満月のレコード鑑賞会

10月 27th, 2010

みなさんこんにちは(*’-‘*)ノ

きのうまでとうってかわって、すっきり晴れ上がった予科練平和記念館です。

日差しはありますが気温がだいぶ下がっていますので、

皆さんも体を冷やさないよう、暖かい服装でお過ごしくださいね。


さて、ちょっと遅くなってしまいましたが、

先日のレコード鑑賞会♪の模様をご報告したいと思います。


先週の土曜日、23日の夕方5時半より、当館のラウンジにてレコード鑑賞会を開きました。

戦時中に作られたSPレコードを、当時の蓄音機で鑑賞するという企画です。


使用したのは、日本ビクター蓄音機株式会社製の「ビクトローラ」という卓上蓄音機です。

手で回すタイプのこの蓄音機は、昭和7(1932)年ごろのお生まれです。

ということは、現在78歳。

寄贈してくださった方が、きちんと整備して管理なさっていたお陰で、

現在も現役で活躍しています。


ふたの内側には、クラシカルでかわいらしいビクターのマークがついています。

この蓄音機に耳を傾ける犬のマークは、

「ニッパー」という名前のフォックステリアが、亡くなったご主人の声が吹き込まれた

レコードを聴いているところなんだそうです。


蓄音機から流れる亡きご主人の声にじっと耳を傾けるニッパーの姿に

ちょっとじーんとしてしまいます。

また、本来であればその一瞬で消えてしまう「音」を残したいと思って

レコードや蓄音機を開発した人たちの気持ちが

なんとなく分かるような、そんな絵です。


さて、この日鑑賞したのは6曲。

最初にこの蓄音機の得意分野を聴いていただこうと思い、グノー作曲の

「アヴェ・マリア」をかけました。

この日は満月。針がレコード盤に静かに下ろされると、クラシカルな響きのピアノと歌声が、

永い眠りから目覚めてふるえるように美しくラウンジにこだましました。

最後のほうで、巻きが足りなかったのか音がゆっくりになってしまい、ちょっと脱力しましたが、

これも蓄音機の良さ。ご愛嬌です。


2・3曲目は、昭和18(1943)年公開の映画『決戦の大空へ』の主題歌

「決戦の大空へ」と「若鷲の歌」。

この予科練をテーマとした映画は、今の陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校、

もと予科練の訓練基地だった土浦海軍航空隊で撮影されたもので、

当時の予科練生も多数エキストラで参加しています。

大ヒットしたこの映画を観て、たくさんの少年が予科練にあこがれ、入隊しました。

また「若鷲の歌」のメロディは、予科練生が多数決で決めたというエピソードもあります。


懐かしいとお感じになったのでしょうか。

歌に合わせてとんとんと足を動かしたり歌詞をなぞられる方が

たくさんいらっしゃいました。


4曲目は、ちょっと変わった新民謡「ヨカレン節」。

上記2曲と同じ古関裕而の作曲です。

古関裕而は、夏の甲子園のテーマソング「栄光は君に輝く」などを作曲した方です。


5曲目は、昭和5(1930)年に公開された映画「支那の夜」から「蘇州夜曲」。

長谷川一夫、李香蘭という人気スターが出演したこの映画は、

当時の日本の国策に沿って作られました。


「蘇州夜曲」もそうしたしこりを背負っていますが、例えば平原綾香さんなど、

たくさんのアーティストがカバーしている曲でもあります。


平原さんは、ホルストの組曲『惑星』のうち「木星」のメロディに

日本語の歌詞をつけた「ジュピター」という曲が大ヒットしたことで、

ご存知の方も多いと思います。


「ジュピター」は、新潟中越沖地震の際にラジオから何度も流れ、被災者を励まし、

勇気づけた歌でした。

奇しくもこの鑑賞会を開いた10月23日は、

6年前、新潟中越沖地震が起きた日でもあります。



最後の6曲目は、「リンゴの唄」をかけました。

戦後、GHQ(連合国軍最高司令部)の検閲を通った映画第一号『そよかぜ』

(昭和20年10月10日公開)の挿入歌です。


「あかいリンゴにくちびる寄せて・・・」ではじまるこの歌は、戦後の混乱期を生きる

たくさんの人々を励ましました。

歌い手の並木路子は東京大空襲で家族を亡くしてしまったのだそうですが、

そうした悲しみの中にありながらもほがらかな彼女の歌声が、

同じような悲しみを抱えたたくさんの人たちの心に、じんわりと

染みていったのだと思います。



その時代時代にあって、人々を励まし、勇気づけ、時には駆り立てる。

「歌の力」(紅白歌合戦のようですが・・・)を、このレコード鑑賞会を通じて

少しでも感じていただけたら嬉しいなと思っています。



最後に、このブログには何度も登場してくださっていますが、

当館の歴史調査委員として活躍中の元予科練習生

戸張さんにお話をしていただきました。


戸張さんが旧制土浦中学通学時に、映画「決戦の大空へ」の撮影を

見かけたエピソードや、

予科練に入隊してからの軍歌のエピソードなど、

貴重なお話しをうかがうことができました。



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夜のレコード鑑賞会。

次回は11月20日(土)午後5時半からです。(入場無料)

夕方のひととき、懐かしい曲に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。


お問い合わせは・・・

予科練平和記念館 029-891-3344へどうぞ!