姉妹展

7月 8th, 2010

みなさんこんにちは(^o^)

今日は気温が30度を越してとても暑くなりましたが、

久しぶりにきれいな青空が見えて嬉しいですね。

予科練平和記念館のまわりのハス田に白い花が咲き始めました。

館内からも見えますので、これから楽しみです。


4月8日のブログ(https://www.yokaren-heiwa.jp/blog/?m=20100408)

でご紹介いたしました、吉岡玉子さんと熟田鶴江さんの

油絵姉妹展に先日お邪魔してきました。

お二人は、戦時中土浦海軍航空隊の近くにあった銭湯「亀の湯」で、

日曜日に外出してきた予科練生たちとよく遊んでいた姉妹です。


会場内には、お二人の絵がたくさん展示されています。


右側がお姉さんの玉子さん、左側が妹の鶴江さんの絵です。

過去の作品から最新作まで、とても見ごたえのある展示です。


お姉さんの玉子さんは、小さい頃から絵を描くのがお好きだったそうです。

描く対象の一番いいところをとらえて、優しくキャンバスに移しかえたような感じの

絵を描かれます。

光の表現も、まるで印象派の木漏れ日のようにやわらかで

あたたかい感じがします。

椿を描いた最新作は、ナイフを使った力強いタッチで花弁を表現しており、

落ち着いた深みのある画面の中に、静かな時間が流れています。


妹の鶴江さんは、お姉さんとは反対に小さい頃は絵が苦手で、

活発で行動的、いつも飛び回っているような女の子だったそうです。

具象画を描いていた初期から、すでにデザイン的な要素が見うけられますが、

現在は深い紺地のバックに鮮やかな赤の円、そして周りを取り囲むラインで構成された

画面の中に、いろんな素材のものをコラージュした、モダンで好奇心を感じる作品を

製作なさっています。


傘寿を超えてなおみずみずしい作品を生み出すお二人に、とても感動しました。

会場にはお祝いのお花がたくさん飾られていて、交流の広さがうかがえます。

これからもすばらしい作品を見せていただけたら、とても嬉しいなと思います。

予科練平和記念館のホールにも、お二人が予科練生を描いた作品が

展示してありますので、皆さんもご来館の際にはご覧になって

みてください。



お二人のこれまでを振り返る展覧会は今週日曜日までです。

お時間がございましたらぜひお立ち寄り下さい。


吉岡玉子 熟田鶴江 油絵姉妹展

2010年7月2日(金)~7月11日(日)

10:00~16:00(最終日は13:00まで)

阿見町立図書館2階視聴覚室及びギャラリー

(稲敷郡阿見町若栗1838-24 029-887-6331)



朗読劇

7月 4th, 2010

みなさんこんにちは(^^♪

予科練平和記念館の裏のハス田から、優雅な形の大きな葉っぱが

たくさん出て、風にわさわさそよいでいます。

そろそろハスの花も咲く時期になります。

とってもきれいなので、咲き出したらこちらのブログでご紹介しますね。


今日は、お隣の美浦村で「美浦平和のつどい」がありました。

美浦中央公民館の大ホールでは、『女優たちによる朗読「夏の雲は忘れない

ヒロシマ・ナガサキ 1945年」 』の公演があり、

予科練平和記念館も主催者の方のご厚意により、ロビーで

パネル展示をさせていただくことになりました。



館の紹介パネルと、予科練生が家族に宛てた手紙のダイジェストを

読めるようにしたものを展示させていただいたところ、手にとってくださる

方がけっこういらっしゃり、案内をお渡しすると「記念館行きました」と

声をかけてくださる方もいらっしゃいました。

ご覧下さった皆さん、どうもありがとうございました。

ちょうどプライベートで舞台を見に来ていた当館の展示解説員さんが

一緒に案内を配ってくれたので、たくさんの方に

予科練平和記念館をご紹介できたかなと思います。

Mさんどうもありがとう!



会場は開演前から長蛇の列です。

会場も満席。補助席も出ていました。


さてこの「夏の雲は忘れない」は、女優さん6人が、あの原子爆弾が落とされた夏の日、

きのこ雲の下でこの世の地獄を見た人たちの様々な手記を朗読していく舞台です。

その声は子どもになったりお母さんになったり先生になったり・・・

声にならなかった声になったり。

一瞬にして大切な家族や自分の命を失ってしまった

多くの人たちの声のアルバムを開いているような感じを受けました。

悲しい場面もたくさんありますが、それ以上に、人が生きるということについて

考えさせられます。


私が一番印象に残ったのは、原爆が投下されたその日の夜のヒロシマのお話です。


ろうそくの明かり一つない地下室にうごめく被爆者たち。

血のにおい、うめき声、「水をくれ」という叫び。

そんな地獄のような中で、若い母親が産気づきます。

真っ暗闇でお産を助ける道具もない中、

「私は産婆です。私がこの子を取り上げます」と言ったのは、

血まみれになってさっきまでうめいていた女性でした。

しらじらと夜が明けるころ赤ちゃんは産声をあげ、

産婆は静かに息を引きとります。

極限状態に生じたハレーションのような強烈な生と死の対比が、

声だけで表現されるのが本当にすごいと思いました。

多分このお話は、私が死ぬときまで覚えているのではないかと思います。


女優さんたちの語りかける声が、すっと胸の中に染みていくような舞台でした。

今の平和な生活の中で、私たちが決してないがしろにしてはいけないことに

もう一度目を向けさせてくれます。

これからもたくさんの場所で上演されるようですので、

ぜひ皆さんも一度ご覧になってみてください。


終焉後、大橋芳枝さん、大原ますみさん、長内美那子さん、山口果林さんの

4名が、お忙しい中時間をさいて当館に来てくださいました。

自分がさっき見た舞台に出演していた方とこんな近くでお会いできるなんて!と、

とても感激です。

やっぱり女優さんはすごいですね。目がとってもきれいで強いんです。

短い時間ではありましたが、皆さん時には涙しながら展示をご覧くださいました。

なんと、大橋芳枝さんのお兄さんは元予科練生なのだそうです。

こうしていらっしゃったのも、何かのご縁かもしれません。


女優の皆さん、関係者の皆さん、本日は本当にありがとうございました。

毎日暑いですがお体ご自愛くださり、多くの方に素晴らしい舞台を届けてください。

予科練平和記念館から応援しています。



スタンプマシーン

6月 27th, 2010

みなさんこんにちは。

どんより空の日曜日、いかがお過ごしでしょうか。

今日の阿見町は、梅雨真っ只中という感じの湿気を含んだ重い空気の箱を

すっぽりとかぶってしまったような感じです(>_<)


予科練平和記念館の窓から見えるのも灰色の空。

お昼過ぎにはしとしと雨が降り出しました。



こんな光の日は、不思議とアジサイが美しく目立ちます。

どこか奥ゆかしさを感じるアジサイは、日本原産の植物なのだそうです。

茨城県内にも、桜川市の雨引観音や石岡市の県立フラワーパーク、水戸市の保和苑など、

アジサイの名所がたくさんありますね。

じめじめした湿気と暑さと雨でぐったりすることが多いこの時期ですが、

あの不思議で美しい色合いの花(?)があるだけで、梅雨を楽しもうという気持ちになってきます。


予科練平和記念館内にも、ご来館のお客様に楽しんでいただけるようニューアイテムがデビューしました!

さて皆さん、頭の中でドラえもんがにこにこしながらおなかのポケットに手を入れたところを思い浮かべてください。

声は今のドラえもんでも昔のドラえもんでもOKです。

効果音~♪ ハイ!



「スタンプマシーン!!」





これです。

なんとなく、ドラえもんの世界にある不思議な工場で休みなく動いていそうに見えませんか?

黒い台の部分に紙を置いてレバーを手前に引くだけで、

手を汚すことなく、お子様でもきれいに記念スタンプを押すことができます。

スタンプには、予科練平和記念館と、予科練生たちが乗っていた練習機“赤トンボ”がデザインされています。



最後の展示室を出たところに置いてありますので、ご来館の際には

ぜひ押してみてくださいね。

ちなみに、館のリーフレットに押すとなかなかインクが乾かないようですので

お気をつけください。

館内売店には、スタンプ帳もご用意しています。


後悔先に

6月 19th, 2010

みなさんこんにちは。

今日は梅雨時期には嬉しい晴れ間が見えた日でした。

梅雨時期特有の湿気がありましたが、お洗濯物を干すには逃せないチャンスです。


最近、目に映る風景のところどころで、アジサイが静かに存在感を増してきましたね。

梅雨がきたんだなぁと実感します。


なぜか昨日から、ときどき頭をかすめる一曲がありました。

“What a Wonderful World”  ルイ・アームストロングの名曲です。

「この素晴らしき世界」と邦訳されるこの曲は、映画やCMにもたびたび使われていて、

きっと誰もが、意識せずとも一度は耳にしているだろうと思います。


休み明けで出勤した今朝、いつものように記念館のわきを通ると、いつもあいさつをしていた

彼女がいませんでした。


先日のブログでご紹介した、芝生の中に生えていたもみじです。

びっくりしてまわりを見ると、他の草も見当たりません。

芝生だけがきれいにそろって生えています。


もしかしたら、とは思っていましたが、こんなに突然除草作業があるとは

意識が及ばず、知っていれば囲いをつくることも、移植することもできたと思うと、

自分のどんくささにとても悲しくなったのでした。


そんな私の頭の中に、BGMのように“What a Wonderful World”が流れていました。


こんなに後悔するくらいなら、もしかしたらと思った時点でそうしておけばよかったのです。

ぼんやりしていた自分が招いた結果でした。

「後悔先にたたず」ということわざどおりです。


What a Wonderful World・・・

ベトナム戦争を描いた映画「グッドモーニング・ベトナム」で使われたこの曲は、

絶望の夜が明けて見上げた朝の光のような、そんな感じがします。

この世から悲しいことも絶望もなくならないけれど、当たり前の様に夜は明けて

日常が続いていく。

その力強さ。


またいつか違うもみじがここで芽吹いてくれるかもしれないと、

自分勝手な希望を持った自分に、やっぱり少しへこんでしまったのでした。


小さな新参者

6月 12th, 2010

みなさんこんにちは(^_^)

今日も気温がぐんぐん上がって蒸し暑かった阿見町です。

館内には涼みにいらっしゃったお客様の姿も見られました。

館の周りの芝生の色も濃くなってきています。


そんな芝生の中で、先日気付いた紅一点。



小さいもみじが芽を出していました。



どこからやってきたのか、いつのまに出たのか。

気が付けば当たり前のようにいたもみじ。

両手をいっぱい広げて、全身で日の光を受け止めているように見えます。

成木になったもみじはよく目にしますが、こんな赤ちゃんはなかなか

見ないので、毎朝近くを通るたび気になります。

この大きさから成木になるまでにどのぐらいかかるのかな、と思ったり、

他の草と一緒に抜かれてしまわないかな・・・と、心配したり、

まわりの白いのはもしかして何かの薬・・・?と不安になったり。


彼女の住所は、予科練平和記念館左曲る銀色壁二枚目向かいです。(京都風)

皆さんもご来館の折には、あたたかく見守ってあげてくださいね。



 そういえば、日本人は世界でもトップクラスの「小さいもの大好き」人種だそうです。

盆栽とかおひなさまのような伝統的なものから、かわいらしい和雑貨や小物、

おもちゃ、駄菓子など。

私たちの身の回りには、小さくてかわいいものが当たり前のようにたくさんありますよね。

そこが外国の方にとって、不思議で魅力的に映るようです。

ここ何年か「COOL! JAPAN」として注目されている日本の文化。

自国の文化に興味を持っていただけるのって、とっても嬉しいなと思います。



 さて、当館内の売店にも小さい新参者がお目見えしました。

予科練の街クッキー6枚入り 600円です。



これまであった12枚入りのハーフサイズで、ちょっとしたお土産や

おやつにもよさそうです。

お客様からも評判のいいクッキーの味はそのままに

お手ごろ価格でお求めいただけます。



果たしてこの小さな新参者は時流に乗って「COOL! お土産」となれるでしょうか?!

彼の登場は当館お土産界の勢力地図を塗り替えるのか?!

次回の売店売り上げランキングにご期待ください。


65年目の日

6月 10th, 2010

みなさんこんにちは。

今日は全国的に晴れて気温が高かったようですが、

予科練平和記念館の上空にも真っ青な空が広がっていました。



記念館も青空色になっています。

外壁が鉄板なので、その日の空と同じ色になるのです。


今日は、阿見町にとって忘れられない日です。

65年前の今日、予科練の訓練をしていた

土浦海軍航空隊(今の陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校)を目標に

米軍の大規模な空襲があったからです。


1945(昭和20)年の今日も、少し蒸し暑い一日だったと聞いています。

午前8時から4回にわたってB-29が飛来し、

落とされた250キロ爆弾が、爆発や飛び散った鉄の破片によってたくさんの命を奪い、

木造の建物に燃え広がった炎が被害をさらに大きくしました。


亡くなったのは予科練生ばかりではありませんでした。

日曜日だったこの日、わが子との面会を楽しみに隊門前で待っていた練習生の家族や、

隊周辺の一般住民も巻き込まれます。

家を失ったり、家族を亡くしてしまった人が少なくありませんでした。


以前この空襲を経験されたお客様がぽつんと

「地獄のようだったよ」

とおっしゃっていたことを思い出します。


今日はこの空襲で亡くなった方の慰霊碑がある法泉寺(土浦市大岩田)で

慰霊祭がありましたので、

参列された元予科練の皆さんがご来館くださり、思い出話に花を咲かせていらっしゃる

ようでした。


当館のあるあたりも、空襲によって凄まじい様相を呈していたと思われます。

現在ののどかな風景から想像することは難しいのですが、しかしその地層は確実に、

今見えている景色の下にあるのだと思います。



裏手のハス田からは、新しい葉っぱが水面からにゅっと

顔を出していました。



近くにはシロツメクサの花がかわいらしく咲いています。



記念館が映し出す空が、いつまでも穏やかなものであってほしいと思いながら

自分の机に戻りました。



目指せ全国!

6月 8th, 2010

みなさんこんにちは(^^)

休館日明けでうすぐもりの予科練平和記念館には、

少し湿気を含んだ空気がふんわり広がっていました。

どことなく、梅雨の訪れを感じる一日です。


今日は、朝一番につくば市にある竹園高校演劇部の生徒さんが

お見えになりました。

今、予科練をテーマにした劇を製作中とのこと。

先生がくださった台本には、(仮題)と書かれていました。


内容をお伝えすることができませんが、当館での老婆と女子高生グループとの出会いが、

過去と現在をつなぐ鍵になります。


生徒さんたちは、元予科練生だった戸張さんの案内で、熱心に展示を見て回ります。

実に3時間もかけて、ゆっくりと見てくださいました。

最後の展示室「特攻」では、皆さんいろんなことを思ってくださったようです。

戦争のあった時代、自分たちと同じ年頃の少年たちがどう生きていたのか。

そして今の自分はどう生きているのか。


皆さんがここで感じたたくさんのこと、考えたたくさんのことが、

役者としての皆さんの声となり動きとなって、

水面に落ちたしずくが波紋を起こすように、

たくさんの人の心を動かす劇ができあがるのではないかと思います。


演劇の全国大会にも出場したい!というお話もうかがいました。

皆さんならやれると思います。

頑張れ竹園高校演劇部!

予科練生も一緒に応援してくれているかも?しれません。



予科練の体現者

5月 30th, 2010

みなさんこんにちは(^o^)

今日の阿見町は、弾力のありそうなもくもくした雲が

青空に浮んでいました。

週明けからは晴れの日が多く、暑くなるようです。

少しずつ少しずつ、夏に近づいている感じがします。


今日は予科練の体現者ともいうべきお客様がいらっしゃいました。

角田(つのだ)和男さん、現在91歳。1918(大正7)年のお生まれです。

1918年といえば、第一次世界大戦が終わった年であり、

田中角栄元総理や中曽根康弘元総理などもこの年に生まれています。


角田さんは、1934(昭和9)年、予科練の5期生として

横須賀海軍航空隊に入隊されました。

1930(昭和5)年に教育がスタートした予科練制度は、1937(昭和12)年以降

募集人員を増やすため、もともとのものを乙種とし、そのほかに

甲種・丙種・特乙種などのより短期間で訓練するコースが増えていきました。

最初の段階では、甲も乙もなかったのです。


角田さんは、この甲も乙もない時代、本当に初期の予科練の様子を

知っている数少ない人物です。

ちなみに、5期生は全部で200人が入隊し、うち109名が

戦争で亡くなっています。


今日はご家族と展示をご覧になった後、著書『修羅の翼』をご寄贈くださいました。

以前も同じタイトルで本を出版されており、当館のラウンジにもそなえて

ありますが、

今回は写真を増やした新バージョンだそうです。

予科練卒業後パイロットとして幾度も命の危険と向き合い、

仲間を失い、教え子を失い、

特攻隊を指揮した海軍中将 大西瀧治郎に会い、自身も零戦の特攻隊員となる。

今の日本では想像もつかないような、

「厳しい」という言葉もなおぬるく感じるような時間を生きていた角田さん。


それは、第一線で戦ったたくさんの予科練出身者たちが共有した時間でもあります。


今日の角田さんはしっかりと背広をお召しになり、ネイビーブルーのネクタイは

飛行機柄でした。

「角さん」と呼ばれて慕われたお人柄が伝わるようなやわらかいお顔だちですが、

厳しい時代を生きてきた方たちに共通する、ピンとした空気をお持ちでした。


角田さんのことは、本で読んで存じ上げておりましたが、

実際にお会いしてみて、歴史という地面に深く根を下ろした大きな木のイメージが浮びました。

屋久島の縄文杉のように、そこにあるだけで何かを教えてくれる、真っ直ぐ伸びた

一本の木です。

私たちは、その大きな木陰に憩うだけではなく、

そこからいろんなことを学ばなくてはならないのだなと思いました。


角田さん、本日はご来館誠にありがとうございました。

だんだん暑くなりますが、お体に気をつけて、ますますお元気でお過ごし下さい。

またのご来館、心よりお待ち申し上げております。



ここで一句

5月 26th, 2010

みなさんこんにちは。

今年の梅雨は雨が多いと発表されましたが、もうその時期かなと

思うような今日のお天気です。

しっとりとした空気で、かえるたちが大喜びしている姿が目に浮びます。


さて先日、当館に埼玉県草加市から俳句を詠まれる方々がご来館されました。

せっかくですので、と皆さんに感想を詠んでいただけないかお願いしたところ、

こころよく素晴らしい句をたくさん作って送ってくださいました。

全部ご紹介したいところですが、本日は館長セレクトでお送りいたします。



○ 汗滲む赤トンボ機の操縦悍         樋口 素秋様

  

 赤トンボとは、予科練習生たちが卒業後に飛行訓練で乗る練習機のことです。

オレンジ色に塗られていたため「赤トンボ」の愛称で呼ばれました。

骨組みが木材とクロームモリブデン、まわりには塗装した絹を貼った軽い機体です。

操縦悍も館内に展示してありますが、やはり木材とアルミでできています。

練習生たちは、どんな思いでこの操縦悍を握っていたのでしょうか。


○ 予科練の友と競いて夏空へ         小俣 操様

  

 当館の入り口を入ってすぐのところに、予科練習生たちが青空のもとで綱引きをしている

大きな写真があります。

リアリズム写真家 土門拳が昭和19(1944)年夏に撮影した予科練習生の写真です。

彼らの訓練生活は、すべてが競争でした。

「負けじ魂」と言われる闘争心は、こうしたところから積み上げられていきます。


 ○ 予科練の眠れぬ夜のハンモック    徳冨 美智子様

  

 予科練習生たちは全国から集まっていましたので、隊内の兵舎で

寄宿生活をしながら訓練を受けていました。

彼らが唯一独りになれる場所が、兵舎に吊ったハンモック。

夜ともなると、ハンモックの中で故郷を思い出す練習生がいたかもしれません。


○ 予科練へ差し入れしたき柏餅       鈴木 春江様


 15歳~17・8歳の予科練習生たちにとって、食べることは大きな楽しみでした。

育ち盛りの上訓練の毎日で、部活をやっている現在の中・高生と同じように

よく食べたことでしょう。

展示室の中には、前述の土門拳が、同期生のもとへたくさんの大福を運んでいる

練習生の姿を写した写真があります。

早く食べたくて食べたくて、のどからにゅーっと伸びる手が見えてきそうな

そんな表情をしています。

もし、彼らに柏餅を差し入れることができたとしたら、

どんな笑顔がかえってくるでしょうか。


俳句の会の皆様、予科練の風景が見えてくるような素晴らしい句をありがとうございました。

またのお越しをお待ち申し上げております。


 皆様もお越しの際にはぜひ一句。 字余り。


中学生の校外学習

5月 21st, 2010


みなさんこんにちは

今日の阿見町は、快晴。

初夏の汗ばむような暑さになりました。


館内には、外の暑さとはうらはらに、いつも違う雰囲気が漂っていました。

今日は、初めて中学生の生徒さんに展示解説をするからです。


小学生に案内経験のある解説員さんも戸惑い気味。

自分が中学生のときどんな勉強していたか?

どうしたら中学生にわかりやすく説明できるだろうか?と不安な様子。


しかし、そこはたくさんのお客様をお迎えしてきた解説スタッフ

学校では学べない阿見町の歴史と戦争の怖さを伝えられたら

いいなということになりました。


午後、いよいよ中学生の到着です。

来館していただいたのは、土浦市にある常総学院中学校3年生の

生徒さん38名です。





最初に元予科練生のお話を聞きます。

どの生徒さんも熱心にメモを取りながら聞き入っていました。



それから、展示室を回ります。

下の写真は、予科練生の訓練風景や教育の様子を展示した部屋です。

予科練生と同世代の中学生、試験問題や当時の

教科書やノートを食い入るように見ていたのが印象的でした。 



映像の部屋に入る前のわずかな待ち時間もメモを整理する生徒さんたち


1時間半かけて7つの展示室を見学して疲れたと思いきや、

その後、自分の印象に残った部屋をもう一度見てまわりました。


自分たちが学ぶ学校のとなり町の歴史について、いろいろな事を感じとって

いただいたような気がします。



これから高校、大学と進学して社会に出て行くと、

楽しいことや困難なことをたくさん経験していくと思います。

そんな時、自分の命を懸けて猛訓練や猛勉強に励んだ

予科練生のことを思い出してほしいと思います。



いろんな経験を積んで素敵な大人になってほしいと願っています。



中学生最後の1年が素晴らしい年になりますよう、スタッフ一同

応援しています。