939(昭和14)年3月1日に発行された『画報躍進之日本』という雑誌です。
きれいなカラーの月刊誌で、愛読者用なのか、1年分をまとめて綴っておける
オリジナル表紙がついています。
クリーニングしてくださったTさん曰く「元祖〇ィアゴス〇ィーニですね!」
はい、そんな感じです!
阿見町内の古い蔵から複数冊まとまって見つかったもので、かなりほこりをまとっています。
虫やネズミによる食害も多く、カビが生えた跡も見られますので、
なかなかハードな状態です。
ここから1ページ1ページ丁寧に状態を確認しながら刷毛をかけていきます。
根気のいる作業ですが、資料を末永く保管してくためには
必ずやらなければならない大切な作業です。
本誌のページをめくると、当時の雰囲気がよく伝わってきます。
“空から見たサハラ大砂漠” 異国情緒あふれます。
“昭和の大横綱”双葉山の記事もありました。
双葉山関は土浦海軍航空隊(現在の武器学校一帯)に慰問にいらしたことがあり、
予科練習生たちと撮影した写真が残っています。
そういえば元横綱稀勢の里関、現在は荒磯親方が阿見町に部屋を構えてくださるとのことで、
相撲に縁がある町なのかもしれないなと想像し、一人楽しくなっています。
クリーニングが終わった後は、1点1点に独自の番号を付けて管理します。
写真を撮ったり、所蔵している資料の台帳データに入力したり、
特殊なガスでカビや虫をやっつけたりと、これからも作業は続きます。
普段は忙しくて、正直こうした細かい作業は後手に回ってしまうことも多いのですが、
現在は休館しているので、落ち着いて進めることができています。
せっかく現在まで残った大切な資料ですので、永く後世に伝えていきたいものです。
予科練平和記念館では、予科練に関するもの以外でも、陸軍関係のもの、
当時の生活で使用していたものなども収集しています。
もしブログをお読みの方で、そうしたものをお持ちで保管に困っていらっしゃるようなことが
ありましたら、よろしければ当館にご一報ください。
寄贈のご相談だけではなく、今後も手元に置きたいけれど
どのように保管していったらよいか等のアドバイスもさせていただいております。
あまり言うとうさん臭くなるかもしれませんが、どうぞお気軽にご相談くださいね。
不定期ではありますが、今後もブログにて館の様子をお知らせしていきたいと思います。
それでは、また次回お会いしましょう!
気温の変化で体調を崩しやすい時期ですので、皆様どうぞご自愛くださいね!