「記念館がふるさと」

2月 12th, 2011

寒さ続く2月2日(水)、
この予科練平和記念館も開館1周年を迎えることができました。

この1年間で88,000人余のお客様が全国各地からお見えになり、
記念館にお迎えすることができました。
ご来館頂いた方々に深くお礼申し上げます。
このようなご好評をいただけたのも、
関係者や協力者の多大なるご支援とご理解があったからからこそと、
感謝申し上げます。

思い起こせば開館間際は、猫の手も借りたいほどの忙しさの中、深夜まで準備に終われ、
これからどうなるのかと不安で一杯でした。
そして開館前日には、雪が降り眠れぬ夜となりました。
しかし、一夜明けてみると、不安を吹き飛ばす大盛況、
700人以上もの方々で館内は大賑わいとなり、
胸を撫で下ろしたことが遠い昔のように感じられます。

慌ただしい1年間でしたが、
戦争体験者や元予科練生や色々な方々にお会いする折り触れ、
戦争の悲惨さ・過酷さ・残酷さを痛感する日々でもありました。

そんな中、1年目のこの日、
一人の元予科練生のAさん(甲種13期生・土浦海軍航空隊入隊)が、
1周年ということで神奈川県からわざわざご来館されました。
Aさんは、何度もお越しになっておられますが、
この記念館は、私の「ふるさと」であり、
「ここに来ると元気が出る、色々な人に私のふるさとを伝えたい。」
とおっしゃっておられました。
Aさんは、予科練に憧れ入隊し、昭和19年6月に土門拳が、
土浦海軍航空隊の予科練生(甲13期)を撮った時の分隊員でした。
多くの仲間と過した青春の日々、格別の思いがあるのでしょう。
また元気でお越し下さい。

そしてもう一方ご紹介したいと思います。
昨年11月に短歌愛好会の皆様が、ご来館されました。
兵士たちへの思いを詠んだ詩が届けられましたので、
一部ご披露したいと思います。
○鳴り響くモールス信号切れたとき若鷲尽きたる証なりと
○展示さる少年兵の遺書読みぬ純真なりしよ涙誘いぬ
○若きらの命捧げし阿見の地に平和を希う館の成れり
○この平和尊き命の賜物ぞ守らねばならぬ責任重し
すばらしい詩ありがとうございました。
これからもたくさんの詩、詠んでください。

2年目を迎える今年、沢山の来館者にお出でいただける様、
夏期特別展や収蔵品展などの事業にも力を入れて行きたいと考えています。
皆様にご満足いただける記念館を目指し、職員一同精進してまいりますので、
どうぞ一度足をお運び下さい。
武器学校の梅の花も咲き始め、皆様を歓迎しています。

平成23年2月12日
館 長 糸賀 富士夫

1周年を迎えて

2月 2nd, 2011

 みなさんこんにちは(*^ー^*)

今日も穏やかに晴れた予科練平和記念館です。


当館は今日、開館1周年を迎えることができました`*:;,.★ ~☆・:.,;*

多くの方に支えられて、無事に1年間、開館できたことを本当に嬉しく思っています。

お陰さまをもちまして、昨日の時点で、8万8千人を超すお客様にご来館いただくことが

できました。

ご来館くださいました皆さん、ありがとうございました。


予科練平和記念館も、無事に一つ年を重ねて、心なしかすこし誇らしげな感じに見えます。



阿見町ライオンズクラブさんが、館の近くに桜の木を植樹してくださいました。

ありがとうございます。

植えたばかりでまだ落ち着かないかもしれませんが、春にはきれいな桜の花が

シルバーの予科練平和記念館に優しいいろどりを添えてくれることと思います。



思い返してみると、1年前の昨日は大雪でした。

先の見えない不安を抱えながら過した去年の今ごろのことは、今でも忘れることができず、

時々思い出しては、あのときよりはまだ大丈夫だと自分を励まします。


それは、多分他のスタッフも同じだったと思います。

特に、お客様と深く関わる展示解説員さんには、十分なフォローができずに

とても申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、

解説員さん一人ひとりがとてもすばらしく、準備不足や至らない点をみんなで補って

とても良い流れをつくってくださいました。

この1期生が作ってくれた、お客様を大切にお迎えする気持ちや姿勢が

これからも受け継がれていくことを願っています。



また、以前館内売店のスタッフをしてくださっていたMさんからお花をいただきました。

とても素敵なので窓口に置かせていただいてます。



お花があると、場が華やかになりますね。

Mさんの笑顔のように、とってもキュートでかわいいお花ですね。

どうもありがとうございました!


また、元予科練生からもお祝いのお言葉やお電話をいただきました。

皆さん本当にありがとうございます。


お昼過ぎには、前町長と奥様がおみえになりました。

“今日はお誕生日だからね”と、奥様が素敵な笑顔でおっしゃったのが印象的でした。



明日からは、予科練平和記念館にとってまた新しい1年の始まりです。

人間でいえば、ちょうどはいはいを過ぎて、徐々に行動範囲が広がっていく

ころでしょうか。

予科練平和記念館も、まだまだ試行錯誤のところがありますが、

これからは、いままで当館をご存知ではなかった方にも広くお知らせして、

激動の昭和を駆け抜けた「予科練」の少年たちを知っていただき、

今の平和の大切さを感じていただけるよう、頑張ってまいります。


2年目の予科練平和記念館にも、皆さんの応援を宜しくお願い申し上げます。


ウララ講演会のお知らせ

1月 30th, 2011

みなさんこんにちは(o^-^o)

今日も寒いですが、空の色を映して

穏やかな霞ヶ浦が見える予科練平和記念館です。

先週、先々週と、研修に参加したり風邪でダウンして

しまったりで、

ブログの更新が遅れてしまいました。

申し訳ございませんでした。

乾燥した日々が続く中、風邪もインフルエンザも大流行していますので、

皆さんもどうぞお気をつけください。


さて、夕べのサッカー日本代表の試合を頑張って応援したので、

今日の日差しがまぶしい方も多いのではないでしょうか。

それにしても、ザックジャパンはすごかったですね!!

(*^ー^)/°・:*【祝】*:・°\(^ー^*)

お互いを信頼した上で自分の仕事をきっちりこなすから、

チーム全体として良いプレーができるんだなぁ、と感動しました。

GKの川島選手も抜群の安心感でチームを支えていましたね。

出場できなかった選手のユニホームがベンチにおいてあるところも

ぐっときました。

こうして厳しい状況の中で頑張っている人の姿をみると、

とっても元気をもらえますね。

夕べ一生懸命応援されたみなさんも、たくさんの感動や元気を受け取られたでしょうか。

そのままにしてしまうのはもったいないので、ぜひそのエネルギーを循環させてくださいね。



さて、先日お知らせいたしました2月13日(日)開催予定の

ウララ講演会ですが、多数のお申し込みをいただき、誠に

ありがとうございました。

お申し込みいただいた方の数が、予定していた会場の収容人数を

越えそうだということで、

茨城県県南生涯学習センターさんのお取り計らいで、より広い会場で

お話させていただくことになりました!


このブログでもおなじみの、元甲種第14期予科練生の戸張礼記さんが

当時の歌謡曲等も交えてご自身の予科練時代の体験をお話して下さる予定です。

やる気満々の戸張さんは、パソコンを駆使してパワーポイントで

資料を作っていらっしゃいます。

みなさんもぜひ、お元気な戸張さんのお話を聞きにいらしてくださいね。


私も、戸張さんの前座で予科練についてお話させていただく予定です。

広い会場になって緊張も倍増していますが、皆さんにお会いできるのを

楽しみにしております。

詳細は、県南生涯学習センター(029-826-1722)へお問い合わせください。


 ★。、::。.::・’゜☆。.::・’゜★。、::。.::・’゜


ウララ講演会 『「予科練」と呼ばれた少年たち』

平成23年2月13日(日) 14:00~15:40

県南生涯学習センター (土浦市大和町9-1 ウララビル5階 ℡:029-826-1722)

入場無料


「今も昔も」

1月 23rd, 2011

23th01.2011

日本海側では、記録的な大雪となっている一方、
関東平野では、ひと月以上一滴の雨も降らず、
髪の毛が逆立つような乾燥ときびしい冷え込みが続いてるこの頃ですが、
自宅の庭先に、一輪の水仙が咲き初(そ)めて居るのをみつけました。
暦どおり新春を感じさせてくれると同時に、
春の足音が聞こえてきそうなひとコマでした。

さて先日、航空自衛隊の戦闘機パイロットの教育や訓練の様子が、
テレビ放映されていました。
隊員である彼らは、パイロットに憧れ、
空を飛びたい一心で自衛隊に入隊したそうです。

60年以上前、ここ阿見町で生活していた少年たち(予科練生)も、
空に憧れ、パイロットになるため、
海軍航空隊に入隊し、厳しい訓練を受けていました。
今も昔も「空」を思う少年たちの気持ちは、同じなのだなと実感しました。

航空自衛隊の飛行訓練は、2人1組になって試行教育を3ヶ年受け、
パイロットとなり卒業するそうです。
そして、戦闘機パイロットとして更に厳しい訓練を受け、
一人前になっていきます。

予科練生も予科練(飛行予科練習生)を卒業すると予科がとれ、
飛行練習生として練習機に乗っての一段と厳しい訓練が始まります。
その後、実戦機訓練を行い、戦地に赴きました。
少年たちは、死と隣り合わせの局面に、
又上官の厳しい指導に正面から向き合い、
めげることなく夢を追い続け、一人前に成長していきました。

成功の秘訣(夢をかなえられるか否か)は、
「自分は何がすきなのか」を見出せるか否かだと思います。
好きなことしているから楽しい。楽しいから続けられる。
続けるから強くなれる。強くなるから困難を乗り越えられる。
困難を乗り越えた時、人は多くの学びと自信、
そして謙虚さを身に着けることができると思います。
「好きなことをする」とは、「継続は力なり」につながります。

だから、夢を持っていた少年たちは、
厳しい訓練にも耐えられたのだと思います。
テレビの前で夢を語る航空自衛隊パイロットの最終目標は、
ブルーインパルスだそうです。

予科練生たちも、今の平和な空をどれほど待ち望んでいたでしょう、
どれほど飛びたかったでしょう。心が詰まる思いがします。

平成23年1月23日
館 長 糸 賀 富士夫

大人の仲間入り

1月 10th, 2011

みなさんこんにちは\(^-^*)

今日も冷え込みましたが、からりと晴れ上がった青空が

見えた予科練平和記念館です。




窓際のベンジャミン君も、暖かい日差しを浴びて気持ちよさそうです。

展示解説員のOさんがていねいに面倒をみてくださっているので、

いつもいきいきと元気にお客様をお迎えしています。


窓の外には、芝生で凧をあげているお父さんと小さい男の子たちの姿が見えました。

みんなでとっても楽しそうに笑っていて、心和む風景です。

ほかの子どもたちも、公園の遊具で遊んだり丘のようにつくられたところを

駆け上がったりして、元気に遊んでいました。



さて、今日は成人の日です。

この3連休のうちに、きれいな晴れ着姿の新成人のみなさんをお見かけした

方も多いのではないでしょうか。

成人の日が戦後にできた祝日だということをご存知でしたか?

私は恥ずかしながら今日初めて知りました・・・。


予科練平和記念館のある阿見町では昨日が成人式でしたが、

今年の新成人の数は全国で124万人で、これまでで一番少ないのだそうです。

少しさみしいニュースですね。


そういえば、昨日始まった大河ドラマ「江」を見ていて、そうなのだなぁと思った場面が

ありました。

主人公の母お市の方が、実の兄織田信長と、夫である浅井長政との戦の最中に

江を生むことをあきらめようとするシーンで、

時任三郎さん演じる浅井長政が、鈴木保奈美さん演じるお市に、

生んでくれ。この子は希望ぞ。

と言うところです。

命をつなぐことへのシンプルな喜びと、赤ちゃんが持っている生きるための

強い力のようなものが、

義理の兄に間もなく命を絶たれてしまう浅井長正の無念さや悲しさと

対比されているような気がして、

とても切なくなりました。


江が産声をあげた時、敵方も味方も一時争いを止めて、赤ちゃんの声が聞こえると

言って空を見上げるシーンもありました。

実際にはありえないことかもしれませんけれど、人が生まれることの神々しさや大切さが

わかりやすく表現されているなぁと思いました。


少子化の現代日本にも、たくさんの希望が生まれるといいなと思っています。



そして、1990年に生まれて20年間一生懸命頑張ってきた新成人の皆さん、

大人の第一歩おめでとうございます!!

大人の世界は想像以上に厳しいですが、皆さんはこの先も力強く生きていける力を

持っているから、

無事成人を迎えられたのではないかなと思います。

こんなへなちょこな私でも、たくさんの人に助けていただいて何とか頑張れているので、

皆さんならきっと大丈夫です!と勝手にエールを送らせていただきます。

今感じている悩みや苦しみは、形を変えるだけで大人になってもなくならないけど、

厳しい世界を生きて行く力になります。

時間だけは誰にでも平等に与えられていて、使い方は自由です。

人生の最期の時によかったと思えるように、

自分で自分のプロデューサーになって、どんどん素敵な大人に育ててくださいね。


皆さんの門出を心より応援しています。

ぜひ一度、予科練平和記念館にもご来館くださいね。

皆さんの命がとても大切なもので、今を生きているのはとても幸せなことだと

感じていただけると思います。


「迎春」

1月 5th, 2011

明けましておめでとうございます。
昨年は、たいへんお世話になり、誠にありがとうございました。
皆様におかれましては、お健やかに新春をお迎えのことと思います。
ここ予科練平和記念館は、1月4日から通常とおり開館していますが、
まだ松の内ということもあり、お客様は少なめで、
平成23年の新春を、穏やかに迎えています。

今年は、私が予科練平和記念館に勤務してから、初めて向かえるお正月となりました。
我家の毎年の恒例行事となっている、自宅からほど近い霞ヶ浦での初日の出参拝も、
何か違った趣を感じました。
今年は、特に穏やかな朝で、日の出と共に湖面が輝き、とてもすばらしい光景でした。
60年余り前、この霞ヶ浦の湖畔で、
自ら求めて厳しい訓練を受けた予科練生たちも、同じ初日の出に望み、
国難をしのぐ強い気持ちで、新年を迎えたのだろうと、
想像しながら眺めていると、初日を浴びて輝いている少年たちの姿が、
浮かんできそうな、そんな初日の出となりました。

私は、昨年の功徳に感謝し、
また新たな気持ちで、新年を迎えられた平和な社会に感謝し、幸せを感じています。
平和なお正月を迎えるという事実が、永久に継続されることを切に願って止みません。
そして今年も、「予科練と呼ばれた昭和の少年たち」の気持ちを、
少しでも多くの人に伝えられればと思っています。
今年は、収蔵品展や特別展を充実させて参りたいと考えておりますので、
是非一度ご来館頂きますよう、スタッフ一同、心よりお待ちしております。

今年一年が皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げて、
新年の挨拶とさせていただきます。

平成23年1月5日
館 長 糸 賀 富士夫

あけまして2011年

1月 4th, 2011

みなさんこんにちは(*^-^*)

新しい年、2011年がはじまりましたね。

今年はうさぎ年。みなさんにとって、飛び跳ねるように

楽しいことがたくさん起こる一年になりますよう、お祈り申し上げます。


この年末年始は有意義にお過ごしでしたでしょうか。

楽しかったお休みが終わってしまい、今日から頑張ってお仕事!という方も

たくさんいらっしゃることと思います。


予科練平和記念館も今日から通常通り開館しています。

新年の開館初日はとびっきりの快晴!

すがすがしく穏やかな青空が広がっていました。

外は冷えますが、ラウンジには大きな窓から暖かい日差しが降り注いで

ぽかぽかととても暖かく、

窓の外にはわんちゃんと一緒にのんびりお散歩をしているおじいちゃまが見えました。

とても幸せな風景だなぁ・・・と思いました。



朝一番にご来館くださったお客様には、ささやかですが当館のガイドブックを

プレゼントさせていただきました。

本日はご家族連れのお客様や初詣帰りの団体様で、館内はなんとなくほのぼのとした

雰囲気です。



さて、一年の計は元旦にあり、と申しますが、今日は予科練平和記念館の

今後のスケジュールをお知らせしたいと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1月10日(月)       

成人の日で祝日のため開館します。

翌11日(火)は休館日です。


2月2日(水)       

開館1周年記念日

予科練平和記念館の2年目がスタートします。


2月13日(日)       

平成23年度生涯学習講演会『「予科練」と呼ばれた少年たち』 開催


14:00~15:40

茨城県県南生涯学習センター 中講座室1

(土浦市大和町9番1号 ウララビル5階  ℡:029-826-1101)

先着60名 入場無料

1月13日(木)9:00~ 県南生涯学習センター窓口またはお電話・FAXにて

お申し込みの受付を開始します。

電話:029-826-1722    FAX:029-826-1728

           

元甲種第14期予科練習生で、このブログでもおなじみの

戸張礼記さんのお話とともに、「予科練」とはどういったものであったのかを    

やさしく解説します。

会場が予科練平和記念館とは別の場所になりますので、

お間違えなくどうぞ。

お問い合わせは茨城県県南生涯学習センターへお願いします。


茨城県県南生涯学習センターHP

http://www.kennan.gakusyu.ibk.ed.jp


2月14日(月)~18日(金)

館内で資料の整理消毒作業を行ないますので、臨時休館になります。

 ご迷惑をおかけいたしまして、大変申し訳ございません。

人体に影響を及ぼす可能性のあるガスを使用しますので、記念館周囲の

敷地内が一部入場規制になる場合があります。


2月27日(日) 

第2回所蔵資料展「戦後の予科練」展最終日

 3月より第3回所蔵資料展がはじまります。


春休み期間中 

ご来館のお子様に、紙でつくる九三式中間練習機キットをプレゼント!

ちょっと難しいかもしれませんが、ご家族でぜひ挑戦してみてください!


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


このほかにも、4月以降、元予科練習生のお話し会やレコード鑑賞会、

開館1周年記念特別展など様々な事業を行なってまいります。

こちらのブログでも逐次ご紹介いたしますので、ぜひご覧ください。



予科練平和記念館は、今年もご来館のお客様に色々なことをたくさん考えていただき、

時には戦時を生きた少年たちの姿に、うさぎのように目を赤くして深く感じていただける

施設でありつづけたいと思っておりますので、

今年もどうぞご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。


2010年最後の開館日

12月 28th, 2010

みなさんこんにちは(^^)/

暮れもいよいよ押し迫ってきましたね。

大掃除やお正月の準備でお忙しい毎日を送っていらっしゃるでしょうか。

風邪が流行っていますので、頑張りすぎずお体ご自愛くださいね。


今日は予科練平和記念館の今年最後の開館日です。

静かな一日が暮れようとしています。



朝一番に、これから休館になるから、と、売店にある千人針をモチーフにしたお守りを

お求めになるためにご来館くださったお客様がいらっしゃり、なんとなく年の瀬を感じました。



今年一年をふりかえると、2月2日の開館から今日まであっという間でした。

元予科練生をはじめ、全国からたくさんのお客様にご来館いただけたことを、

本当に嬉しく思っております。

また、たくさんの方にご支援をいただき、こうして毎日無事に開館できることに

深く感謝しております。

毎日が試行錯誤の連続で、お客様にはご迷惑をおかけしたところも

多々あったことと思います。

来年は今年の至らなかったところを反省し、良かったところはさらに伸ばして

お客様により気持ちよくご来館いただけますよう、頑張ってまいりたいと思います。



また、今年はディスプレイデザイン大賞はじめ3つの賞をいただけたことも

大きな喜びでした。

紙上で展開されていたプランが実際に形になるまでには、こんなにもたくさんの人の知恵と

労力が必要なのだ、ということを実感した準備の日々でしたが、

このように評価していただけてとても嬉しく、光栄に思います。

これからも受賞に恥じない記念館でありたいと思います。




外に出て見ると、館の前にある桜の木に、春に芽吹く若葉の固いつぼみがついていました。

この桜がまた花をつける頃、私たちはどのようになっているのでしょうか。


できれば今よりもたくさんの人が笑顔でありますように、と、願っています。


皆さんもどうぞよいお年をお迎えくださいね。

新しい年がよきものとなりますよう、お祈りしています。


今年一年、本当にお世話になりました。

来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


「1年間の締めくくり」

12月 24th, 2010

日本列島に寒波が押寄せ、今年一番の寒さとなった12月16日、
当記念館の建設に多大なるご協力を頂いた団体、
財団法人海原会の法人変更祝賀会に参列させて頂きました。

場所は、日本初の超高層ビル(36階建)として知られる霞ヶ関ビル(昭和42年竣工)
でした。
激動の昭和を駆け抜けてきた、昭和を象徴する建物でもあります。

私事ですが、私が始めて上京したのは、
今から50数年前の昭和30年代で、丸刈り坊主の似合う小学生の頃でした。
土浦駅より蒸気機関車に揺られ2時間ほどかかりました。
正月などは、人があふれんばかりのすし詰め状態のため、
窓から降りたこともありました。
その頃は勿論、高層ビルや高速道路などあるはずもありません。

戦後65年が経ちましたが、終戦の焼け野原のから道路ができ、
高層ビルが立ち並び、高速道路が建設され、新幹線や地下鉄が整備され、
大都市東京が形成されてきました。
日本人の知恵と実行力の凄さにあらためて感心させられます。

そしていつも思うのは、
予科練生をはじめ日本の発展と平和を願い、戦場に赴いた人たち、
そして、戦後、日本を築き上げてきた先人たちの功労があったからこそ、
今の日本の繁栄があるという事実を、忘れてはならないということです。

私たちは、戦争で亡くなった人たちの思いや戦後の人々の功績を忘れず、
この平和な社会の継続に寄与しなければなりません。

今年も余すところ数日となりました。
本年は、皆様方のご理解とご協力により全国各地より、
たくさんの人たちにご来館頂き、順調な滑り出しとなり、
軌道に乗せることができました。

来年は、当館も2年目を迎えますが、余り背伸びせず足元を見つめ、
記念館としての役割が果たせればと考えております。
今後も来館者のご意見に耳を傾けながら、
より良い運営に努めてまいりたいと思いますので、
引続きご愛顧をいただくと共に、皆様のご来館を心よりお待ちしております。

最後に、来る平成23年も皆様にとりまして、良い年となりますようお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

平成22年12月24日
館長 糸賀富士夫

戦場のクリスマス

12月 22nd, 2010

みなさんこんにちは(*^-^*)

あちこちでとってもきれいなイルミネーションを見ることができて、

クリスマス時期は夜がとっても楽しげな感じになりますね☆ミ

デパートや百貨店などだけではなく、個人のお宅でも

きれいに飾り付けられているのを見ると、暮らしを楽しむ気持ちの余裕って

大切だなと思います。


先日ディスプレイデザイン大賞をいただいた授賞式でも、

受賞者に渡されたコサージュは、通常使われるバラではなくて、

クリスマス仕様のポインセチアでした。



さすが日本を代表するデザイナーさんたちが集まる授賞式。

季節感を取り入れておしゃれです。



皆さんもよくご存知のとおり、クリスマスはイエス・キリストの降誕日ですが、

日本では明治時代あたりから、百貨店の宣伝戦略にのって

都市部でクリスマスの概念が普及しはじめ、昭和時代の初め頃には年中行事の一つとして

生活の中に定着していったようです。

日本の文化は重層的であるとよく言われますが、

古代から「楽しいこと」とか「素敵なこと」「新しいこと」を自分たちの文化に

うまく取り入れてきたご先祖様のおかげで、今の日本の不思議で興味深い文化が

あると思うと、この国に生まれてよかったなぁと思います。


さて、クリスマスに話しを戻しますが、実は予科練平和記念館に展示している資料の

中にも「クリスマス」の言葉を見つけることができるんです!


戦時中の資料にそんなのがあるのかな、と思われるかもしれません。

私も見つけたときはちょっとびっくりして、そして心を動かされました。

当時日本の軍人として戦った人の、心の深いところに触れたような気がしたからです。


それでは皆さん、できましたら坂本龍一作曲の「戦場のメリークリスマス

(Merry Christmas Mr. Lawrence)」を頭の中で流していただいて、

この先をお読み下さい。



予科練平和記念館の展示室4「飛翔」の出口付近に、胸ポケットに入るサイズの

小さな茶色の手帳があります。


これは、太平洋戦争中の1942(昭和17)年10月から翌1943(昭和18)年1月にかけて

海軍の飛行機乗りだった篠原政男(しのはらまさお)さん、という方が

前線での日々を記していた日記です。

篠原さんはこの時、奥さんと2歳になる娘さんを日本に残して、

南太平洋ソロモン海に浮ぶショートランド諸島で、

死と隣り合わせの日々を送っていました。

篠原さんは予科練出身者ではありませんが、この日記は、

当時のパイロットがどのような行動をしていたのか、どのようなことを考えていたのかを

知ることができる貴重な資料ですので、当館では手にとって自由にご覧いただけるよう

本にして展示をしています。


日記のページをめくっていくと、

はるばる船でたどり着いた前線基地で、時には空襲に肝を冷やし、

時には妻や娘の姿を夢に見ながら出撃を続ける篠原さんの姿が

簡潔で短い文章から伝わってきます。

このころ、海軍はガダルカナル島周辺で激しい戦いを繰り広げ

たくさんの人が命を失っていました。


近々大きな戦闘があることを予期しながら迎えた12月25日、

クリスマスの日の篠原さんの日記です。


一七・一二・二五

大正天皇祭

〇六一五遥拝式なれ共「ムンダ輸送隊」の対潜直ちに出たるため

機上にて遙に北方を拝す「クリスマス」

いよいよ暮も迫り今日を期して反撃を予期したるも何等の反撃なし

少々物足りなさを覚ゆ



12月25日は大正天皇崩御の日で、当時は大正天皇祭として祝日でした。

この日は午前6時15分に皇居を遥拝(=遠くから拝むこと)する式典が

ある予定でしたが、篠原さんは朝早くから敵の潜水艦攻撃を警戒するために

出撃したので、飛行機の中から遥か北の日本を拝した

クリスマスの日であった、と書かれています。


この「クリスマス」という言葉、前後の文面からみると少し唐突な感じがありませんか?


私の勝手な想像なのですが、この頃すでに「クリスマスはこどもがプレゼントを

もらえる日」という認識があったようですので、もしかしたら篠原さんは、

南海の機上から拝したはるか遠くの日本で、

小さなわが子がクリスマスプレゼントをもらって喜ぶ姿を想像なさっていたのかな、

という気がするのです。

いつ永遠の別れになるかわからない状況にある篠原さんにとって、

家族の幸せそうな笑顔は何にもかえがたい宝物であり、

その気持ちを「クリスマス」という言葉に凝縮して記されたような気がしてならないのです。


 ・゜・。・*:.。.:*・゜


篠原さんの戦地での日記は、新年あけて1月15日まで続いています。

日記の最後の日、運命の1月15日。

篠原さんは味方の機とともにアメリカ軍の戦闘機B-17・P-39と

激しい空中戦になります。

乗っていた飛行機は攻撃を受けて空中分解、自身も深手を負ってパラシュートで脱出します。


死を覚悟しながら海へ向って落ちていく篠原さん。

そこに、一つの奇跡が起きます。

家族への想いが引き起こした、命の奇跡です。


続きはぜひ、予科練平和記念館展示室4でご覧になってみてください。


ちなみに、篠原さんは戦後新聞記者となって活躍されました。

娘さんは予科練平和記念館建設に大変お力添えをいただき、

今もときどきご来館くださって、お父様の日記をじっとご覧になっていらっしゃいます。


 ・゜・。・*:.。.:*・゜



さて、搭乗員の日記に残されていた68年前のクリスマスをご紹介しましたが、

皆さんは今年、どのようなクリスマスをお過ごしになるのでしょうか。

せっかくご先祖様が取り入れてくださった楽しい年中行事ですので、

できればどうぞ、ご家族やお友達、大切な人と楽しくお過ごしくださいね。


そして、昭和のあの時、クリスマスに家族を遠くから想うことしかできなかった

方たちがたくさんいたことも、少し思い出してみてくださいね。