歴史調査委員のおじいちゃん

7月 15th, 2019

今日は「海の日」です。もうすぐ楽しい夏休みのはずが、当館から見えるのはどんよりとした曇り空。今年はいつになったら梅雨が明けるのでしょうか。

 

先週は歴史調査委員の方々との開館10周年記念事業の打ち合わせでした。来年2月で開館10周年となります。記念事業内容については決定次第HP等でお知らせするといたしまして、今回は「歴史調査委員」について少しお話させていただきます。

 

当館には歴史調査委員という予科練を中心とした近代阿見町の歴史を調査・研究している委員の方々がいらっしゃいます。御年91歳になられる元甲種第14期海軍飛行予科練習生の戸張委員をはじめ、元自衛官で教官等を務められた赤堀委員、中川委員、大橋委員の4名の方々です。

 

主な調査研究の成果としまして、これまでに「阿見と予科練」、「予科練ものがたり」、「続・阿見と予科練」、「海軍航空隊ものがたり」、「戦後70年記念特集『あの日あの時』」等を発刊し、その編纂に携わっていただいております。

私も先日、その成果としての阿見大空襲についての詳しい内容を伺いましたが、証言等による当時の様子とデータ等による科学的な根拠から、今その場所にいるような感じになったことを覚えています。本当に時間をかけて詳細に調査研究をされていると感じました。

 

また、日々の調査研究の傍ら、講演会講師や特別展への指導助言、ときにはやさしいおじいちゃんとなって小中学生の宿題等の歴史学習にも一役買っていただいております。特に戸張委員には当時の予科練生としての貴重な体験を、中高生等を対象に講演をしていただいております。同年代の中高生には何か感じるものがあるのではないでしょうか。

 

我々職員の業務においても相談にのっていただくこともあり、当館を影で支えていただいている方々でありなくてはならない存在です。失礼かもしれませんが、若い職員にはまさに「良きおじいちゃん」ではないでしょうか。

 

長引く梅雨による日照不足の影響でしょうか、今年の蓮の花は少し遅いようです。当館周辺の蓮田はまだほんの少しといった具合です。

今月20日(土)は「なつやすみミニイベント予科練こども会」を予定しております。

皆様方のご来館をお待ち申し上げます。

阿見大空襲の日と収蔵資料展

6月 16th, 2019

今年も6月10日を迎えました。

今から74年前の昭和20年(1945年)の朝に、当時予科練生が訓練を行っていた土浦海軍航空隊と周辺地区が米軍のB29爆撃機による大規模な空襲を受け、370余名の方が亡くなりました。

当時の様子を調査した当館歴史調査委員に伺いましたが、聞くに堪えがたい惨状であり、ただただご冥福を祈るのみでした。こののどかな町にも戦争による悲惨な出来事があったことを忘れてはならないと、改めて感じたところです。

当館ではその空襲の資料展示及び再現した映像を放映するとともに、その惨状を忘れず伝承するため毎年6月10日は無料開館日としております。

 

当館にはご遺族の方などから寄贈された遺品等の資料約1万5千点を収蔵しております。その中には予科練以外の資料も多数存在します。これらの未だ展示されていないものを中心に、毎年前後期2回の収蔵資料展を開催しております。

本年度前期の収蔵資料展は「それぞれの記憶」と題し、ご寄贈いただいた方々の資料に籠められた「記憶」や「想い」を感じ取っていただければと企画したものです。

9月1日まで開催しておりますので、ぜひご来館ください。

 

今年も平年並みの梅雨入りとなりました。体調管理には十分気を付けたいものです。

当館周辺のいたるところで紫陽花が色づきました、白、青、紫、ピンク・・・。

皆様方のご来館をお待ち申し上げます。

池太郎氏講演会と第52回予科練戦没者慰霊祭

5月 14th, 2019

皆様、10連休はいかがお過ごしになられましたでしょうか。当館には大勢の方にお越しいただきまして誠にありがとうございました。遠方からの方々も多数見受けられ、経済効果は十分にあったものと思われます。

桜が終わり新緑の季節となりましたので、これからバラが見頃を迎える季節となります。待望の開花までつぼみの膨らみに一喜一憂する毎日です。

 

新しい時代の幕開けとなった5月は、令和元年に相応しい講師の方をお招きしての講演会を予定しております。最新情報でもお知らせしておりますが改めて紹介をさせていただきます。

 

前海上自衛隊呉地方総監 海原会顧問 元海将池太郎氏による講演会を25日(土)に開催します。池氏と当館との関わりは、氏が海上自衛隊教育航空集団司令官時に、教育資料作成のための当館からの資料提供や、航空学生の教育一環としての当館見学研修を取り入れたこと、並びに退官後に海原会顧問に就任されたこと等があり、講演が実現することになりました。

題名である「伝統の継承」(海軍航空から海自航空へ)は正に海軍飛行予科練習生から現在の海上自衛隊航空学生へ引き継がれているものです。

また、6月2日(日)には海原会主催による第52回予科練戦没者慰霊祭が陸上自衛隊武器学校内の雄翔園で開催されます。式典は午前11時から国旗掲揚、海上自衛隊による儀仗(弔銃)、黙祷で始まり、献花、予科練生の遺書の朗読、遺族代表の挨拶、若鷲の歌奉唱など奉納行事が行われます。式典には一般の方も参加できます。なお、当日当館は無料開館日となっております。

とても過ごしやすい季節となりました。皆様方のお越しを心よりお待ち申し上げます。

着任しました

4月 16th, 2019

着任から2週間が過ぎましたが、当館敷地の桜はまだ綺麗に咲いています。

今日はまさに陽春そのもの。陽光の中を染井吉野の花びらが舞い、大島桜の美しい花の白と新緑の緑が今見ごろを迎えています。八重咲きの里桜は蕾がほころびはじめたばかりです。

このような穏やかな日が未来永劫続くことを願いたいものです。

 

4月の人事異動では私館長と館長補佐が代りました。また館内を案内する展示解説員は2名が新しい方となりました。只今猛特訓中で連休明け頃から解説開始を予定しております。

 

予科練平和記念館とその敷地である霞ヶ浦平和記念公園は、構想から約20年、開館から10年の節目の年を迎えようとしています。当館はこれまで数えきれない方々のご支援ご協力により建設運営がなされてまいりました。私自身も構想と基本計画に携わった人間として、また予科練が存在した自治体の使命として、改めて当館の目的である歴史遺産伝承と恒久平和実現を目指して運営していきたいと考えます。

来月より「令和」という新しい時代がスタートします。本日のような穏やかな日々の時代となることを願います。

 

4月27日から5月6日までの10連休は休まず開館いたします。なお、5月1日の即位の日は無料開館日となりますので、皆様方のご来館をお待ち申し上げます。

 

 

海軍道路と桜並木

3月 6th, 2019

このところ天気が変わりやすく傘を手放せなくなっていますが、日一日と春めいてきています。間もなく桜の開花の便りが届くと思いますが、今回は町の桜並木の話です。

霞ヶ浦海軍航空隊は大正11年に開隊しましたが、開隊して間もなく航空隊本部から霞ヶ浦湖岸の土浦海軍航空隊(当時は霞ヶ浦海軍航空隊の水上班)まで直線で結ぶ幅員約15m(8間)の広い道路が建設されました。さらに土浦海軍航空隊の手前を左折して常磐線土浦駅まで向かう道路は曲がりくねった狭い道でしたが、拡幅され直線の道路に改良されました。霞ヶ浦海軍航空隊から土浦駅までの区間を結んでいた道路は「海軍道路」と呼ばれました。海軍道路は従来の道路を大幅に広げて(一部は新設された)コンクリート舗装された近代的なものでした。

戦後になると、海軍道路の一部で土浦駅から阿見坂下を通り稲敷市に向かう道路は、国道125号線になりました。また、土浦海軍航空隊があった阿見坂下から霞ヶ浦海軍航空隊までの海軍道路は県道竜ケ崎阿見線の一部となっています。どちらも阿見町の主要幹線道路です。

海軍道路の両側には大正の末から終戦後まで約10メートルの間隔で桜が植えられていたそうです。現在はほとんど見られなくなり、坂の途中にわずかに2本が残っています。

茨城大学農学部を通る県道竜ケ崎阿見線(通称「茨大通り」と呼ばれている)の両側には桜並木があり、満開になると多くの人が楽しんでいる町の桜の名所です。海軍道路の桜並木をほうふつさせますが、この桜は戦後に植えられたものです。

 

 

9日に「おはなしとむかしあそびの会」を開催します。霞ヶ浦高校演劇部の生徒の皆さんによる絵本の読み聞かせのほか、バルーンアートや「むかしの遊び」で楽しみましょう。同時に「おもちゃの病院」も開催します。

収蔵資料展「絵葉書と日記-日々を綴れば-」を開催しています。寄贈いただいた資料の中から昭和20年以前に発行された絵葉書75点と、阿見町出身の予科練生だった木村孝正さんが昭和17年に書いた日記(今回は3月と4月分)を展示しています。日記の原本と書き起した文をパネルにして展示しており、今月から4月分を展示します。ぜひご覧ください。

霞ヶ浦神社と土浦航空隊神社

2月 1st, 2019

寒い日が続きましたが来週は立春になります。梅の開花の便りが間もなく届きます。

2月2日は当館の開館記念日です。入館は無料となりですので、皆様のご来館をお待ちしております。

当館は平成22年2月2日に開館し10年目となりました。今年は10周年記念事業を計画しています。日程など詳細が決まりましたら、お知らせいたします。

今月29日から収蔵資料展「絵葉書と日記-日々を綴れば-」を開催しています。寄贈いただいた資料の中から、昭和20年以前に発行された絵葉書75点と、阿見町出身の予科練生だった木村孝正さんが昭和17年に書いた日記の中から3月分を展示しています。(4月分を後期に展示します)ぜひご覧ください。

霞ヶ浦神社と土浦航空隊神社の話です。大正11年に阿見町で開隊した霞ヶ浦海軍航空隊は戦闘機の飛行訓練を行っていましたが、訓練中の事故が多く亡くなる隊員も大勢いました。当時戦死者は靖国神社に祀られましたが、訓練中の事故で亡くなった隊員は祀られませんでした。山本五十六元帥が海軍大佐だった40才の時に霞ヶ浦海軍航空隊に副長兼教頭として赴任しましたが、殉職者の慰霊のため、山本副長兼教頭が委員長になり霞ヶ浦神社建設調査委員会が作られ、霞ヶ浦神社が隊内に建立されました。終戦になると進駐軍の指示で霞ヶ浦神社は撤去されましたが、社殿が阿彌神社に移設されて現在も保存されています。また、茨城大学農学部内に社殿を固定したコンクリートの基礎が残されています。

土浦航空隊神社は予科練生の訓練を行っていた土浦海軍航空隊内に建立されていました。この神社は終戦になって奉焼されたと思われていましたが、予科練歴史調査委員の皆さんの調査により、社殿が土浦市の民家で守られていました。さらに鳥居が、つくば市の鹿島神社に移設されていたことも判明しました。

 

 

予科練生の教育と教科

1月 9th, 2019

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

今年は新しい天皇が即位され元号が改められます。昭和の時代が遠くなっていきますが、予科練平和記念館は昭和の戦争と予科練や海軍航空隊があった町の戦史を展示し、後世の人に正しく伝えてまいります。

 

今回は予科練生が受けた教育と教科についてです。

予科練生に対する教育は、航空搭乗員としての専門的知識と技能を習得する前の基礎教育を、また将来士官となるために必要な素養を身につけるために行われました。

『海軍飛行予科練習生心得』には、「修学に当りては、自ら求めんとする精神旺盛ならざれば、得るところきわめて少なし。練習生はすべからく自啓自発、疑わしきは徹底的にこれを問い、学びしところを反復復習し、その要点を把握するに務むべし。」と規定されていました。

予科練生の教育に組まれていた科目は、訓練科目として勅諭奉読、訓論、講話等の精神教育と体操、武道などの体育があり、普通学として国語、漢文、数学、物理、化学、歴史、地理などがありました。さらに軍事学として運用術、航海術、砲術、水雷術、通信術、航空術、機関術、軍制及び諸法規がありました。普通学は概ね現在の高等学校程度の内容でしたが、数学、物理、化学はそれ以上の高いレベルでした。授業は午前が座学で、午後に体操や武道が行われました。夏期は7時限で午前7時から午後4時30分まで、冬期は6時限で午前8時から午後3時30分まで行われ、さらに就寝前に温習(自習時間)が設けられていました。予科練生は優秀な操縦員になることを目指して、朝早くから夜遅くまで勉学や訓練に励んだのです。

 

今月は小学生や入学前のお子様向けのイベントを開催します。

12日(土)に「おはなしとむかしあそびの会」、19日(土)に「冬休みミニイベント

予科練こども会」をそれぞれ開催します。詳しい内容については、このホームページや広報あみをご覧ください。

2月2日は当館の開館記念日ですので、入館料が無料になります。この機会にぜひご来館ください。

旧鹿島海軍航空隊跡地

12月 2nd, 2018

11月14日に航空自衛隊熊谷基地司令の石村空将補から感謝状をいただきました。ありがとうございました。航空自衛隊熊谷基地は第4術科学校と航空教育隊第2教育群があり、新しい隊員の教育と訓練及び新隊員課程や幹部課程を卒業した隊員へ様々な訓練を行っています。熊谷基地からは毎年大勢の隊員が研修に来ていただいています。

先日 美浦村にある旧鹿島海軍航空隊跡地を対象とした内覧会があり、予科練歴史調査委員会委員と共に参加しました。鹿島海軍航空隊は、阿見町にあった霞ヶ浦海軍航空隊の水上班が移転して昭和13年に開隊しました。水上機の操縦訓練を行う練習航空隊であり、霞ヶ浦湖岸に水上機用の滑走台が設けられ、予科練出身の飛行練習生が93式水上中間練習機で猛訓練を行いました。戦後残された施設は東京医科歯科大学が霞ヶ浦分院として使用しましたが、その後北側の一部に国立環境研究所が置かれ、他の区域を美浦村が取得しました。

今回視察したのは美浦村が取得した区域で、鹿島海軍航空隊の本部庁舎や気缶場(ボイラーが設置されている)、自力発電所、号令台、自動車庫などが当時のまま残っており(本部庁舎は東京医科歯科大学霞ヶ浦分院により内部が改造されている)、他にも滑走台(スベリ斜面)やカタパルト跡、ポンドなどが残されていて、一部は土木学会選奨土木遺産に認定されている貴重な戦争遺跡です。戦争の記憶を伝える遺跡として保存・継承を進めていくことを期待します。

15日(土)午後2時から、講演会「日露戦争と乃木大将」を開催します。講師は予科練歴史調査委員会委員の大橋良一さんです。今回はかすみ公民館で開催します。車の方は記念館駐車場を利用していただき、バスで送迎いたします。

21日(金)午後5時30分から、記念館内20世紀ホールで「ウィンターコンサート」を開催します。土浦第三高等学校吹奏楽部の皆さんに、クリスマスの曲や若鷲の歌などを演奏していただきます。生徒の皆さんが練習を積んだ演奏をお楽しみください。コンサートの入館は無料で予約の必要もありません。

天皇誕生日の23日(日)に、当館は入館料が無料になります。この機会にご家族や友達と一緒に記念館をご覧ください。

早いもので、年末になりました。今年は来館者の数が累計で50万人を超えました。大勢の皆様にご来館いただきまして、ありがとうございました。

五省

11月 2nd, 2018

「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、日が暮れるのが早くなりました。当館が閉館する時間には写真のように暗くなっています。

 

先月15日阿見町シルバー人材センター会員の皆様に、記念館周辺で草取りなど奉仕作業をしていただきました。お蔭様で大変きれいになりました。代表の大崎忠さんほか参加された皆様にお礼申し上げます。

予科練生には軍人精神をしっかりと身につけさせるために、精神教育が行われました。

その中に予科練生が毎日行った「五省」があります。

「五省」は、日露戦争で連合艦隊司令長官であった東郷平八郎元帥の遺訓です。

 一、至誠に悖(もと)るなかりしか (誠実であったか)

 一、言行に恥ずるなかりしか (恥ずかしいことを言ったり、やったりしなかったか)

 一、気力に欠くるなかりしか (気力は充分だったか)

 一、努力に憾(うら)みなかりしか (努力が足りないことはなかったか)

 一、不精に亘(わた)るなかりしか (怠けることはなかったか)

予科練生の温習室にある各自の机には蓋の裏に「五省」が貼ってあり、机から物を取り出す時に目につくようになっていました。

夜の温習が終了すると、机の上をかたづけ姿勢を正して目を閉じます。予科練生は当番が読み上げる「五省」を聞き、心の中で復唱しながら一日の自分の行いを反省しました。

 

13日(火)は「茨城県民の日」です。この日当館は入館料が無料となります。

学校は休みになりますので、ご家族でご来館ください。

来館者が50万人になりました

10月 3rd, 2018

10月はスポーツの季節とともに食欲の秋でもあります。阿見町では栗や柿が作られていて実りの時期になりました。またこれから冬にかけて、れんこんの生産が最盛期になります。

当館は先月24日に開館からの来館者が50万人に達しました。50万人目となった方は、神奈川県葉山町から来られた親子4人の皆様でした。

千葉町長と菅谷教育長から50万人目の認定書や花束、記念品などを贈呈しまして、記念として零戦実物大模型に搭乗していただきました。

当館は平成22年2月開館して毎年5~6万人のお客様にご来館いただいており、8年と8か月で累計の来館者が50万人となりました。これまで大勢の皆様にご来館いただき、深く感謝申し上げます。

既に来館された方でも、当館の展示資料をすべてご覧になるには、限られた時間内では難しいと思います。ぜひ再度のご来館をお待ちしております。何度も来館いただける方に、お得な「年間パスポート」をご用意しております。

 

茨城国体が来年2019年に開催されます。阿見町ではセーリング競技が大室地区の湖岸、霞ヶ浦セーリング特設会場で行われますが、今年はリハーサル大会が今月26日から28日に開催されます。

セーリング競技のリハーサル大会に合わせて、27日(土)に「まい・あみマルシェ」を予科練平和記念館と霞ヶ浦平和記念公園で開催します。れんこんなど秋の農産物の試食と販売をするほか、スイーツなどを販売するブースが出店します。またサイクリングを楽しみたい方に自転車の貸出も行います。

お出かけするには良い季節となりました。27日は「まい・あみ・マルシェ」にお立ち寄りください。