予科練戦没者慰霊祭

5月 29th, 2011

みなさんこんにちは。

今日は台風が近づいている影響で、予科練平和記念館も朝から雨降りお天気です。

先日関東地方も梅雨に入ったそうですが、

体調などくずしていらっしゃいませんでしょうか。

 

と申し上げつつ、若干風邪気味の学芸員Wがお送りいたします。

 

 

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本日はお隣の陸上自衛隊武器学校内の雄翔園にて、

第44回予科練戦没者慰霊祭が行なわれました。

あいにくのお天気ですが、若くして亡くなった予科練生を悼む涙雨のようでもありました。

 

66年前を考えると、1945(昭和20)年4月末には、日本の同盟国である

イタリアのムッソリーニが射殺され、ドイツのヒトラーが自殺しています。

日本はこの頃、たくさんの犠牲者をだした沖縄戦の最中で、

沖縄への特攻作戦も行なわれていました。

4月には、当時の日本海軍が誇る戦艦大和が沖縄に特攻出撃して沈没しています。

5月初旬にはドイツが無条件降伏し、ヨーロッパにおける第二次世界大戦は終わりますが、

日本は泥沼の戦いを続けていきます。

 

6月には予科練の訓練が中止となり、練習生たちは防空壕や飛行機を守る掩体壕を作る

作業にかりだされるようになります。

 

梅雨にはいり、ちょうど今日と同じような雨の日に作業を行なうこともあったでしょう。

しめやかに行なわれた慰霊祭にご参列の元予科練生たちは、何を想われたのでしょうか。

 

式典が終わってご来館くださった元予科練生のみなさんのお姿を拝見して、

また来年もお元気でいらしてください、と、心の中でお声をおかけしました。

 

 

慰霊祭にあわせ、本日は予科練平和記念館も無料となりました。

当館では、年に数回同じように無料の日を設けておりますので、お気軽にお越しください。

情報はHPに掲載いたしますほか、お電話でもご案内しております。

 

 

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特に今日の出来事とは関係がありませんが、もう一つ書いてみたいと思います。

 

みなさんはBUMP OF CHICKENの「Smile」という曲をご存知でしょうか。

テレビやラジオなどで、一度はお耳にされたことがあるかもしれません。

携帯電話会社の復興支援ポータルサイトのCMで、

漫画家の井上雄彦さんのイラストが淡々と映し出されるバックに

静かに流れていた曲です。

 

井上雄彦さんといえば、「スラムダンク」や「バガボンド」などの作品で

よく知られていますよね。

みなさんもお読みになったでしょうか。

スラムダンクの最終巻、山王戦(でしたよね?)は圧巻でしたね!

セリフが全くない試合のシーンをみて、漫画という表現の可能性の深さに驚いたことを

思い出します。

…と、スラムダンクを熱く語りだしたい気持ちは置いておいて、

井上さんは美術館でも展覧会を開かれており、最近では親鸞聖人の屏風絵を

描いて話題になっています。

 

 

今回のCMで流れた「smile」というシリーズのイラストは、

子どもやお年寄りの何気ない一瞬の表情がモノクロで描かれたもので、

ありふれた日常の一瞬の大切さが、井上さんらしい空気感に包まれて

胸にふっと届いてくる感じです。

 

今回のCM作成にあたり、曲はぜひBUMPで!との井上さんの希望があり、

メンバーはたったの2日間で、井上さんのイラストと同じ「Smile」という

タイトルの曲を作り上げたそうです。

CDは期間限定で販売され、収益の全てが東日本大震災の義援金として

日本赤十字社に寄附されます。

 

 

「Smile」は、何度聞いても泣いてしまいます。

心の場所をなくしてしまったとき、笑顔を忘れてしまったとき、

やさしくそばにいてくれる曲です。

井上雄彦さんもBUMP OF CHICKENも、自分のできることでたくさんの人を動かして

助けを必要としている誰かを助けようとしている。

すごいなぁと思います。

いろんな意見をおっしゃる方はたくさんいますが、実際に何をしたか、が、

今大事なんだと思いました。

 

まだお聞きになったことがない方は、ぜひCDをお手にとってみてくださいね。

きっと誰かの力になれると思います。

予科練平和記念館でもまだ義援金をお願いしておりますので、

ご来館の際はぜひご協力をお願いいたします。

 

~5月の霞ヶ浦~

5月 25th, 2011

館長日記 ~5月の霞ヶ浦~

毎朝5時30分起床、6時00分出発
我が家の3人娘の長女(ラブラドール9歳未婚)を引き連れ、散歩を実行中。
40分の道程

道端の草に夜露が降りている田んぼ道
朝靄の中に霞ヶ浦、筑波山を眺望でき、
向かい岸周辺を見ると山水の風景が見られます。

空気がきれい、気温もちょうど良い、気持ちのいい朝です。
皆さんも一度早起きして霞ヶ浦にお越し下さい。

予科練生もこの季節は気持ちの良い朝を迎えていたのでしょう。
とても純真であった彼らはこの霞ヶ浦の自然の中での
教育、訓練を受けたからではないでしょうか。

話は変わりますが5月11日(水)にご来館頂きました。
甲15期のH様の想いを伝いたいと思います。

当日は同期生8人でお越し頂き、皆さんとても元気でした。
特にH様は背筋の張った予科練生そのものでした。

“当時の予科練に戻れた、同輩に会える、元気が出た、又来たい”

飛行機には乗れずに終戦を迎えたが、国を思う心と
飛行機に乗りたい気持ちは変わらなかったそうです。

ご健在の予科練生の皆様、是非一度は当記念館にお越し頂き、
もっともっと元気になって下さい。
そして私たち若者に力をお与え下さい。

ヤーコン

5月 19th, 2011

 予科練平和記念館が立つこの阿見町にもいろいろな特産品がありますが、その一つがヤーコンです。地元の女性から頂いた漬物として初めて食べた感想は「ヤー、コンなに美味しいものがあったとは…。」

 阿見町内にキャンパスを置く茨城大学農学部の先生によって日本で初めて栽培されたヤーコン。整腸作用をはじめさまざまな健康効果で知られ、ほの甘く、梨に似た食感をもち、生で食べられる野菜です。サラダにしてよし、天麩羅、煮物、少し炙ってのお酒の友…等々万能です。「煮ても焼いても食えるなんて。ヤー、コンなに…。」と驚嘆すべき恵みをもたらしてくれます。

 当記念館でも町の商工会が「予科練の街クッキー」「ヤーコン茶」というヤーコン関連商品を販売しています。甘くサクサクのクッキーといかにも健康によさそうな飲み心地のお茶です。阿見町そして予科練の歴史を知り、時として涙していただいたご来館者の心を解きほぐすお土産としてご好評いただいております。ご参考までに下記ホームページもどうぞお訪ねください。

〈ヤーコン味工房〉

 www1.ocn.ne.jp/~amisho/town/bussan/yacon/yacon.html

〈予科練の街クッキー〉

 www1.ocn.ne.jp/~amisho/jigyo/yokaren-no-machi/yokaren-no-machi-site.html

 先の話に戻りますが、ヤーコン漬物の食感は、柔らかくも芯が残りまさに「しなやか」でした。写真で見るように外見の華やかさはありませんが、小さい体に栄養も旨味も凝縮され、人を生かすしなやかさを持ちあわせるヤーコン。阿見町が誇る特産品です。学芸員はじめ職員はヤーコンたらねばなりません。 

 この地味なヤーコンにもひまわりに似た黄色い花が咲きます。大輪というわけではなく控え目ですが、光をいっぱい浴びようと大空に向かってのびのび花咲かせます。

 

 予科練平和記念館は、人間の来し方を振り返りつつ皆様に未来を展望していただく施設です。我々職員は、人間の歴史の光と陰をしっかり理解し、そしてしなやかに思想しながら、明るい社会を将来にわたって作り続けていくことを、予科練生が駆け巡った光溢れる大空へ向かって宣言するような気持ちで発信し続けていきたいと考えています。

 ヤーコンを思い出していただいたときは予科練平和記念館へどうぞお越しください。職員一同、名実共に阿見町が誇るヤーコンたることを目指しております。

展示解説はじめました

5月 14th, 2011

みなさんこんにちは。

今朝方、家の中につばめが飛び込んできてびっくりした学芸員Wです。

つばめは巣をかける場所を探しているようでした。

少しでも安全なところで子育てするために、頑張っていたのでしょう。

私の地元では「つばめが巣をかけると幸せがくる」と言われますが、

皆さんのところはいかがでしょうか。



さて、予科練平和記念館では毎週土・日に常設展の展示解説を行なっております。

本日からスタートしたこの企画は、ご来館のお客様に展示内容をより分かりやすく

お伝えしたい!とはじめたものです。

これまで常設展の展示解説は、ご予約をいただいた団体のお客様を対象に

行なっておりましたが、

個人のお客様からもご要望があることと、展示解説員さんたちの間でも

予約なしで気軽に参加できる解説をやりましょう!という意気込みがあったところから

はじまりました。


スタート初日の今日は、解説員Sさんが担当です。



Sさんはとってもお話上手で、特攻隊のお話やお客様からうかがったお話などを

休憩時間に披露しては、心優しい解説員Mさんをよく涙ぐませています。


今日の解説も、お客様は熱心に聞いてくださっていました。

最初12名様のご参加でスタートした展示解説も、

終盤には17名様に増えていました。




この展示解説は、今後毎週末実施する予定です。

(館内の状況により、実施を見合わせる場合があります。)

明日15日にもありますので、ぜひお運びください。

また、ご参加のお客様でアンケートにご協力いただいた方には、

予科練平和記念館オリジナル絵はがき(非売品)をプレゼントしております。

通常撮影できない場所の絵はがきですので、ご来館記念にぜひどうぞ。



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常設展展示解説

毎週土・日曜日 14:00~ 予約不要

当日の予科練平和記念館観覧チケットをお持ちのうえ、

14:00までにエントランスホールへお集まりください。

※館内の状況などにより、実施を見合わせる場合があります。

お問い合わせ 029-891-3344


デビュー

5月 11th, 2011

みなさんこんにちは。

最近、「八月朔日」さんという苗字の読み方を知った学芸員Wです。

みなさんはご存知でしょうか。


正解は「ほづみ」さん。


稲を育てるのに天候が大きく影響することは今も昔も変わりませんが、

その昔、台風シーズンを無事に乗り越えて稲をたくさん収穫できるように、

旧暦の8月1日(今の9月はじめ)に、育ってきた稲の穂を刈り取って

神様に供えたことからきた苗字なのだそうです。

「朔」という字は、太陰暦で月の初めの日を意味します。


「八月朔日」さんは、茨城県つくば市付近に多くて、同じ読み方でも

「八月一日」さんは群馬県に多いそうです。

何故だろう・・・と考えはじめるときりがなくなりそうです。

それにしても、「小鳥遊」で「たかなし」さんとお読みするように、

漢字だからこそ出せる妙味ですね。

苗字は奥が深いです。


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先日5月6日の立夏を過ぎて、暦の上ではもう夏になりました。

予科練平和記念館のまわりでも、柔らかな緑の新芽が、

元気いっぱいにはしゃぐ子どものように勢いよく萌え出しています。




今日は雨が降っているので、横着して入口から

撮ってみました。



下の写真は展示室2から見える風景です。





昨日今日と雨が降り、しっとりした空気がなんとなく梅雨時のようです。

台風1号も発生して、少しずつ夏への助走が始まった感じがしますね。



先日の新聞で、茨城県内の宿泊施設の予約が増えてきたという記事を読みました。

予科練平和記念館への団体のお客様のご予約も、少しずついただけるように

なってきました。

あの日以来止まってしまった時計がゆっくりと動き出したような、そんな感じがします。

まだまだ大変な状況下で日々を過されている方が大勢いらっしゃいますが、

少しでも早く、多くの方が日常を取り戻せますよう、予科練平和記念館でも

できることを続けていこうと思います。

3・11から2ヶ月目の今日、みなさんはどうお過ごしでしょうか。



さて、前回の学芸員Aのデビューブログはいかがでしたでしょうか?

いつもと違ってエスプリの香り漂う感じと思われた方、大正解です。

これから週代わりでブログを担当してまいりますので、どうぞお付き合いくださいね。


ゴールデンウィークの出来事

5月 10th, 2011

東北地方は、まさに桜の満開の時と思われますが被災地の皆様は
まだまだ大変な御心労のこととお察しいたします。
どうぞ、ふんばって下さい。

当館も多少の被害を受け、約1ヶ月程休館しましたが
4月19日より開館いたしました。

そして、ゴールデンウイークを迎えました。

4月29日(金)昭和の日

この日大変うれしいことがありました。
3月11日の大震災当日来館されていましたお客様が開館を待ちわび
”途中だったので最後まで見たかった・・・“と再度来館されました。

感激でした、ありがとうございました。

5月4日(水)みどりの日

この日のY新聞紙上に震災地での自衛隊の活躍が記事にありました。
現地で救援活動している隊員の中には親や妻子を失った隊員、
いまだ、家族の安否が不明な隊員もいるそうです。

国民の救済を第一と行動しなければならないとはいえ、
ほんとうに頭の下がる思いです。

一日も早く業務が終了し、ご家族のもとに戻って欲しいです。

5月5日(木)こどもの日

あるテレビ局の番組で“ALWAYS 続三丁目の夕日”という映画が
放映されました。昭和30年代の東京下町の人々の生活の物語でした。

垣根を越えた隣人との繋がり、人への思いやり、夢を捨てない気持ち・・・と、
まさに日本人の心を写し出した作品ではないでしょうか。

久しぶりに目頭が熱くなりました。   日本人でよかった。
被災地の皆様の気持ちを少しでも受け入ることが出来ればと感じました。

5月7日(土)

9時00分開館に合わせて遠い道のりを記念館に思いを寄せ、
東北宮城県から4名のお客様がありました。

“3月11日の地震で記念館は大丈夫でしたか”と尋ねられましたので
“お陰様で大したことありませんでした”と答えましたところ、
お客様は“予科練生の英霊に守られたんだね”とおっしゃいました。

予科練生の思いが伝わったことと思います。
ほんとうにありがとうございました。

4月29日(昭和の日)より5月5日(こどもの日)までに来館された
お客様が1600人余りありました。
ありがとうございました。

これからも2度、3度とお越しいただけるような運営をしてまいりたいと
考えておりますのでご支援よろしくお願いいたします。

平成23年5月8日           館  長  糸 賀 富士夫

花咲くとき

5月 5th, 2011

    明日は立夏、暦の上でも夏を迎えます。桜花が去るやいなや新緑が萌え出で、百花繚乱の時をも迎えました。皐月の爽快な空気に触れると、五感がうち震える季節を再び迎えられた喜びが溢れます。

 

   今春に経験した大地震は、あることが当たり前であった事柄を私たちが見直す契機となりました。大災害の跡を見るたびに、そこに宿る人の思いをひしひしと感じずにはいられません。今生きている私たちは生きる喜びを素直に享受し、そして子々孫々に遺すべき社会を再び築きあげていきましょう。

 

  花々を一斉に開かせた初夏のこの青空は、かつての予科練生が大志を抱いて駆け巡った空と変わらないのかもしれません。はるか昔に、美しい月を見て思いのつながりを恋人たちが信じたように、この蒼空を仰ぎ見る私たちに、先人たちの真摯にして熱い思いが降り注ぐことを信じたいと思います。

 花咲くとき、それは心を鎮めるとき。また、生きるものが動き始めるときです。

 花々と緑に囲まれた当記念館へのご来館を心よりお待ちしております。