暦の上では既に秋を迎えています。
朝夕の空気が例年より涼しいと感じるのは間違いでしょうか。
8/15(金)の終戦記念日、予科練平和記念館は無料観覧日でしたが、今年も多くのお客様をお迎えすることができました。
当日は、茨城放送(ラジオ)で、予科練平和記念館や開催中の展覧会についてご紹介させていただく機会をもつことができましたが、お忙しい日常ではあると思いますが、落ち着いた時間が取れるときには、ぜひ予科練平和記念館にお越しいただき、命の尊さや平和の大切さについて改めて考える機会を作っていただきたいと思います。
ちなみに、次回の無料観覧日は12/25(木)のクリスマスです。
皆様、お誘い合わせのうえ、どうぞご来館下さい。
さて、そうした意味では、予科練平和記念館の次代を担うべき若者が、博物館実習生として勉強をしに来てくれました。
今年は男女1名ずつ、阿見町内の大学生でした。
戦争を知らない私たち若い者がしっかりと先人の意思を継いでいくためにも、大学生のような若い人たちに記念館に来てもらい、しっかり勉強してもらうことは非常に大切な活動になります。
まず、4年生の男子(ちなみにもう1人は3年生の女子でした)K君の感想からご紹介します。
しっかりと予科練平和記念館を観察し、彼なりの考えを深めてくれたようで、たいへん心強く思いました。
①学芸員に興味をもった理由
私にとっては、予科練平和記念館の展示を見たことが興味をもった大きな理由である。初めて私が記念館に来館したのは、まだ開館間もない時であり、私が高校生のときであった。以前から日本近現代史、特に太平洋戦争期の日本海軍に大きな関心をもっていたことや、祖父が少年期に航空隊近くの航空廠で勤労奉仕を行っていた頃の話を幼い頃から聞いて育ったことから、私にとって戦争中の出来事はどこか現実感があり、他人事に思えなかった。
このように、日常的に戦争の情報が蓄積されていったことから、いつしか私はこの知識を生かした職業に就きたいと考えるようになっていった。そんな中、出会ったのが、この予科練平和記念館である。私は何か運命的なものを感じたことを覚えている。
②現場を通して感じたこと
一番に感じたことは、現場の学芸員に求められていることがとても多い、ということであった。これまで学校でも学芸員というものは「雑芸員」である、社会教育の普及だけが学芸員の業務ではない、と教わってきた。だが、この5日間の実習を通して学芸員が置かれている現状を確認したことで、それが本当であったことを改めて理解した。また、専門的な知識の他、この実習で学んだ技術は、学芸員以外の様々な分野の仕事で自分にとってもプラスとなる、極めて汎用性の高いものであることも肌身を通して理解することができた。
③記念館の今後の役割について
今後、記念館は「海軍の町 阿見」という一種のブランドをさらに生かし、日本近現代史の中で日本海軍、引いては軍隊が担った発展の功績=プラス面と、軍隊がもたらしたマイナス面を取り上げて、比較検討し、双方の立場を見ていかなければならないと考える。戦争の悲惨さを伝え、過ちを二度と繰り返さないためにも、歴史を後世に連綿とつないでいかなければならないことは自明の理である。だが、昨今では、その方法が感情に訴えることだけに終始してしまっているように思えてならない。確かに、それは大切なテーマのひとつでもあるが、歴史を学ぶことの本質はそこではないはずである。史実を史実として受け止め、公正中立な立場で歴史を俯瞰して、そこから現代に生かせる要素を抽出することこそ、戦争の爪痕を現代にまで残す阿見町の記念館に求められていることではないだろうか。