予科練の運動会

10月 7th, 2016

9月は雨の日が続きましたが、今月は爽やかな秋晴れの日を期待したいですね。

スポーツの秋です。10日の体育の日には全国で運動会が行われると思います。

予科練でも運動会が行われていました。現在の小中学校ではあらかじめ十分練習を行いますが、予科練の場合は毎日が訓練であり、その集大成として運動会が行われました。分隊対抗戦や入隊の期別対抗の全体運動会があって、かなり激しい競争が繰り広げられたようです。予科練の運動会の模様を書物から紹介します。

 

「水泳訓練の最後が水泳大会によって飾られたように、体操、武技・体技の締めくくりは、運動会によって行われた。期の運動会、隊の運動会といった形で何度か実施されたが、時期は春、秋には限られなかった。

運動会とはいうものの、これもその内容は分隊対抗競技である。しかし、やっぱりお祭り気分もないわけではなく、楽しい雰囲気を醸しだす行事であった。

(中略)

そして、何よりも雰囲気を盛り上げるのに大きな役割を果たしていたのが一般市民の参加、見物である。ちびっこ選手のパン食い競争なども企画されていて、予科練と地域とのつながりを強くする効果を上げていたようである。」

下平忠彦著『海の若鷲「予科練」の徹底研究』から

 

「昭和十五年十一月十五日に、霞ヶ浦海軍航空隊飛行予科練習部は独立して「土浦海軍航空隊」となった。その日、土空では開隊を記念して、陸上運動会が催された。記念運動会といっても単なる喜び、遊びの場ではない。各競技にわたり、各分隊で競わせ、せり合わせて闘志をかき立て盛り上げる。追浜時代にはこのような雰囲気は稀薄であったようだが、これも時局を反映しての成り行きであった。」

倉町秋次著『豫科練外史〈2〉』から

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土浦海軍航空隊開隊式記念運動会

 

「一昨日を以っていよいよ霞空と分離し土浦海軍航空隊となりました。当日の模様を知らせましょう。

八時 軍艦旗掲揚終わって旧司令教頭の訓示、続いて新司令(今迄の部長)の訓示あり。

(中略) 十時半より開隊式 長官、航空本部長の訓示がありました。 

(中略) 開隊式終了後格納庫に於て竣工式が行われました。

これを以て開隊式及び竣工式が終り、午後は運動会、昼は御馳走があり又菓子折一ケ渡りました。一時より運動会、沢山の見物人が来ました。プログラムにある如く最初に神宮で

やった体操、次に二千六百継走、二日前にこれの予選が行われ、我が分隊堂々一着、今度は最上級でもあり又貫録を示すに最もよい機会であるので是が非でも優勝せずんば止まずで分隊士、教員又我々の意気は物凄かったです。自信たっぷりで選手は戦に臨みました。予想通りスタートより一着、ラストの時は三十米位抜いて優勝しました。次は障害物競走これと二千六百が分隊の点数に入るので、これも頑張らなくてはなりません。然し我が選手の意気物凄く予選一着、決勝、又もや堂々一着、この時の我々の喜び大したものでした。」

阿見町『海軍航空隊ものがたり』の「土浦海軍航空隊 甲種五期(十一ノ六)菊池

克久さんがお父様へ宛てた手紙」から

 

予科練の運動会は日頃の訓練の成果を披露する場でもありました。当時は明治神宮外苑の競技場で国民体育大会が行われましたが、予科練生は昭和15年から参加しており、披露した予科練体操は脚光を浴びました。

その時の新聞には、「会場を圧する応用体操の妙技」「大会の華、土浦航空隊健児」「会場を圧した海の若鷲群舞」など絶賛する記事が載りました。