龍の飛ぶ空

12月 10th, 2011

みなさんこんにちは。

やっと風邪から復活してきた学芸員Wです。

今年の風邪は頭痛がひどく、長引く傾向にあるそうですので、

みなさんも今夜の皆既月食を見る際にはどうぞお気をつけくださいね。

 

 

昨日、茨城県の水戸市では初雪が観測されました。

今朝も冷え込んで、外に出ているすべてのものにうっすらと霜がおりていました。

本格的に冬がきたことを一気に実感する寒さです。

 

 

今日は昨日とうってかわってきれいな青空でした。

館の前にある桜の木も、きれいに赤く染まった葉を散らして冬の姿になりつつあります。

 

 

 

晴れ上がった空に、龍のような姿をした長い雲がかかっていました。

 

 

写真で見るとなんとなく鮭の頭?のようでもありますが・・・

折角なので館も一緒に写真に納めようと欲張って、わかりにくい写真に

なってしまいました・・・。

館を正面に見て右に頭のようなところがあり、そこから細長い体が

空の対角線上のはるか向こうまでひゅるんと伸びていました。

ちょうど大きな龍が、館に向って飛んできているようなかっこうです。

 

来年は辰年・・・何かいいことがありそうな予感です。

 

 

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さて、今日は第4回所蔵資料展の会場の様子を少しご紹介したいと思います。

 

 

 

今回の展示では、兵役が終わったり、入隊した隊が解散したりと、

いろんな節目に記念品として作られた

明治や大正期の盃や徳利を130点ほど展示しています。

徴兵で入るのは陸軍が圧倒的に多かったので、展示してあるのも

陸軍関係の盃がメインです。

デザインがちがったり、歌が書かれていたりして、それぞれ趣向を凝らしたつくりに

なっています。

 

 

そういえば、今NHKで司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』のドラマが放送されていますね。

先週は、ちょうど日露戦争における旅順(りょじゅん)攻撃の激しい戦闘場面が

描かれていました。

 

堅固な守りの旅順要塞から攻撃するロシア軍に対して、総攻撃をかける日本軍は、

歩兵が味方の屍(しかばね)を超えながら突撃していくという感じで、

こうした歩兵は多くが徴兵で集められた一般の人たちだったんだな・・・と思うと

何ともいえない気持ちになって見ていました。

 

 

今展示してある盃は表面を上にして展示していますが、裏を返してみると、

高台(こうだい うつわの下にある台の部分です)などに

苗字が書かれているものが多くあります。

 

もしかしたらこの人も、遠い地で戦ったのかもしれない、とか

この盃はどういうめぐり合わせで予科練平和記念館が安住の地になったのだろうかと思うと、

何か不思議な感じがします。

 

 

そのまま見るだけでもいろんなデザインがあって面白いのですが、

もう一歩踏み込むと、きっともっといろんなことが見えてくると思います。

ご来館の折には、ぜひご覧になってみてくださいね。

 

 

第4回所蔵資料展『重キ務メヲナシオヘテ‐除隊記念品展』

平成23年11月29日(火)~平成24年3月25日(日)

9:00~17:00(入館は16:30まで)

予科練平和記念館20世紀ホール

常設展観覧料に含まれます。

大人500(400)円 小中高生300(240)円

※( )内は20名以上の団体及び割引提携カード提示時の料金

 

 

 

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余談ですが・・・

風邪で頭痛に打ちのめされてるあいだ、『困っている人』(大野更紗著)という本を読み返しました。

大学院生の時に突然原因のわからない難病を発症した大野更紗さんが

闘病の日々を綴った本ですが、

本当に大変な状況にあるけれど一日一日を時にとてつもない行動力をもって生きていて、

その毎日がひょうひょうとしたユーモアを交えて記されています。

うまく言えませんが、とにかく驚きの本です。

人の人生はどうなっていくのか本当にわからないけれど、どんな状況にあっても

前に進むことはできるんだって、勇気づけられます。

 

大野さんは最近、コピーライターの糸井重里さん(「となりのトトロ」でさつきとメイの

お父さんの声もしています)と対談をなさったようで、

その様子がウェブ上で公開されています。

 

「ほぼ日刊イトイ新聞」という、糸井重里さんが代表を務める会社が運営しているサイトで、

毎日に疲れた頭をちょっとリフレッシュすることができる記事がたくさん載っています。

 

ほぼ日刊イトイ新聞「健全な好奇心は病に負けない。」大野更紗×糸井重里

http://www.1101.com/komatteruhito/index.html

 

ぜひご覧になってみてくださいね。

 

 

もし、ここまで読んでくださったみなさんが、一年の終わりを目前にして

いろいろ悩んでいたら、こちらもお勧めです。

 ↓ ↓ ↓

ほぼ日刊イトイ新聞「大人の小論文教室」山田ズーニー

 http://www.1101.com/essay/

 

 

 

話は戻りまして、大野更紗さんは福島県のご出身で、ご実家は

東京電力福島第一原子力発電所の近くなのだそうです。

(著書の中では「ムーミン谷」と呼ばれています。「ムーミンパパ・ママ」や

「じっち・ばっぱ」がいて、子どもの頃のお茶うけは白砂糖だったそうです。)

 

東日本大震災から明日で9ヶ月です。

避難区域ぎりぎりにあるというムーミン谷は、今どうなっているのでしょうか。

たくさんのじっちさんやばっぱさんは、どうしているのでしょうか。

もし今日、記念館の上空にいた雲の龍が瑞兆であるなら、

ムーミン谷へも飛んでいってほしいと、非現実的ですが思ってしまいます。

 

 

公共の場でお目汚しながらも発言させていただいている私にできることの一つとして、

自分も含めて、震災について繰り返し思いいたすきっかけになるような記事を書く、

ということもあるのかなと思っております。

 

予科練平和記念館を身近に感じていただけるように紹介するブログ、という

本来の主旨からは外れてしまうのですが・・・

未熟で読みづらい文章だと思いますが、これからもどうぞお付き合いいただければ

嬉しいです。