今日の一日

10月 3rd, 2010

みなさんこんにちは☆

今日は第43回予科練戦没者慰霊祭が、お隣の陸上自衛隊

土浦駐屯地、もとの土浦海軍航空隊内で行なわれました。


お天気が心配されていましたが、きれいな秋晴れとなりました。

高い空の下で、元予科練生のみなさんはどんなことを思われていたのでしょうか。


予科練平和記念館も慰霊祭にともなって入館無料となり、

1,000人を超すたくさんのお客様がご来館くださいました。



午後2時からは、近くのかすみ公民館多目的ホールで、茨城県立竹園高校演劇部による

劇『白雲ととどまりて』の公演がありました。


予科練平和記念館を舞台に、過去と現在が交錯しながら

戦争とは、平和とは何かを問いかける内容の劇で、生徒さんたちは実際に

予科練平和記念館を見学したり、元予科練生のお話しを聞いたりして

役作りをなさっていました。


生徒さんたちは、今日も朝早くから集まっていたようで、

予科練生役の男の子は、何度も最後のシーンの練習をしていました。


開演前、舞台の裏に待機していた私からは、舞台の上で幕が上がるのを待っている

生徒さんたちの姿がよく見えました。


みんな緊張した面持ちで、幕が上がるのをじっと待っています。

つられて私までちょっと緊張してしまいました。


それでも幕があがれば、皆りっぱな役者さんです。

緊張する心をぐっとこらえ、たくさんのお客様の前でのびのびと演技します。



この三人は、予科練平和記念館を見に来た女子高生たちです。

あたりまえのように今の平和を享受している私たちの

象徴のような存在です。



左のカップルは、モールス信号でおしゃべりできる不思議なふたりです。



車椅子の老婆が少女だったころ、日本は戦争をしていました。

お兄さんは予科練に入り、とうとう特攻隊員になります。


現在の予科練平和記念館でお兄さんの遺書を見つけ、

涙する老婆を見て、女子高生は考えます。

自分と同じ年頃の少年たちが、どうして死なねばならなかったのか。

戦争って、なんなのか。



老婆のお兄さんは、特攻出撃前に語ります。

「生きて帰れなくてごめん。」


「生きて帰る」という約束を守れなかった妹=老婆へ

直接伝えることができなかった言葉です。


悲しさと、言葉にできない思いを胸に秘めて、

家族への最後の言葉を語る、一番の見せ場です。

予科練生の役を演じた生徒さんはとってもすがすがしいいい声をしていて、

坊主頭も似合っていました。


無事に舞台を終えた生徒さんたちは、晴れ晴れとした顔でカーテンコールに出てきました。

会場からもたくさんの拍手があがり、生徒さんたちをねぎらいます。




本当に一生懸命、緊張する自分と向かい合って演じきった役者さんたちです。

一生懸命と一生懸命がぶつかりあって、

それぞれが、きらり、きらりと光るすばらしい演技をしていました。


今日の経験がまた皆さんの栄養となり、次の舞台でも大きな花が咲くことと思います。

竹園高校演劇部のみなさん、本当にすばらしい舞台をありがとうございました。

ますますのご活躍を期待しています。


ちなみに、舞台の大道具を運んでくださったのは、

元予科練生の運送会社さんでした。

大変お世話になりました。



演劇のあとは、昭和18(1943)年に公開された映画「決戦の大空へ」を上映しました。

こちらにもたくさんのお客様がいらっしゃり、67年前の少年たちの心をとらえ、

予科練にあこがれるきっかけとなった映画を熱心にご覧になっていました。

ご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。


そして今日の予定が全て終り、後片付けをしてかすみ公民館を出ると、

日が暮れた後のうすやみの中に、甘い金木犀の香りがただよっていました。

胸いっぱいに吸い込むと、一日疲れたからだの細胞一つ一つに、

じんわりと優しさが染みていくようで、


ふと、たくさんの人たちの力で物事というのは動いていくんだなぁと思いました。


今日はなんだかいろんなことに気づけた一日になりました。

みなさんにとって今日は、どんな一日でしたか?


竹園高校演劇部公演間近!

10月 2nd, 2010

みなさんこんにちは(^^)/

今日も秋晴れの予科練平和記念館です。


 さて、明日10月3日は、近くのかすみ公民館で、

竹園高校演劇部による劇「白雲ととどまりて」が上演されます。


 今日はその準備で、午後からかすみ公民館の多目的ホールは

大道具を運んだり、照明を合わせたりする高校生たちのにぎやかな声であふれていました。


 以前、県南生涯学習センターで公演をしたときと勝手が違う舞台で

いろいろと難しいところもあるようですが、

いい舞台をつくるためにみんな一生懸命です。


 2時間近くかけて照明や大道具の位置などを決めました。

かすみ公民館の職員Nさんが大活躍です。

スポットライトのしぼりの大きさ、位置などを調整しています。



照明から音響まで、Nさん頑張ってくださいました。


そしてリハーサル。本番と同じように全編通して行ないました。

開演の幕が上がるまで、緞帳の裏で息をひそめて出番を待っている

生徒さんたちの緊張がこちらまで伝わってくるようです。


でも、お芝居の幕が上がれば、そこはもう生徒さんたちが作り出した世界。

現在の予科練平和記念館と過去の世界が交錯し、観ている人に様々に問いかけてきます。

平和とは?戦争とは?今を生きているとは?


高校生が全身で演じ、作り上げる世界にいつのまにかひきこまれ、

気が付いたら涙が出ていました。


リハーサルが終わると、皆で集まって意見交換をします。

写真がちょっとぼけてしまいましたが、終わってほっとしている感じと、

新たに出てきた課題に向かい合っている雰囲気が伝わるでしょうか?



いよいよ明日が本番です。

今日の夕暮れ時の空には、サーモンピンクの綺麗な夕焼け雲が浮んでいました。

ふと、明日はきっと大丈夫!きっとうまくいく!と思いました。


生徒さんたちは、もしかしたら今この時もとっても緊張しているかもしれませんが、

今まで一生懸命練習してきた自分を信じて、仲間を信じて、

明日は最高の舞台を見せてくれることと思います。


たくさんの方に観ていただきたい舞台です。

みなさんもぜひご覧ください。

そして一生懸命な生徒さんたちを応援にいらしてくださいね。



■■■演劇鑑賞会『白雲ととどまりて』
 日時:平成22年10月3日(日)
    13:30開場 14:00開演 (約1時間)

 場所:阿見町かすみ公民館多目的ホール
    (茨城県稲敷郡阿見町阿見2083-2 029-888-8111)

 入場:無料


※     16:00より、映画『決戦の大空へ』を同じ場所で上映いたします。

昭和18(1943)年に公開され、当時の少年たちが予科練にあこがれるきっかけとなった

映画です。こちらもぜひご覧ください。(入場無料)

予科練平和記念館も入館無料です。




秋の訪れ

9月 29th, 2010

みなさんこんにちは(。・ω・。)ノ

昨日とうってかわって、気持ちのいい秋晴れの

予科練平和記念館です。



空が高くて、とっても気持ちがいいです*。(*´Д`)。*°

明日からはまた下り坂のようですので、今日のお天気を楽しみたいですね。



さて、先日(9月20日)のブログで館のまわりに出現した

謎のホコリタケをご紹介しましたが、

またまた謎の新入りが生えてきました↓↓



・・・どちら様・・・ですか・・・(・・?)?


困ったときの展示解説員Hさん!と思い、Hさんに見てもらったところ、

シバタケか?キツネタケか?ネズミタケか?といろいろ考えてくださったのち、

「・・・謎のきのこですね」との回答が。


ちゃくちゃくと家族を増やしつつある謎のきのこたち。

予科練平和記念館がきのこの楽園になる日も遠くないかもしれません。



そして秋といえば赤とんぼ。

最近あまり見かけないな、と思っていましたが、

今日は幸運にも、どこからかすっと飛んできて目の前のロープに止まりました。

驚かせないように、そっと激写します。



とってもきれいな赤い色をしています。

赤とんぼって、調べてみたら赤い色をしているとんぼの総称なんですねΣ(・ω・ノ)ノ!

ゆうやけこやけの頃に、こんなきれいな赤とんぼが飛んでいたら、なんとなく遠い目を

してしまいそうです。



最近の急な寒さで、初鍋を召し上がった方も多いと思います。

予科練平和記念館も、秋の気配に満ちてきました。

皆さんもご来館の折には、ぜひ秋色の服をお召しになってみてくださいね。

謎のきのこもお待ちしております。


お知らせ

9月 28th, 2010

みなさんこんにちは(^^)/

今日は夕方近くまで雨が降り続いた予科練平和記念館です。


本日はご予約をいただいたお客様が9団体、それ以外のお客様が3団体と

たくさんのお客様がお見えになりました。


あいにくのお天気でしたが、にぎやかな一週間の始まりです。


さて、今週末10月3日(日)に、演劇鑑賞会と映画鑑賞会を行ないます。


■ 演劇鑑賞会 「白雲ととどまりて」

 県立竹園高校演劇部による予科練をテーマにした劇です。
 当館が舞台になっています。

 高校生によるみずみずしい演劇をご覧ください。

 日時:10月3日(日)13:30開場 14:00開演 15:00終演予定
 場所:阿見町かすみ公民館多目的ホール
   (阿見町阿見2083-2 029-888-8111)
 入場:無料
 ※ 前日15:00より公開リハーサルがあります。公開リハーサルは

ご自由にご覧いただけます。


竹園高校さんのページ↓↓↓

http://www.takezono-h.ed.jp/


■ 映画鑑賞会 「決戦の大空へ」
 昭和18(1943)年に公開された予科練の映画で、土浦海軍航空隊

(現陸上自衛隊武器学校)で撮影されて大ヒットしました。当時の少年たちが予科練に

あこがれるきっかけとなった映画です。

 日時:10月3日(日)15:30開場 16:00上演開始 17:30終演予定
 場所:阿見町かすみ公民館多目的ホール
   (阿見町阿見2083-2 029-888-8111)
 入場:無料


※かすみ公民館の駐車場は数がありませんので、公民館向かいの

パチンコ丸善さんと、公民館裏手の割烹みとやさんが臨時駐車場に

なります。 当日警備員がご案内します。


また、あわせまして、予科練平和記念館の入館料が無料になります。

 この機会にぜひご来館ください。


お隣の陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校内の雄翔園では、午前10時30分より

第43回予科練戦没者慰霊祭が行なわれます。

そのため、予科練平和記念館側から雄翔館・雄翔園への出入りができなく

なりますので、ご了承ください。

詳しくは、予科練平和記念館(℡:029-891-3344)へお問い合わせください。

こちらもご覧ください↓↓↓

https://www.yokaren-heiwa.jp/kantan/?detail=true&id=42



謎の生物

9月 20th, 2010

みなさんこんにちは(*^^*)

うす曇りの空から時折日差しがのぞく予科練平和記念館です。


今日は秋の彼岸の入りですね。

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、もうそろそろ

本格的に半袖をしまう気温になるのでしょうか。

スーパーなどでは、暖かい色合いの野菜や果物がたくさん

出回っていますが、記念館にも秋の訪れ?なのかな?と思うものが生えてきました。



芝生のところに点々と白い球形の物体が・・・!

しかも、生えてからしばらくすると茶色に変わってきます。


この謎の生物は何者だろう・・・?

名前を知りたくて調べてみたところ、「ホコリタケ(埃茸)」という

きのこのようでした。

しかも「担子菌門菌じん綱ホコリタケ目ホコリタケ科」に属するきのこという、

長い肩書きをお持ちでした。

熟成すると、頭からほこりのようなけむりのような菌を飛ばすので

この名前がついたそうです。

さらにはなんと食用!なのだとかΣ(゚Д゚ノ)ノ 

(皮をむくと中ははんぺんのような食感なのだそうで・・・

からしあえにしたりお鍋に入れたり、レシピもいろいろあるようです)

人間の食へのあくなき追求を思い知ったのでした。


これから涼しくなると食欲も増してきます。おなかを壊さない程度に

楽しく美味しいものを食べて、夏の疲れを癒したいですね。




そして今日は敬老の日。館内には、お年寄りとご一緒のご家族の姿も目立ちます。



70代からのシニア世代に「敬老の日には何がほしいですか?」というアンケートを

とったところ、

「こどもや孫とふれあう時間」が一位だったそうです。

反対に子ども、孫世代は「花や食べ物などを贈りたい」という人が一番多いという、

お年寄りからみると少しさみしい結果になりました。


もし、このブログをご覧くださっている方のなかで、おじいさんやおばあさん、

またはお父さんやお母さんにまだ何にもしていないという方がいらっしゃいましたら、

今すぐお電話してみてください。


お金なんてかけなくても、家族の「いつもありがとう」「元気でいてね」という言葉だけで、

こころがほっこりあたたまる、すてきな声のプレゼントになると思います。


日本は「言霊(ことだま)の幸(さき)わう国」。言葉に魂が宿る国です。

言葉でみんなを幸せにできるなんて、素敵な国だなぁと思います。


いい言葉をたくさんかけあって、シニア世代も若い世代も、お互いに元気に、そして

笑顔で幸せになりたいですね。


しきしまの 大和の国は 言霊の 助くる国ぞ 真幸(まさ)きくありこそ 

                     (万葉集 第3254番 柿本人麻呂)


オープンしました!

9月 16th, 2010

みなさんこんにちは(*’-’*)

今日の阿見町は朝から強い雨が降っていました。

気温も下がって、今までの暑さになれた体には

少し肌寒く感じられますね。

明日からは気温も上がるようですが、皆さんも体調管理には

十分にお気をつけくださいね。


さて、おとといより所蔵資料展「戦後の予科練」がオープンしました。


会場のようすをちらっとお見せします。



入り口です。

向って左側が第1部、戦後の予科練習生たちの同期会の資料や

元土浦海軍航空隊の中に建っている予科練記念館「雄翔館」や

慰霊の庭園「雄翔園」に関する資料を展示しています。


向って右側では、戦後予科練生が描いた油絵や、亡くなるまで作り続けていた

模型をご覧いただけます。



常設展示をご覧になった後に、ぜひご覧になってみてくださいね。


さて昨日は、NHKの方がお見えになりました。

平成23年3月から放送がはじまる連続テレビ小説「おひさま」の中に

予科練生が出てくるそうで、その調査をしているとのことでした。


この「おひさま」は、

「長野・安曇野と松本を舞台に戦争をはさんで、日本人が生き抜いてきた

昭和という激動の時代の中で、人々をおひさまのような明るい希望で照らす、

ひとりの女性のさわやかな一代記」

なのだそうです。(NHKのHPより)


昭和12年~15年頃の予科練の募集ポスターはどんなものだったのか。

こういうタッチのイラストは、当時の少年がよく目にする雑誌に多かったのか。

NHKの方から、いろんな質問が飛び出します。


予科練を志願する少年がポスターを見るという、

時間にすれば短いであろうそのシーンにリアリティを持たせるため、

いろんなことを調べる必要があるんですね。

たくさんの人が楽しみに見る番組は、たくさんの人の努力で作られるんだなぁと

思いました。



ヒロインの井上真央さんのキュートな笑顔が、朝を元気にしてくれそうですね。

またどのあたりでどんな風に予科練生のシーンがでてくるのか、気になるところです。


みなさんもぜひ、注目してみてくださいね!!



スタンバイ中

9月 12th, 2010

みなさんこんにちは(^^)/

昨日、今日とまた暑さが戻りましたね。

これから少しずつ涼しくなっていくのだとか。

もう少しの辛抱ですね。


さて、予科練平和記念館では、14日(火)より

館内20世紀ホールにて、所蔵資料展「戦後の予科練」を開催いたします。


これは、当館に寄贈されたなかから、戦後の予科練生の

活動に関する資料を展示するもので、二部構成になっています。


第一部では、陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校(旧土浦海軍航空隊)に

ある予科練記念館「雄翔館」と、予科練之碑「予科練二人像」のある庭園

「雄翔園」建設に関する資料や、予科練同期の集まりに関する資料を

約25点展示します。


戦後も続く予科練生たちの強い絆をご覧いただければと思います。


第二部では、予科練生が描いた油絵や、作り続けた艦船の模型など約40点

を展示します。


特にこの模型は、元予科練生が亡くなるまで作り続けていたもので、

亡くなった後は同期生に引き取られ保管されていましたが、

この方も鬼籍に入られたため、別の同期生により当館に寄贈されました。

リレーのように元予科練生の想いが受け継がれて、

こうして皆さんにご覧いただけるようになるというのは、

やはりそこに込められた“想い”が強いのだろうなと思います。


今回は、保管している中から、空母や戦艦、重巡洋艦などの模型を展示します。

現在は収蔵庫の中でスタンバイしています。



この所蔵資料展「戦後の予科練」は、常設展チケットでご覧いただけます。

規模は大きくありませんが、来年の2月27日まで開催しておりますので、

ご来館の際はぜひご覧ください。


関連企画として、10月3日(日)の予科練戦没者慰霊祭にあわせ、

演劇鑑賞会と映画鑑賞会を、阿見町かすみ公民館(阿見町阿見2083-2 

029-888-8111)で行ないます。


また、あわせまして、当館は10月3日無料でご覧いただけます。

皆さんのご来館をお待ちしております。


詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

(予科練平和記念館HP 新着情報)

https://www.yokaren-heiwa.jp/kantan/?detail=true&id=38


軍刀の少年

9月 5th, 2010

みなさんこんにちは(*^-^*)

今日も厳しい暑さの予科練平和記念館です。

何日も雨が降っていないので、

館の周りの芝生が黄色っぽくなってきてしまいました。

夜に職員が水をまいたりしていますが、

なかなか連日の渇きを癒すことは難しいようです。

雨の神様、ここらでひとつみんなのために雨を降らせては

いただけませんでしょうか、と

空を眺めてお願いしてしまう毎日です。



さて、今日はとっても印象深いお客様がいらっしゃいました。

当館に展示してある、写真家土門拳が撮影した

予科練生の写真の被写体となった方です。


当館のエントランスホールから入って左側のロビー1には、

予科練生の制服であるつめ襟の七つボタンにちなんで、

土門拳の写真が7枚展示してあります。

そのなかでひときわ目立つ大きな写真には、七つボタンの白い制服を着た予科練の少年が

日本刀を手入れしている姿が写っています。


まだまなじりと頬のあたりにあどけなさを残した少年の表情と

無駄なく、すっとのびる日本刀の対比が印象的なこの写真、写っているのは

甲種第13期生の岡崎圭一郎さんです。

今日、この写真から66年後の岡崎さんがお見えになりました。

同期生から、お前の写真があるよと案内されてご来館くださったのだそうです。


白髪になられた岡崎さんにお写真をお願いすると

背広をきちんとお召しになり、背筋と腕をぴんっと伸ばして直立不動。

予科練時代に培われたすばやい動作はいまもご健在です。



面影がありますよね。

昭和3(1928)年生まれの岡崎さんは現在82歳。

栃木県の足利中学3年生、15歳のときに予科練を志願して、

昭和18(1943)年10月、甲種第13期生として土浦海軍航空隊(茨城県阿見町)に

入隊されました。


土門が撮影にやってきたのは昭和19(1944)年。岡崎さん16歳のときです。

この写真は、日曜日で外出から帰ってきたあと、

岡崎さん自身も知らない間に土門が撮っていたのだそうです。

手に持っている日本刀は入隊するときに自宅から持ってきたもので、

隊内では所持が認められていたとおっしゃっていました。



土門拳はどんな人だったんですか?とうかがってみました。


― 土門さんは弟子を連れてきていました。助手ですね。私と同じテーブルで

ご飯を食べていたんですよ。31分隊4班です。

 ・・・土門さんはまさに「写真の鬼」でした。同じことを何度も何度もやらされました。

疲れてきて、もう終わりになるかな・・・と思っても、自分が気に入る写真が撮れるまで

「もう一度」「もう一度」と何度もやらされました。


今、ご自分の予科練当時のお写真を見てどう思いますか?


― 若かったと思います。・・・でもあのころは純粋な気持ちで予科練に入ったんですよ。

ほんとうに、純粋な気持ちです。



岡崎さんは予科練を卒業後、鹿島海軍航空隊(茨城県美浦村)で飛行訓練を受けたのち、

山形の漆山派遣隊というところで特攻隊要員となり、訓練中に終戦を迎えました。

同期生は特攻で亡くなった方も多く、人間魚雷「回天」で最初に戦死した予科練生も

同じ甲種第13期生です。


復員した岡崎さんは中学校に戻り、卒業後は薬学の専門学校に入学して

薬剤師になりました。

東京の荻窪にお店を構えて、もう55年になるそうです。

現在も現役で、薬剤師の娘さんとお孫さんと一緒にお仕事をなさっているとのこと。

にこにことお薬を渡していただいたら、それだけですーっと

気持ちが軽くなるような穏やかな笑顔です。


なんと、昭和21年に行なわれた第1回目の国体(国民体育大会)では、

バレーボールの選手として出場なさったそうです。

ポジションはどこですか?とうかがうと、9人制で今とは違うけど・・・アタッカーです、と

教えてくださいました。

やっぱり予科練生は運動神経が抜群なんですね!


お話しをうかがいながら岡崎さんのお顔をじっと拝見したら、白いまつげが

あることに気づきました。

中国では、白いまつげは強運と幸運をもたらす証だそうです。

穏やかでとっても優しい岡崎さんが、いつまでもお元気でたくさんの方を治せる

お薬を調合してくださるように、きっとこのまつげが守ってくださると思います。

岡崎さん、いつまでもどうぞお元気で。

病気やけがに苦しむたくさんの方たちを治してくださいね。

本日はご来館いただけて、お会いできて本当に嬉しかったです。

展示解説員さんたちも喜んでおりました。

お忙しい毎日だと思いますが、紺屋の白袴とならぬよう

お体どうぞご自愛くださいね。

そしてまたぜひ、今度は同じ町会の同期生とご一緒に

お運びいただけたら嬉しいです。心よりお待ちしております。


実は館内にはもう一枚、岡崎さんが写っている写真があります。

みなさんもご来館の折には、66年後笑顔の優しい薬剤師になった少年を

ぜひ探してみてくださいね。


暑サニモマケズ

9月 2nd, 2010

みなさんこんにちは(*^-^*)

9月にはいり、まだまだ残暑厳しいですがいかがお過ごしですか?


予科練平和記念館には今日も強い日差しが照りつけていますが、

そのお陰で光と影の美しいコントラストが見られます。





今日は、予科練平和記念館の頑張り屋さんをご紹介したいと思います。

この暑さにも負けず、生まれついた逆境にもまけずに頑張っています。




ちょっとピントが別なところに合ってしまって見えにくいですね・・・(;△;)

アスファルトを突き破ってぐんぐん伸びている芝生兄弟です。


予科練生たちが訓練した場所の近くにいるだけあって、

さすが根性があります。

この暑さにももくもくと耐えて頑張って育っている姿を見ると

こちらまで元気になるような気がして、

近くを通るとつい気になります。


二百十日を過ぎ、来週は二十四節季の「白露」。

暦の上では大気が冷えて露のおりるころだそうですが、

予報ではまだまだ残暑が続くようです。


もしかしたら夏バテ中かもしれない皆さんに、

少しでも芝生兄弟のパワーが届きますように。


ラスト夏休み

8月 29th, 2010

みなさんこんにちは(*^-^*)

今日もまだまだ暑い予科練平和記念館です。

午後から曇ってきたので外に出てみると、もう秋の雲でした。



でもあと一週間は気温30度以上の暑さが続くそうですね・・・(*´Д`)=з

みなさんも熱中症には引き続きお気をつけくださいね。


今日は8月最後の日曜日です。

すこし寂しさも混じる今日ですが、みなさんは今年の夏、どんな思い出が

できましたか?夏にやり残したことはありませんでしょうか?


本日の予科練平和記念館には、ご家族でいらっしゃるお客様が多く、

館内には小学校にあがらない小さいお子さんの姿もたくさん見られました。



阿見町の小中学生は8月いっぱい夏休みなので、もしかしたら宿題の関係かな・・・?と

思われる中学生も来館しています。



8月最後の日曜日にご来館くださったお客様は、

どんなお気持ちでここにいらっしゃったのだろう・・・と、ふと思いました。


お客様は様々なところからいらっしゃり、当館で展示をご覧になった後、

またどこか、それぞれの場所へと戻られます。

それは、駅や高速道路のサービスエリアなどで感じる、

いろんな人がそれぞれの目的地へ行く途中、

今一瞬だけ同じところにいる、というちょっとわくわくする感覚に似ています。


駅もサービスエリアも、旅のよい思い出になる場所ですが、

予科練平和記念館も、お客様の人生という長い旅路のなかで、

思い出に残る場所でありたいと思っています。



館内では今日も展示解説員さんが一生懸命お客様をご案内しています。



こうしてお会いするのも一期一会。ご案内はお客様の思い出を左右する

大事なお仕事です。

解説員の皆さんは空いている時間に資料を読んだりして勉強をしています。

こつこつと知識を積み重ねる努力が、お客様の感動やありがとうにつながっていきます。

館内展示案内は無料で、ご予約をいただければ何名様でもご案内いたしますので、

これから来る秋の行楽シーズンにぜひご利用ください。

(お問い合わせ:029-891-3344)



秋の予科練平和記念館は、20世紀ホールで展示しています

所蔵資料の展示替えを予定しています。

(常設展示の展示替えではありません)

規模は大きくありませんが、常設展には展示していない資料をご覧いただけるよう

準備を進めています。

これに関連して、演劇鑑賞会や映画会なども予定しています。

詳細はHPやチラシ、ポスターなどでお知らせいたしますので、ぜひご覧ください。