みなさんこんにちは☆
今日は第43回予科練戦没者慰霊祭が、お隣の陸上自衛隊
土浦駐屯地、もとの土浦海軍航空隊内で行なわれました。
お天気が心配されていましたが、きれいな秋晴れとなりました。
高い空の下で、元予科練生のみなさんはどんなことを思われていたのでしょうか。
予科練平和記念館も慰霊祭にともなって入館無料となり、
1,000人を超すたくさんのお客様がご来館くださいました。
午後2時からは、近くのかすみ公民館多目的ホールで、茨城県立竹園高校演劇部による
劇『白雲ととどまりて』の公演がありました。
予科練平和記念館を舞台に、過去と現在が交錯しながら
戦争とは、平和とは何かを問いかける内容の劇で、生徒さんたちは実際に
予科練平和記念館を見学したり、元予科練生のお話しを聞いたりして
役作りをなさっていました。
生徒さんたちは、今日も朝早くから集まっていたようで、
予科練生役の男の子は、何度も最後のシーンの練習をしていました。
開演前、舞台の裏に待機していた私からは、舞台の上で幕が上がるのを待っている
生徒さんたちの姿がよく見えました。
みんな緊張した面持ちで、幕が上がるのをじっと待っています。
つられて私までちょっと緊張してしまいました。
それでも幕があがれば、皆りっぱな役者さんです。
緊張する心をぐっとこらえ、たくさんのお客様の前でのびのびと演技します。
この三人は、予科練平和記念館を見に来た女子高生たちです。
あたりまえのように今の平和を享受している私たちの
象徴のような存在です。
左のカップルは、モールス信号でおしゃべりできる不思議なふたりです。
車椅子の老婆が少女だったころ、日本は戦争をしていました。
お兄さんは予科練に入り、とうとう特攻隊員になります。
現在の予科練平和記念館でお兄さんの遺書を見つけ、
涙する老婆を見て、女子高生は考えます。
自分と同じ年頃の少年たちが、どうして死なねばならなかったのか。
戦争って、なんなのか。
老婆のお兄さんは、特攻出撃前に語ります。
「生きて帰れなくてごめん。」
「生きて帰る」という約束を守れなかった妹=老婆へ
直接伝えることができなかった言葉です。
悲しさと、言葉にできない思いを胸に秘めて、
家族への最後の言葉を語る、一番の見せ場です。
予科練生の役を演じた生徒さんはとってもすがすがしいいい声をしていて、
坊主頭も似合っていました。
無事に舞台を終えた生徒さんたちは、晴れ晴れとした顔でカーテンコールに出てきました。
会場からもたくさんの拍手があがり、生徒さんたちをねぎらいます。
本当に一生懸命、緊張する自分と向かい合って演じきった役者さんたちです。
一生懸命と一生懸命がぶつかりあって、
それぞれが、きらり、きらりと光るすばらしい演技をしていました。
今日の経験がまた皆さんの栄養となり、次の舞台でも大きな花が咲くことと思います。
竹園高校演劇部のみなさん、本当にすばらしい舞台をありがとうございました。
ますますのご活躍を期待しています。
ちなみに、舞台の大道具を運んでくださったのは、
元予科練生の運送会社さんでした。
大変お世話になりました。
演劇のあとは、昭和18(1943)年に公開された映画「決戦の大空へ」を上映しました。
こちらにもたくさんのお客様がいらっしゃり、67年前の少年たちの心をとらえ、
予科練にあこがれるきっかけとなった映画を熱心にご覧になっていました。
ご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。
そして今日の予定が全て終り、後片付けをしてかすみ公民館を出ると、
日が暮れた後のうすやみの中に、甘い金木犀の香りがただよっていました。
胸いっぱいに吸い込むと、一日疲れたからだの細胞一つ一つに、
じんわりと優しさが染みていくようで、
ふと、たくさんの人たちの力で物事というのは動いていくんだなぁと思いました。
今日はなんだかいろんなことに気づけた一日になりました。
みなさんにとって今日は、どんな一日でしたか?