8月に想うこと

8月 2nd, 2020

今年の梅雨明けは、太平洋高気圧の勢力が弱いことにより梅雨前線が北上しないため、だいぶ遅れてしまいました。また、九州や東北などでは豪雨による河川氾濫等により多くの方が被災され大変なご苦労をされております。あらためて被災された方にお見舞い申し上げますとともに一日も早く普段の日常を取り戻されますことをお祈りいたします。

さて、8月は予科練平和記念館にとっては特別な月でもあります。1945年8月15日は日本が組織的な戦争を終結した日であり、記念館としましても例年無料開館にてお客さまをお迎えしておりましたが、今年は、新型コロナウイルス感染症予防のため、入館に際し事前予約制をとったことにより無料開館を中止とさせていただきました。

例年、8月の土・日曜日とお盆時期は、多くの来館者でにぎわっており、新型コロナウイルスの感染を予防する観点から、1日の入館者を制限してご観覧いただくことといたしました。遅れて授業が再開した小中学生や高校生もやっと夏休みに入り、記念館といたしましても多くの児童・生徒さんに来館いただき、予科練を中心とした町の戦史の記録を学んでいただきたいとイベント等も予定しておりましたが中止とさせていただきました。このような状況の中で記念館を運営いたしておりますことをご理解いただき、ご来館なさる場合は、事前にご連絡をいただきますようお願いいたします。

8月は子供たちにとっても特別な月でもあります。もちろん家庭学習も大切ですが、それにもまして様々な体験をとおし子供たちの成長を促す時期でもあるように思います。海や山に家族と出かけたり、友達とプールで水遊び、クワガタムシやカブトムシの捕獲など、普段できないことを、おもいっきり体験できる月でもあります。私も小学生の頃は毎朝、上級生に連れられてラジオ体操、午前中は学校から出された宿題を懸命に取り組み、午後から友達と毎日、霞ケ浦や林の中を駆けまわり、顔を真赤にして遊んだものです。

今年の夏休みはどのような生活をしているのでしょうか。新型コロナウイルスの影響により、夏休み期間が短縮され、計画していた家族旅行もこの状況の中では自粛せざるを得ないのではないでしょうか。地区のお祭りや町の一大イベントである「まい・あみ・まつり」も中止になり、子供たちの楽しみがなくなってしまったことは、とても残念に思います。

各地で感染者が増えております。大人たちも子供たちもそれぞれに日々の生活の中で新型コロナウイルスを意識しながら生活しなければなりません。感染予防には細心の注意を払い、少しでも思い出深い夏休みを過ごしていただきたいと想うばかりです。

戦後75周年記念展示開催中です

7月 21st, 2020

みなさんこんにちは。

学芸員Yです。

記録的な大雨となり、各地で大きな災害が起きましたね。

ニュースで被災地の様子が映るたびに、自然の強さの前に圧倒されます。

被害にあわれた方はどれほど怖くて、どれほど悔しくて、どれほど無念だったか。

察するに余りあります。

心よりお見舞い申し上げます。

 

 

先日、公益財団法人海原会の専務理事長さんとお話をする機会がありました。

毎年、予科練戦没者慰霊祭を5月下旬に行っていらっしゃるのですが、

今年はコロナウイルスの関係で例年通りの開催は見送り、関係者のみで執り行ったとのことでした。

お写真を拝見しましたが、予科練戦没者の慰霊に真摯に向き合う姿が感じ取れて、

亡くなられた予科練の皆さんも喜んでいらっしゃるのではないかなと思いました。

 

 

また、このような話もしてくださいました。

毎年慰霊祭に出席されている元予科練生の弟さんから、コロナウイルスに関して

国から支給された特別定額給付金10万円を海原会をはじめ各慰霊団体等へ全額寄付する、という

お申し出をいただいたそうです。

 

“特別の被害を受けているわけでない自分が受け取るものではないので、

予科練戦没者の慰霊のために使ってほしい。“

 

この方のお兄さんは1930(昭和10)年に予科練に入隊、

1938(昭和18)年に24歳の若さで大空に散っていかれました。

当時まだ10歳だったこの方に、詳しいことは知らされなかったのかもしれません。

月日が経ち、偶然書店で見かけた本の中にお兄さんの名前を見つけたことがきっかけとなって

本格的にお兄さんの人生と向き合われたようです。

 

お兄さんのご遺品の中には、小さな女の子を抱いたお兄さんの写真と、同じ女の子を抱いた

女性の写真がありました。

諸々の事情で入籍が叶わなかったお兄さんとその女性。

写真は、真珠湾攻撃後の休暇後にたった一度だけ撮られた親子写真でした。

 

女性は再婚し、時間が経つにつれ徐々に縁遠くなってしまいました。

思い立って尋ねあてた時には、女性も、その娘さんも彼岸へ旅立たれた後だったそうです。

 

二人を探す過程で得た写真や遺品をお兄さんのお墓におさめ、

72年ぶりに3人が一緒になったとのことでした。

 

事実は小説よりも奇なりと申しますが、このようなこともあるのだなぁとしみじみ思った

エピソードでした。

給付金の生かし方もすてきだなと思いますし、何よりも、そういうお気持ちを寄せていただくことが

予科練戦没者の慰霊にご尽力なさっておられる海原会さんの力強い後押しになるのではないかなと思いました。

以前のように、一般の方も参加できて、参加者全員で予科練戦没者をしのぶことができる素晴らしい慰霊祭が

早く復活できますように、願ってやみません。

 

 

 

 

さて、予科練平和記念館では、館内20世紀ホールにて「戦後75年交流企画

7つのテーマで知るシベリア抑留 平和祈念展示資料館所蔵資料展」を開催中です。

新宿にある総務省委託平和祈念展示資料館が所蔵している資料を、予科練生の

制服の7つのボタンにちなんで7つのテーマで展示しています。

 

シベリア抑留者とは、戦争が終結したにも関わらず、シベリアを

はじめとする旧ソ連やモンゴルの極寒の地に抑留され、乏しい食事と

劣悪な生活環境の中、過酷な強制労働に従事させられた約57万5千人の方々です。

そのうち、約5万5千人が栄養失調や伝染病などで命を落としました。(チラシより)

 

極寒の地の厳しさ、人間として扱われない不条理さ、その中でも希望を失わずに

故郷へ帰ろうとする人たちの強さが、展示された資料から伝わってきます。

 

 

 

 

現在はコロナウイルスの関係もあり、なかなか以前のように都内まで

気軽にでかけるという感じでもなくなってきていますので、

茨城にいながらシベリア抑留の実物資料が見られるのも、貴重な機会かなと思います。

平和祈念展示資料館の担当の方々が一生懸命作ってくださった展示です。

お近くにお越しの際には、ぜひご覧ください。

 

※予科練平和記念館の入館チケットでご覧いただけます。

 

 

「密」を避ける難しさ

7月 12th, 2020

梅雨あけも間近になり、やっとうっとうしい季節から解放される喜びと、これから訪れる夏の異常な暑さに不安を感じる今日この頃、皆様にはお元気にお過ごしでしょうか。

予科練平和記念館は、新型コロナウイルス感染症対策により長い期間、臨時休館をしておりましたが、6月9日から開館の運びとなりました。

徐々にではありますが、観光事業者の方からの団体予約も入ってきており、「新しい生活様式」の取り組みの中で、社会が少しずつ戻りつつある様子を感じているところです。しかしながら、これから、第2波、第3波と感染拡大の懸念は払拭されたわけではありません、どうぞ、皆様方も「新しい生活様式」の実践を心がけていただき、感染拡大を阻止していただきたいと思います。

当記念館においては、来観者や職員の安全を第一に運営しなければならないことから、コロナ対策として取り組むべきマニュアルや、来観者の皆様へのお願い事を示した掲示物を作成し展示観覧をしていただいておりますが、特に混雑時の「密」を避けた観覧をいかにしていただくかが大きな課題となっております。

予科練平和記念館の常設展示は、予科練の制服である「七つボタン」をモチーフに7つの部屋で構成された展示室からなっております。各部屋の展示観覧を安全にしていただくためには、密を避けるためソーシャルデスタンスの確保が必要となります。原則として1室5名以内での観覧をお願いしているところですが、7部屋ありますので一度に観覧できる人数としては35名までがマックスとなってしまい、団体のお客様を受け入れた場合、一般のお客様が入館できないといった不都合も生じてしまいます。そのため、極力その様なことの無いよう職員も混雑度合を確認しながら、混み入っていない部屋から観覧していただくなど、いかに「密」を避けて観覧していただけるかをその都度判断しながら対応しております。特に土、日、休日は来館者の方が増える傾向にあります。どうぞ来館者の皆様も「密」を避ける意識を持って安全にご観覧ください。

来館者の方には、マスクの着用、連絡先の記入、滞在時間の制限等々、ご不便をおかけしますが、なにとぞご理解・ご協力くださいますようお願いいたします。

これから、暑い夏がやってまいります。熱中症にも十分お気をつけいただき、予科練平和記念館へのご来館をお待ちしております。

Twitterはじめました

6月 24th, 2020

みなさんこんにちは!

学芸員Yです。

急に暑かったりじめじめしたり・・・体調を崩しやすい日が続いていますが、お変わりありませんでしょうか。
人間には少し憂鬱な季節でも植物にとっては気持ちのいい時期のようで、

記念館の周りの木々の緑がいきいきのびのび、ますます濃くなってきました。
小雨が降る日などはさらに緑が鮮やかになり、館内から見ているととても癒されます。

 

 

 

昨日は沖縄慰霊の日でしたね。

日中、品の良い小柄な年配のご婦人が記念館にお見えになりました。

帰り際にぽつりと「戦後の生まれの私にとっても、胸にくる内容でした」とおっしゃり、

小さく頭をさげてお帰りになられました。

戦時の記憶を伝えていくということがどういうことなのか、

75年という年月がどのようなものなのか、考えさせてくださったお客様でした。

 

今年は戦後75年という節目の年ということもあり、

マスコミの方からのお問い合わせを結構いただいています。

記念館自体の取材ではなくて、元予科練生を紹介してほしい、といった内容が多いです。

ご紹介できる方が、私が以前記念館に勤務していた7年前よりも、がくっと減ってしまっていることに

改めてさみしさを感じています。

 

さて、予科練平和記念館は今月9日(火)に再開することができました。

新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、館内では各展示室に定員を設けたり、

ソーシャルディスタンスの確保をお願いしたりしておりますが、

お客様がこころよくご協力くださり、大変ありがたく思っております。

 

お客様のご協力が得られていることと、今は1年の中でもお客様が少ない時期だということもあり、

新型コロナウイルス対策がなんとか取れている状況ですが、

これから団体でいらしてくださるお客様が増える時期ですので、

どのようにしたら安全を確保できるのか、模索を続けています。

 

その一環として、ご来館くださるお客様にマスクの着用をお願いすることが決まりました。

暑い時期にマスクをお願いするのも心苦しいところですが、ご協力いただけましたら幸いです。

 

また、館内の人数によっては入場制限をさせていただく場合がありますので、

状況を早く細かくお伝えできるよう、Twitterをはじめました。

基本的には開館中の情報をお伝えする予定ですが、

せっかくのTwitterなので、たまに館の様々な情報をはさんでいこうかなと思っております。

 

予科練平和記念館公式ツイッターはこちら

↓↓↓

https://twitter.com/yokarenpmm

 

 

また、Facebookのページは以前からありましたが、不具合が生じたため

新しいアカウントで再始動いたしました。

 

予科練平和記念館公式Facebookはこちら

↓↓↓

https://www.facebook.com/people/%E4%BA%88%E7%A7%91%E7%B7%B4%E5%B9%B3%E5%92%8C%E8%A8%98%E5%BF%B5%E9%A4%A8/100052365353925

 

もしお暇なときがありましたら、ご覧いただければ幸いです。

 

このブログを更新しているときに、とても嬉しいことがありました。

以前一緒に予科練平和記念館で働いてくださった仲間が来てくれたのです。

7年ぶりの再会でしたが全くお変わりなく、当時の話もできてとても心和むひと時でした。

現在は民生委員をやっていらっしゃるそうで、その関係で海軍の資料を託されたとのことで、

記念館に寄贈してくださいました。

こうしてつながりがまた一つ再生されたのが本当にうれしくて、元気がでました。

ちょうど今日はOさんと一緒に働いてくださっていたTさんも勤務されていたので、

プチ同窓会のようで楽しかったです。

 

Oさん、来てくださってありがとうございました!

これからもどうぞよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

予科練平和記念館のブログを再開します

6月 10th, 2020

みなさんこんにちは。

本日から予科練平和記念館のブログを担当します学芸員Yです。

このブログでは、みなさんに予科練平和記念館をもっと身近に感じていただけるよう、

館の日々の業務や資料のあれこれ、スタッフや売店商品の紹介などの情報を発信していきたいと思います。

みなさんと予科練平和記念館をゆる~くつないでいければと思いますので、

のんびりお付き合いいただけましたら幸いです。

 

予科練平和記念館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休館しておりましたが、

6月9日(火)より再オープンいたしました。

職員はマスク着用(窓口では手袋もつけています)、毎朝の検温、館内の消毒作業、

案内の中止等の対策をとっております。

 

窓口の様子です。

 

ご来館のお客様につきましても、アルコールでの手指消毒、連絡先の記入、入場制限、

ソーシャルディスタンスの確保、滞在時間の制限等のご協力をお願いしております。

また、展示は通常通りご覧いただけますが、触ったり読んだりすることができる資料は撤去しております。

本当は全部お見せしたい・・・!予科練についてもっと知ってほしい・・・!という思いはあるのですが、

そのせいでお客様を危険にさらすわけにもいきません。苦渋の決断です。

ご来館くださるすべての皆様にとって安心安全な環境となりますよう、ご来館の折には

ご協力いただけましたら幸いです。

 

さて、予科練平和記念館ブログの“中の人”私Yですが、4月1日から再び予科練平和記念館で勤務することに

なりました。

予科練平和記念館の開館時には主に展示制作と資料整理・保存全般を担当していましたが、

その後町のほかの部署へ異動となり、この度、7年経ってまた古巣へ戻ってまいりました。

予科練の代名詞7つボタンにも通じる他部署で過ごした年月で、得たものもたくさんあります。

その経験を、記念館でも生かしていけたらと思っております。

 

開館時にもブログを担当しておりましたので、もしかしたら「学芸員W」をご存じの方が

いらっしゃるかもしれません。

今回のブログより「学芸員Y」として活動してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

本日は6月10日。75年前の今日、アメリカ軍の戦略爆撃機B-29の大編隊が阿見町に飛来し、

土浦海軍航空隊(現在の陸上自衛隊武器学校)を目標として10トン爆弾による大規模な空襲を行いました。

すさまじい爆風と爆撃にさらされた土浦海軍航空隊は大きな被害を受け、

予科練生や周辺の住民を巻き込んで300名以上の死傷者が出ました。

体験された方のお話を伺うと、まさに阿鼻叫喚という状態であったろうと思われます。

 

館内の展示室6では、体験者の証言をもとにした空襲の映像を上映していますが、

爆撃のシーンでは大きな音と共に頭上から爆弾がランダムに落ちてくるので、

個人的にも実際に体験したら本当に怖いだろうな…と思います。

この空襲でお亡くなりになられた方には改めて哀悼の意を表しますとともに、

記念館ではこれからも阿見町の空襲を多くの方にお伝えしていきたいと思います。

 

 

 

この時期だけ、窓口に白いお花を飾ります。

 

 

今年は新年度からコロナウイルス対策のためにバタバタしており、気が付いたらあっという間に6月でした。

大変なこと、予期せぬできごと、心が痛くなる辛いできごとなど、毎日生きているとどうしても

何かしらはでてきますし、人間は物事を悲観的にとらえやすい性質があるので、

(『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 ハンス・ロスリンク著

日経BP社 2019 思い込みや古い知識が現状認識をゆがめてしまうことがよくわかります。

オバマ前大統領やビル・ゲイツおすすめもうなずける一冊。読みやすくて目からうろこが落ちまくること

うけあいです!)

ともすれば世界が悪い方向へ向かっているように感じてしまいがちですが、

物事は多面体でどこに光を当てるかによって見える事象が違ってくるので、

誰に何を言われようと、なるべくすてきなところに光を当てていくぞ!と思う今日この頃です。

 

これからもこうしたブログを不定期ですがアップしていきたいと思います。

長文最後までお読みいただきありがとうございました。

気温や湿気が高い日が続いています。

皆様と、コロナウイルスや熱中症が無縁でありますように。

ご自分優先で、どうぞご自愛くださいませ。

 

予科練平和記念館が6月9日(火)から開館いたしました

6月 9th, 2020

予科練平和記念館が6月9日(火)から開館いたしました。新型コロナウイルス感染症予防により当初は5月31日までを臨時休館としておりましたが、国の緊急事態宣言が解除された後も、茨城県の段階的緩和に向けた独自基準である最低レベルステージ1に緩和されるまで記念館の臨時休館も延長をさせていただきました。

 ここに至るまで、記念館へ多くの方からお問い合わせをいただきました。開館できたことをお知らせすることができ、大変うれしく思っております

 

 しかしながら、記念館が感染拡大のクラスター発生源になることを十分注意しなければなりません。そのため、お客様に以下の通りご協力をお願いすることとなります。

 

1 入館する場合は、あらかじめマスクの着用をお願いいたします。

2 各展示室は5名までの観覧といたします。(観覧人数が多い場合には、お待ちいただく場合がございます。)

3 なるべく人との距離を2メートル開けてください。

4 展示物、展示ケース等には触れずに観覧してください。

5 静かに観覧してください。

6 館内の滞在時間は2時間以内としてください。

7 記念館職員がお声がけする場合がございます。

8 その他、感染予防のための制限をおこなう場合がります。

 

 開館後は、新型コロナウイルスから来館者の方や職員への感染を予防しながら、安全に記念館が運営できるよう取り組んでまいります。皆様方にはご不便をおかけしますが、何卒ご協力いただきますようお願いいたします。

予科練平和記念館は臨時休館中です

5月 6th, 2020

青葉若葉の季節となりました。眩しいばかりの新緑がみずみずしく感じられ、街路樹の色合いの鮮やかさに四季の変化を感じる方も多いのではないのでしょうか。

予科練平和記念館は、5月6日まで新型コロナウイルス感染症対策により臨時休館となっておりましたが、5月31日まで臨時休館を延長することといたしました。記念館の観覧を楽しみに、また心待ちにしていただいている方もいらっしゃるかと思いますが、大変申し訳ありません。

皆様方も感染拡大防止の観点から、どうぞ、もう暫く外出の自粛やこまめな手洗い、咳エチケット、密閉、密集、密接の「3密」を避けるよう、意識して行動していただきますようお願いいたします。

 

さて、予科練平和記念館では、この臨時休館を利用して、お預かり、ご寄贈いただいた資料のクリーニングや収蔵庫内の整理をしております。現在、当記念館には約17,300点の資料が保管されております。これらの資料は、すべて予科練や旧海軍等に関する資料として位置付けられ、展示その他の活用を図るための極めて重要なものです。大切な資料ですので一つ一つ台帳と照らし合わせて保管整理をしているところです。

何分資料点数が多いものですから、整理に時間がかかりますが、もしかしたら、これまで資料として展示していなかったもので、新たに常設展示に加えられる資料も出てくるかもしれません。そのような資料が出てくることを密かに期待しているところです。

 

新型コロナウイルスが早く収束し、社会が正常に向かうことを切に望んでやみません。そして、霞ケ浦や筑波山の眺望豊かなこの阿見町に多くの方がご来町され、多くの方が予科練平和記念館にご来館になることを心待ちにしております。

開館10周年記念式典 寄贈絵画紹介

2月 15th, 2020

 感想文表彰に引き続きまして、開館10周年記念式典で披露されました、予科練ゆかりの画家塙賢三画伯の寄贈絵画をご紹介いたします。

 

 画伯は「ピエロの画家」として知られ、今でも人気のある画家です。

 大正5年に現在の土浦市にお生まれになり、昭和12年には当地で電機会社を起業されました。それから終戦までの間、予科練の地である土浦海軍航空隊をはじめ、霞ヶ浦海軍航空隊に出入りの電機会社として予科練に深く関わるなど、予科練とはゆかりのある画家です。

 御子息の塙義雄様と当町の湯原正人教育長とがご縁がありまして、画伯の予科練生に対する慰霊と尊敬の想いを込められまして、開館10周年を記念しご寄贈されたものです。

 題名は「玉に乗った道化」。1984年昭和59年の作品で、第69回二科展に出品されたものと伺っております。

 

 画伯も仕事の合間に見たであろうと思われます「赤とんぼ」といわれる九三式中間練習機やグライダーの初級滑空機に、憧れを寄せる予科練生と重ね合わせたものとも想像されます。

 画伯も予科練生同様に「大空」に憧れを抱いていたのかもしれません。

 そのようなことを思い浮かべられるような素敵な絵です。

 グライダー(初級滑空機)訓練の様子

  撮影:土門拳 

  撮影場所:土浦海軍航空隊第二練兵場

       (現在の霞ヶ浦高等学校付近)

 

 ご寄贈頂きましたのは、この他2点の作品があります。そちらにつきましては、数か月毎に入れ替えて展示をしていきたいと考えております。

 皆様にはまた是非ご来館頂きまして、ご覧頂けますようお願い申し上げます。

 

 

 開館10周年記念式典は、多くの方々のホームページやブログ等で取り上げて頂きました。心より御礼を申し上げます。

 

 今月の23日の天皇誕生日は無料開館日となっております。

 皆様のご来館を心よりお待ちし申し上げます。

【開館10周年記念式典 感想文表彰作品】

2月 12th, 2020

それでは、表彰されました齋藤佑衣さんと鬼澤舞衣さんの感想文をご紹介させていただきます。

 

【阿見町立阿見第二小学校 6年 齋藤 佑衣さん感想文】

 

予科練平和記念館の皆様へ 

 

 本日はおいそがしい中お話を聞かせていただきありがとうございます。

 予科練の訓練のことや卒業し戦場へ出て行った人達のことなど様々なことを知れました。

 手紙や食事などを満足にできなくても一生懸命に戦う姿に心をうたれました。神風特攻隊の自爆特攻は残酷ながらも祖国のために散っていった人達のおかげで今平和に生きることができていると思い、それをふまえ今の自分達は、平和はどれほど敬うべきなのかを考え直す必要があると感じました。

 元予科練の方の「人災は防ぐことができる」「二度も死なせないでくれ」と言う言葉に現代ではそのことを軽くみている人が増えているので言われたことを大切にしていきたいです。

 もっと戦争のことを知り、平和を護りたいです。本日はありがとうございました。                                                                                                                                    

 

 

 

【土浦日本大学高等学校 3年 鬼澤 舞衣さんの感想文】

 

予科練平和記念館で得たこと

 

 予科練平和記念館を見学し、私はたくさんのことを得られた。

 まず、展示の説明を受けた時、手紙の話に心を打たれた。検閲を通し、その手紙の内容が規定に沿っていなかった場合、墨で塗りつぶされ、家族に送られるという厳しさに衝撃を受けた。本当に思っていることが伝えられないというのは、とても苦しくなる。それでも家族に手紙を送ろうとする予科練生がいてくれたからこそ、今の時代になっても当時の苦しさを見ることができるのだと思うと、彼らからの手紙は家族と今の私達へのメッセージだったのではないかと思う。

 次に、戸張さんの講演にとても心が打たれた。私は実際に戦争を戦う身として経験した方の話を聞くのは初めてだったので、とても緊張していた。

 予科練生だった時の日々の辛さを話して頂いた時、私と同じ年くらいだった戸張さんが経験したことはとても過酷なものだった。「みんなを見ていると思い出すなぁ」「同じ年くらいの時かなぁ」と昔を思い出しながら話して下さる姿に、その時どんな思いでいたのかと考えると今の私では想像もつかないくらいのものだったと思い、とても心が打たれた。戦争の時の話は心が痛むのであまり話さない方もたくさんいる。それでも、私たち高校生という戦争を知らない世代に話そうとして下さったことに深く感謝している。戦争を経験していない人が話す戦争より、一言一言の重みが違う。もちろん、経験していない人の話も大切だが、やはり世の中の戦争を深く知らない人は経験者の話を聞くべきだと思った。戦争の辛さ、悲惨さを聞いた私は、今の平和な世の中にたくさん感謝するようになった。何か小さな嫌なことがあった時、戸張さんの言葉を思い出し、ぜいたく言ってないで頑張ろう、と思うようになった。「感謝の心で生きる、生きるために生きる、生かされている」このことを絶対に忘れない。戦場に向かった予科練生達と直接のつながりはないかもしれないが、同じ日本に生まれた家族である。その人達の守りたかった日本を、平和に守っていくことが私達の役目だと思う。戸張さんが話して下さったことに深く感謝する。

 今回の講演は私の人生にとって、とても大切なものであった。

 

 

お二人とも、素晴らしい感想文をありがとうございました。

開館10周年記念式典が開催されました

2月 8th, 2020

【当館が存在した貢献=感想文】

 

今月2日に、開館10周年記念式典が厳粛かつ盛大に開催されました。

少し遅れましたが、その内容等について補足説明も兼ね順次ご報告いたします。

開館10周年記念式典をプロデュースする上で悩んだのが、「当館の存在が果たした貢献」をどのように表現するかでした。

開館10年周年を迎え、予科練平和記念館が地域や町民の方々に対し果たした貢献ということです。いろいろと話し合いを重ねましたが結論は、式典時に湯原教育長が説明された「感想文表彰経緯」ということになりましたので、ご紹介をさせていただきます。

なお、感想文というのはこの10年間にわたり当町の予科練歴史調査委員の方々、特に元予科練生であります戸張礼記委員が、平和教育普及事業の一環として取り組んでこられた講演会に対する児童生徒学生等からの感想文です。出張講演も含め回数にしますと実に330回を超え、小学生から中学、高校、大学、そして自衛隊武器学校、航空学校等々の延べ1万5千人を超える方々からの感想文です。阿見町内や茨城県内はもちろんのこと遠方は修学旅行で来館された北海道の中学生もおります。

 

【湯原正人教育長 感想文表彰経緯】(原文のまま)

 齋藤佑衣さん、鬼澤舞衣さん、おめでとうございました。素晴らしい感想文を朗読して頂きましてありがとうございました。

 それでは、本記念式典で感想文表彰を行うこととなった経緯について簡単に説明をさせて頂きます。

 現在でも「戦争と平和」というテーマは非常にデリケートなものでありますが、阿見町という一自治体が、予科練の地という責務をもって、予科練平和記念館を建設し10年間に渡って、平和を発信し運営してきたということは、非常に意義のあることであり評価できるものと思っております。

 その10周年記念式典に当たり、10年間の当館の存在がもたらした地域や町民の方々への貢献や評価というものを形や数値として表せるだろうかと考えましたが、なかなか当てはまるものがありませんでした。それは来館された個人個人がそれぞれに考え行動するものと思われるからです。

 その個人個人の内面に焦点を当てた時に思い浮かんだのが、感想文の存在でした。司会の方からもご説明がありましたように、予科練歴史調査委員の方々、特に元予科練生であります戸張先生の講演に対する児童生徒たちからの感想文の存在です。

 当町は、当館が建設されてから小学校6年生の社会科や中学生の平和教育事業の一環として当館の観覧を実施しています。戸張先生にはその児童生徒たちに対し、時間を割いて講演をして頂いております。先ずはそのことに対しまして、教育長として御礼を申し上げたいと思います。

 誠にありがとうございました。

 当館10年間の貢献を具体的に数値等で表すことはできませんでしたが、当館の存在は予科練歴史調査委員の皆様方の講演を通して、多くの子供たちの心にしっかりと刻まれたことと思っております。

 その心の表現が感想文であり、当館の存在の貢献と評価と考え、感想文表彰に至ったというのが経緯であります。

 その中で、只今朗読して頂いたお二人の感想文について、表彰をさせて頂いたものです。

 これも、それぞれの担任の先生方のご指導があったからこそと私は思っております。

 改めまして、お二人とご指導された先生方にお祝いを申し上げ、感想文表彰の経緯の説明といたします。

 誠におめでとうございました。

(引用おわり)

 

 

次回はお二人の感想文をご紹介させていただきます。