おはなしおさんぽの会&昔の遊びをやってみよう!の会

3月 23rd, 2012

みなさんこんにちは。

学芸員Wです。

今日は、明日開催のイベントをご紹介させていただきたいと思います。

 

 

「おはなしおさんぽの会&昔の遊びをやってみよう!の会」

3月24日(土) 10:30~・14:00~

絵本のよみきかせ 30分

どんぐりこま、どんぐりやじろべえづくり、お手玉、折り紙、ぬりえなど昔の遊び 30分

予科練平和記念館ラウンジにて

参加無料 予約不要 幼児~小学校6年生まで(幼児は保護者同伴)

※どなたでも参加OKです(大人の方もよろしければ)

途中入退場可

 

 

去年の夏に開催して好評だったイベントです。

今回は絵本の読みきかせに加えて、昔の遊びをいろいろと体験するという

親子で楽しんでいただける企画になりました。

 

 

前回の会はこんな感じです。

かわいいお子さんとお母さんが参加してくださって、記念館の中が

とってもにぎやかになりました。

お若いイクメンパパさんもいらっしゃいました。

 

 

 

 

きてくださったお子さんには、すてきなプレゼントもご用意しています。

 

 

このメダル、絵本を読んでくれる展示解説員さんの娘さんの

手作りなんです。

動物も何種類かいて、とってもかわいいんですよ!

ぜひ明日、ゲットしてくださいね。

 

明日土曜日は少し雨が残ってしまうようですが、外で遊べないと

残念がっているみなさん!

予科練平和記念館に遊びにいらしてくださいね。

きっと楽しい土曜日になりますよ!

皆さんのご参加をお待ちしています!

 

お問い合わせは

029-891-3344 まで。

 

 

実は今回、おはずかしながら私Wも絵本を1冊読ませていただくことになっております・・・。

今からちょっと緊張していますが、少しでも皆さんに楽しんでいただけるように

今夜も頑張って練習したいと思います。

挙動不審になっていても、どうぞ笑わずに大目にみていただければ嬉しいです。

 

 

 

絵本のよみきかせの練習をしていて、自分の「声」について改めて考えました。

というのも、先月、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というイベントに参加して、

「声」の大切さを感じたからです。

 

ご存知の方も、もう参加したよという方もいらっしゃると思いますが、

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の方に導かれて、真っ暗闇の空間で

いろんな体験をする、というものです。

以前から聞いていて興味があったのと、視覚に不安を持つお客様が

記念館に来てくださったときにはどのように誘導すると良いのか、

実際にその世界を体験してみたい、と思って、思い切って参加してみたのです。

 

10人ぐらいが一つのグループになり、白杖(はくじょう)という視覚障害者の方が持っている

杖をたよりに暗闇の中を歩いていきます。

その空間には木が生えていたり川があったりブランコがあったりして、

様々なものを手で触ったり足の感覚で感じたり、ブランコで遊んだりします。

 

何も見えない真っ暗闇で無言で動くと、迷ったり他の方に

ぶつかったりしてしまうので、

「Wここにいます!」

「Wしゃがみます!」

「みなさんどこですかー?」「こっち段差があります!」といった感じで

とにかく声を出していきます。

 

視覚に頼れない空間でおろおろしている私たちを

視覚障害者のアテンドさんが呼びかけたり手を叩いたりして、

とってもスムーズに誘導していきます。

私たちにとっては初体験の世界でも、彼らには日常の空間なんだなと

実感します。

そして不思議なことに、まわりの人たちの声を聞いていると、目で見ていた時よりも

その人となりがわかるような気がしてきます。

「大丈夫?」「こっちだよ」「三歩前に進むと橋があるよ」など

みんながみんなを気遣って声を出し合うので、その声に安心して、

さらにまた次の人も安心させたくて声をかけるようになります。

 

もし視覚障害者の方が道を探していたときには、いきなり触れるとびっくりするので、

まずは声をかけると安心していただける、ということが本当に実感できました。

 

そうしているうちに気付いたのが、自分の声の弱さでした。

それはもしかしたら、生きて行く上で身につけたものだったのかもしれないと

何となく思いました。

自分の考えや感情を伝えること以上に、声というものは

いろんな情報を発信しているのかもしれませんね。

私も長年のくせはなかなか治りませんが、少し大きな声でゆっくり話せるよう

気をつけるようになりました。

 

明日、絵本を読ませていただくときにも、ものがたりの持つ雰囲気やメッセージが

ちゃんと伝えられるように、

ひとつひとつの言葉を大切に読みたいと思います。

 

ダイアログのイベントで私たちのグループをアテンドしてくださったのは「はとさん」という

男性でした。(暗闇の中では皆ニックネームで呼び合います)

「はとさん」は就職活動中の大学生で、暖かくてのんびりした声で、

ときどき冗談を言ってなごませてくださいました。

就職活動はやっぱり大変だそうですが、希望するお仕事につけるといいなと、

応援しています。

 

皆さんも機会がありましたら、ぜひ五感が研ぎ澄まされる

真っ暗闇の世界を体験してみてくださいね。

最初は恐いのですが、最後のころになると居心地がよくなって

もとの日常に戻るのがちょっと残念な気持ちにもなりますよ。

  

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

http://www.dialoginthedark.com/

 

 

 

それから、一緒のグループで、同じ職種の方がいらっしゃったのも

とても嬉しかったです。

高知から参加なさったそうで、まだ新しい美術館の学芸員さんです。

HP拝見しましたが、自由度の高い面白い企画をなさっているところで、

機会があったらお邪魔してみたいと思っております。

皆さんもよろしければ、こちらもぜひご覧ください。

 

高知 アートゾーン 藁工倉庫

http://warakoh.com/

 

 

生き抜くこと

3月 13th, 2012

 3月11日を迎えました。

 あれから1年が経ったわけです。

 

 一年前、私は別の職場にいて大地震を体験しました。大きな地鳴りに気付き、周囲へも注意を促しながら、しかしまさかあれ程の地震が襲ってくるとは予想だにしませんでした。

 揺れが落ち着いたとき、「これは大変なことになった」と思い、大急ぎで職場のテレビをつけると、それまで見たこともない「大津波警報」が太平洋沿岸の広域に渡って発令されており、しかもアナウンサーが深刻に避難を呼びかけているのを聞いて「一体、どうなってしまうのだろう」と固唾を飲む気持ちでいたことはまちがいありません。

 しかし、私の身内に震源に近く住んでいる者はおらず、旅行・出張の予定も聞いていないことを思い返すと、海から遠くにいる自身の安全を思い、携帯電話は繋がらず親兄弟の安否確認はすぐに出来なかったものの、私には安心感が生まれていました。

 昨年の私は、再び当事者でありまた傍観者であったわけです。

 

 私はこれまでいくつかの災害に遭遇してきました。

 学生時、まず阪神大震災を経験しました。あの朝の地鳴りは自身の人生における空前絶後の音として記憶しています。メキメキッ、バリバリッと地が裂けるような音でハッと目が覚め、布団の中でいろいろと避難方法を考えながら身構えていました。物は落ちたものの、生命を脅かされることはありませんでした。このように、私は生死を分けた渦中からは外れていたので、当時関西に住みながら同時に関東の人間として、私を見守る家族を含めて当事者であり傍観者でいたのです。

 東海村で臨界事故があったときは、たまたま事故現場からほど近い常陸太田駅前で仕事をしていたため、自覚できるほどの被爆をしています。頭が変にくらくらし、家に戻ってからも車に何か付いていたのでしょう、ドアを開けると「ブン」と音がしたかと思うとまた頭がくらくらしました。この先影響が出るのかもしれませんが、現在いたって健康です。私はここでも他界へ行くことを猶予された当事者そして傍観者であったわけです。

 また、新潟県中越地震があったときも仕事のため新潟にいました。仕事が早く終わり、家で夕食をとっている最中、立て続けに2度大きな地震がやってきました。とりあえず身の安全を確保して、揺れが収まった後、職場の安全確認に出かけた夜でした。被害が大きかった長岡市へ災害応援にも出向き、現場を見るにつれ、やはり私は当事者でありながら傍観者で済んでいる、という気持ちをもったものです。

 そして、昨年の東日本大地震を経験しました。両親が住む家や墓地は大分痛めつけられ、昨年一杯、修理に奔走することになりましたし、断水・停電など日常あるべきものが一時的にせよなくなる経験をしましたが、生死の別れを覚悟する状況には至りませんでした。

 

 身内に目に見える被害が出たことで、これまでより一歩進んでしまった感はあります。しかし、大津波が何もかもめくり上げて進むすぐその先に、何も知らないトラック群が信号待ちしている空撮映像を見て「早く逃げろ」と叫びを覚えたことに比べれば、私は平和に恵まれていたと思うほかありません。

 

 当事者であり傍観者である心構えは、川端康成が芸術の道に生きる覚悟を述べたことばの一つです。一口に言えば、物事の本質を見極めるための徹底した厳しくも優しい態度、と言えばよいでしょうか。

 皆さんにとっても耳馴染みかと思われる「般若心経」は一切の存在が「空」であるという真理を理解するための智慧を説くお経です。「…色不異空 空不異色 色即是空 空即是色…、羯諦(ぎゃてい) 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦…」有名なこれらの一説も真理を体得する智慧を説く場面です。

 

 それこそ昔には、富士山の大爆発で生き埋めになった人たちがいました。鎌倉も大津波を受けて壊滅しました。また、戦国時代には血みどろの戦いで多くの人たちが死にました。私たちはその時代に生きずに済んだ、つまり猶予されたと考えることが出来るでしょう。

 私は自身の経験から、当事者と傍観者の大きな相違を感じています。しかし、私たちは「運」ということばに恵まれています。当事者になることも傍観者で済むことも全て運ではないでしょうか。運を決めるのは、ちっぽけな私たち人間の業ではありません。

 当事者としての運がやってきたときは歯を食いしばって頑張る、傍観者で済んだときは出来る限りの援助を行う、私はそれでよいと考えています。そして、まだ生きることを許されている私たちは、命を決して無駄にしない、生きることに感謝して明日を作っていくだけだと思うのです。

 

 予科練平和記念館は戦争という人為的な惨禍を二度と迎えないよう皆さんに訴えかけています。見方を変えれば、天変地異によって命の尊さを教えられることは、宇宙そのものである仏の教えに通じることなのかもしれません。それは、人間が智慧を得ること、とも言えるでしょう。

 智慧が生まれれば慈悲も生まれる。仏像を見るときには思い出してください、智慧の文殊には慈悲の普賢が、智慧の勢至には慈悲の観音がパートナーとして存在していることを。

 

 私は一昨年に宮古を旅し、浄土ヶ浜などを観光しました。田老港のすぐ近く、三王岩へ徒歩で行ける民宿に泊まり、美味しい海の幸をご馳走になりました。その宿とも音信不通で、ご主人たちの消息も不明です。せめて高台に避難していたことを祈るばかりです。

 

 昨年来、ご不幸に遭われた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 生きている私たちは、命を大切に、しっかり生き抜いて参ります。

石碑のような場所

3月 7th, 2012

みなさんこんにちは。

なでしこジャパン勝利のニュースに元気をもらった学芸員Wです。

最近気温の差が大きいので体調を崩しやすいですね。

みなさんもどうぞお気をつけください。

 

お隣の自衛隊武器学校さんの紅梅が見ごろになりました。

歩いていくと奥ゆかしい梅の香りがふわっと近寄ってきます。

 

 

記念館近くのお宅にある白梅のつぼみも開いてきています。

季節がゆっくりと春にむかっているのを感じます。

 

 

今週末の日曜日で、東日本大地震から1年になります。

みなさんにとって、どのような1年だったでしょうか。

 

私Wは、もう1年経ったのか、まだ1年だったのかと、とても不思議な気持ちです。

3.11前の世界には戻れないのが今だに何となく信じられなかったり、

でも、こうした状況に生きることが今の自分にとってのリアルなんだなと思ったりしています。

 

去年の3月11日、みなさんは何をしていらっしゃいましたか?

今年の3月11日、何をしてすごされますか?

 

予科練平和記念館では、地震のあった午後2時46分に黙祷(もくとう)をいたします。

当日ご来館のお客様は、どうぞご一緒にお願いいたします。

 

あらためまして、被害を受けて亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げます。

また、被災されて現在も辛い状況、辛いお気持ちを抱えて毎日を過されている方々に

心からお見舞い申し上げます。

3月11日、どうかみなさんが少しでも心静かにお過ごしになれますよう、お祈りしております。

 

 

 

去年、岩手県立博物館の方のお話をうかがう機会がありました。

岩手県では、この震災を忘れないように後世に伝えるため、

もともと進んでいた三陸ジオパーク(貴重な地形や地質を持つ土地を

保全し、研究したり学んだり観光したりする場所のことをいいます。

いわば自然の博物館です。)構想の中に、震災を知る施設を

盛り込もうという動きがあるそうで、被災したいろいろなものを収集しているそうです。

地震被害の大きさ、津波の恐ろしさを実感してもらうためには、

実物の資料が一番なので、本当は民宿の上に乗った船とかを

そのままの形で残したかったけれど・・・とおっしゃっていました。

 

この話をうかがって、岩手県宮古市姉吉地区にある石碑を思い出しました。

「此処(ここ)より下に家を建てるな」と掘られた石碑は、1933(昭和8)年3月3日にあった

昭和三陸大地震による大津波のときに建てられたものだそうです。

地域の方たちは教えを守ってこの石碑より高いところに住んだので、

今回の地震で大津波が来た時にも全員助かったそうです。

 

博物館、特に何かの出来事を記録し記念する博物館という場所には、

この石碑のような役割があると思います。

 

今回の例で言えば、津波で流されてぺしゃんこになった車や、

人間の背よりはるかに高いところまで水が来た跡が残っている壁、

泥だらけでぐちゃぐちゃになったランドセルや家族写真のアルバムなど、

被害の状況を伝えるいろんな資料を収集してみてもらうことで、

津波を実際に体験しなかった人も、その恐ろしさを感じることができます。

それは同時に、もし自分がそうなった場合にはどうしたらよいか、と、

自分の身に置き換えていろいろなことを考えるきっかけにもなります。

津波がきたときに、人びとはどう行動したか、どのようなことが危険だったのか、

どうすればより安全だったのか、という展示があるとしたら、

それによって防災意識を高めることもできますし、子どもたちにむけて

防災教育をすることもできます。

事実を知ってもらうことで、万が一同じようなことがあった場合に、

より多くの人が助かる可能性を高めることができます。

 

それは、博物館がある地域の人たちだけを対象にしたものではありませんし、

今現在だけを対象にするものでもありません。

 

展示を見たことが、もしかしたらその人のなかで10年後20年後に

何らかの形で生かされて

命が助かることがあるかもしれないからです。

また、見た人が誰かに話したことで、もしかしたらその人も同じように

助かるかもしれませんし、まわりの人も助かるかもしれません。

誰かを助けることができるかもしれません。

 

こうしたことは、数字のような形では表れてこない部分です。

財政難のなかにあっては、緊急性という点でほかのものが優先になりますし、

いろいろな面で本当に難しいことだと思います。

 

それでも、できれば、岩手県の三陸ジオパーク構想と、大震災の記録を残して

伝えていく施設は実現してほしい、と個人的に思っています。

 

 

 

博物館という場所は、100年200年先に責任を持つところだと思って、

学芸員という仕事をしています。

ここ予科練平和記念館は、もう二度と、夢も希望もある伸び盛りの少年たちが

戦争で命を落とすことがないように、歴史を伝え、知っていただく場所です。

 

今ここに生きる人、そしてこれからの未来の人たちに歴史を伝えることで、

経験を生かしてより良くなってほしい。

そういう願いがつまっている、石碑のようなところだと思っています。

 

今回改めて、博物館という場所の役割と自分の仕事を考えてみました。

長く語ってしまい、すみません。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

救急救命訓練を行いました

2月 25th, 2012

みなさんこんにちは。

先日、豪華客船でアジアグランドクルーズ中の予科練1期生伊藤進さんに

船上から絵はがきをいただいて舞い上がっている学芸員Wです。

 

今はほとんどメールに頼りっぱなしですが、こうして絵はがきをいただくと

素敵な旅のおすそわけをいただいたようで、本当に嬉しいですね。

旅のご無事をお祈りしております。

 

 

さて先日、予科練平和記念館では、休館日を利用して

阿見町消防署のみなさんのご指導のもと避難誘導・救急救命訓練を行いました。

 

まずは火災発生時の避難誘導と消火器訓練。

火災の場合は、地震の場合とは違い火元から遠い非常口にお客様を誘導します。

地震の際の誘導訓練は何度か行っていますので、展示解説員さんはスムーズに

お客様役のほかの職員を誘導していきます。

 

無事に誘導訓練が終わると、今度は消火器を使った初期消火の訓練です。

気温が低く、身を切るように冷たい風の中説明を受けます。

寒かったです・・・。

 

 

 

消火器を使うときは、手前からほうきで掃くようにして火元に近づいていくそうです。

全員無事に消火できました。

 

続いてはAED(自動体外式除細動器)訓練です。

救急救命の手順を聞いているときにはなるほど、と思うのですが、実際にやってみると

思いのほか焦ってしまい、手順を忘れてしまいます。

まず自分が落ち着いて、まわりの人にも助けを求めることが大切なんですね。

人工呼吸は思ったよりも体力勝負です。

 

 

隊員のみなさんは、何かあった時にすぐ駆けつけられるように

救急車で館にいらっしゃいました。

救急車の出動要請は年々増えているそうで、今回の訓練の最中にも

要請があって出動なさっていました。

今は緊急ではない案件での出動要請も増えていて、場合によっては救急車を呼んでから

到着するまでの時間が少しかかってしまうそうです。

隊員が到着するまでの間、休みなく救命活動を行うことが大事です、とのことでした。

ご来館くださるお客様の命を守るためにも、大切な訓練でした。

 

終了後、修了証とともに救急救命キットをいただきました。

使い捨ての手袋と人工呼吸用のマスクが入っています。

 

 

 

使わないのが一番良いのですが、もしも出番が来てしまったときには、

講習を思い出して一生懸命救命にあたりたいと思います。

阿見町消防署のみなさん、お忙しい中本当にありがとうございました!

 

 

救急救命士のみなさんの腕には、杖に蛇が巻きついたマークがついています。

「スター・オブ・ライフ」と呼ばれる救急救命のシンボルマークだそうで、

6本の線が放射状にのびた☆に似たマークの中に、杖にまきついたヘビがいます。

この杖は「アスクレピオスの杖」というもので、ギリシャ神話の医学の神、死者をも

よみがえらせたというアスクレピオスのシンボルです。

ヘビは脱皮を繰り返すことから、再生や若返りを表すシンボルとして

洋の東西を問わず神話や様々な宗教の中によく出てきます。

 

最初はカドゥケウスの杖(ギリシャ神話の神ヘルメスの持つ杖)かと思っていたのですが、

このブログを書くために調べてみたら違っていました。

私たちの身近にも、いろんな歴史や意味を持つシンボルがたくさんありますね。

今は毎日が忙しくてなかなか時間がとれませんが、いつか思いっきり

勉強してみたいなと思いました。

みなさんも気になっているシンボルはありますか?

 

 

記念日に寄せて

2月 17th, 2012

 今週はバレンタインデーがありました。 

 こう言えば、私はプレゼントされることを期待する立場であったことがお分かりになると思いますが、振り返ってみると、三文判のような私ごときにも懐しい思い出があるものです。

 私は最近、小学校時代の旧友とまた会ってみたいなぁ、としきりに心が動くのですが、バレンタインデーの思い出も含めて「みんな元気にしていた?」など、ただ他愛ないそんな話をして1日を楽しく過ごしてみたいと思うのです。

 バレンタインデーのいわれは、戦士の士気低下をおそれ兵士たちの結婚を禁止したローマ皇帝に反して、恋人たちの結婚式を執り行ったために処刑された聖バレンティヌスの処刑日、ということです。キリスト教の聖人伝にはいろいろ考慮すべき点もあるようですが、とにかく今日まで連綿と続く儀式の内には「愛」を求める人間の悲しくも美しい本性が垣間見えるようです。

 バレンタインデーには不思議と歴史に名を残す事件が起きてきましたが、また著名人も多く生まれています。

 岡倉天心もバレンタインデーを誕生日とする1人です。明治の日本美術界を語る上でなくてはならない人ですが、本名・岡倉覚三、老荘思想に深く共感したと言われ「天心」と号しました。父親が明治に入り横浜の貿易商として活動した関係もあり、流暢な英語を操り、後年にはフェノロサの通訳をするなど活躍した大秀才です。

 天心が結婚したのは東大在学時の19歳の時で、妻・基子は16歳でしたが、妊娠中だった妻にヒステリーを起こされ、せっかく書いた卒業論文「国家論」を焼かれていまい、2週間で「美術論」を書き上げ、その後も日本の美術界をリードしたという因縁をもちます。天心は1913(大正2)年に新潟県妙高山麓の赤倉で亡くなるまで、光に満ちながらもまた不遇であったような人生を送ります。

 聖バレンティヌスは、天心に微笑んだのでしょうか、それとも冷たくあしらったのでしょうか。

 ともかく、昨年の大津波によって呑み込まれてしまった、天心ゆかりの五浦・六角堂の復元が決まりました。天心の没後約1世紀を経た今、大きな光が差し込みました。 こうしてみると「天心」はまだ生きているとも言えないでしょうか。輪廻転生、と昔から信じられてきた現実を目の当たりにするような思いです。

 人の心を支える存在は様々だと思いますが、バレンタインデーなどの記念日もそのような何かしらの拠り所になると言ってよいのかもしれません。

 こちら、予科練平和記念館も記念日を迎えたばかりです。平成22年2月2日、予科練平和記念館は開館いたしました。なんと、まぁ、めでたい数の並びではありませんか。

 過日、丸2周年の記念日を迎えました。皆様にも多数ご来館いただきました。ありがとうございました。

 国の将来のために全身全霊で戦った予科練生の足跡は、この予科練平和記念館も輪廻転生させていく所存です。戦ったくれた方々に残していただいた戦争のない社会にあって、一所懸命がんばっていきます。

 毎年、2/2は「予科練平和記念館の開館記念日」と覚えていただければ幸いです。

 この日は、無料観覧日になります。

 皆様のご来館をお待ちしております。

えっちゃんがきてくれました!

2月 9th, 2012

みなさんこんにちは。

 最近、朝の通勤時(車通勤です)に「予 科 練」と書かれた

大型トラックに会わなくなってしまい、少しさみしい学芸員Wです。

何を運んでいたのかとても気になっていたのですが、

謎のままになってしまいました。

みなさんも、日頃気になっていることはありますか?

 

 

今日の予科練平和記念館はとてもいいお天気です。

 

 

陽射しが入って、館内はぽかぽかあたたかいです。

 

立春を過ぎ、寒さの中にも少しずつ春の気配が感じられるようになりました。

来週土曜日の2/18日(土)から、茨城県の観梅スポット、水戸市の偕楽園と

筑波山の梅林で梅まつりがはじまります。

 

去年は梅まつりに行こうと思っていた矢先に東日本大地震がありました。

あれから11ヶ月、偕楽園はおとといやっと全面開園になったそうです。

復旧、復興のニュースはとてもうれしいものですね。

すでに早咲きの梅はほころんでいるようですので、みなさんも機会があれば

ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

 

 

先ほどのお部屋を外から見たところです。

結構高さがあるのですが、壁の重さを感じさせないのがすごいところだなと思います。

構造計算が大変だったようですが、うなずけます。

このお部屋から見る霞ヶ浦の夕景はとてもきれいだそうで、

展示解説員Oさんおすすめの絶景スポットです。

 

 

さて、茨城県南地域の情報誌『月刊ezpress.』2月号で

予科練平和記念館が特集されました!

人気ページの「えっちゃんが行く!」のコーナーで、下記よりご覧いただけます。

↓↓↓

http://ezpress-ideal.com

 (ページ中ほどの「えっちゃんが行く!」のバナーからお入りください)

 

簡潔でいて読み手を考えたわかりやすい文章で、重くなりすぎず、

最後はちゃんとオチがついています。

さすがプロのつくるページは違いますね!勉強になります。

丁寧に取材してくださって、本当にありがとうございました。

コーディネートしてくださった阿南さん、いつもありがとうございます!

 

 

展示室7での撮影の様子です。

 

 

モノトーンの館内に映えるワインレッドのカーディガンをお召しになっているのが

さすがですね。

えっちゃんは写真で見てもおきれいですが、実際にお会いしてもとっても美人さんでした!

毎月いろんなところに行って楽しいレポートをしてくださるので、

これからもご活躍を楽しみにしております。

 

みなさんも『月刊ezpress.』を見かけたら、ぜひお手にとってご覧になってみてくださいね。

バレンタイン特集なので、表紙もページもとってもきれいですよ!

 

霞ヶ浦に映るもの

2月 5th, 2012

 寒中お見舞い申し上げます。

  「寒いなぁ」「寒いわねぇ」という朝の挨拶は、今年の寒さを如実に表していたことがわかります。10年に1度とも、20年に1度とも言われる寒波が日本上空にやってきているとのこと。風が強い日には、耳がたちまちに切れそうな感じさえします。

 インフルエンザもこの寒さに乗じて暴れ回っている様子。今年は(今年も?)大流行のようですが、私たち人間も、毎年様々に試されていると言えそうです。

 しかし、雪国に住む方々がたいへんなご苦労をされていることを考えると、乾燥していようが風が冷たかろうが、予科練平和記念館のある阿見町に雪がないことはやはり幸運と言わなければなりません。  

 

 この寒さを知る手掛かりは天気予報ばかりではありません。 

 私が毎朝通る道からも霞ヶ浦を眺めることができます。予科練平和記念館は「阿見坂下」に位置しますが、「阿見坂上」にやって来ると霞ヶ浦が見えてきます。この水の色で私は寒さなどを知ることができるのです。 

 霞ヶ浦は、まるで喜怒哀楽を天真爛漫に表すかのように色を変えて見せます。暖かい日差しが降り注ぐときは青く、寒いときには鶯(うぐいす)色に、ひとしきり雨が降ると土色に変わります。

 本当に霞ヶ浦は心をもっているかのようです。また「晴れていても人の心は曇り」などと言われるように、自身の気持ちの有り様を確認させてくれる鏡でもあるようです。

  霞ヶ浦を控える阿見町には、水陸両用の訓練が行える場所ということで、かつて霞ヶ浦飛行場が開設され、海軍航空隊も置かれました。予科練は初め横須賀で始まりましたが、最後は霞ヶ浦湖畔の土浦海軍航空隊が母なる土地となりました。霞ヶ浦は大きく水をたたえるその存在感ゆえに、人間の営みをこれまた大きく引き寄せ続けているのです。

 

  このたび、阿見町のプレミアムアウトレットから一直線に霞ヶ浦湖畔の国道125号線まで出られる県道が開通しました。島津、という土地に出てくるのですが、その途中からも霞ヶ浦がよく見えるようになります。 

 予科練平和記念館へは突きあたりのT字路を左折してください。霞ヶ浦が湖畔に打ち寄せる片男波を目に入れ、また筑波山を仰ぎ見ながら5分ほどで、当記念館に到着いたします。

 皆様のお越しを、心よりお待ちしております。

お忘れなきよう

1月 26th, 2012

みなさんこんにちは。

学芸員Wです。

日本海側では大雪だそうですね。

予科練平和記念館も冷たい空気にぴりっと冷やされています。

今朝は駐車場の植え込みに背の高い霜柱が立っていました。

 

 

みなさんはこどものころ、霜柱をさくさく踏んで遊んだご経験はありますか?

 

 

ここのところずっと寒さが厳しいのですが、2日前には雪が降りました。

今年に入ってはじめての雪でした。

 

 

 

この日の朝は館の前の道路が大渋滞してしまい、路線バスや観光バスが

急遽お手洗い休憩に立ち寄られる一幕もありました。

 

私Wも出勤するのに車で3時間弱かかってしまいました。

スタッドレスにしておけばよかった・・・と後から後悔しましたが、

ゆっくり走ると、見慣れた景色の中にも思わぬ発見があって、

これはこれでなかなか楽しいものかもしれませんね。

真っ青な空を背景にして、雪化粧した筑波山がとてもきれいでした。

 

 

こんなに寒くても、今日もわんちゃんたちが元気に記念館のまわりをお散歩しています。

窓が多いので、館内から嬉しそうに歩くわんちゃんたちの姿が見えて、

解説員さんともどもなごませていただいています。

 

ほとんどの方はマナーを守ってくださっていますが、ときどき、

お忘れ物をなさる飼い主さんがいらっしゃるようです。

 

楽しいお散歩の後は、わんちゃんのお忘れ物落し物のないよう

今一度お確かめいただければ幸いです。

 

 

 

時間によっては、館のまわりにこんな楽しい影が現れます。

最近お散歩がマンネリ化してきたな・・・と思う飼い主さんと、

新しい世界を開拓したいわんちゃんは、ぜひ記念館にお散歩に

いらしてくださいね☆

お待ちしております。

 

描き出される「心」

1月 20th, 2012

 昨年末頃から茨城には雨が降りませんでした。この前降ったか降らないかというお湿りがありましたが、最近も晴れていました。澄み切った冬空を見上げながら、冬らしい冷たい風が通り過ぎる一角に身を置くこともまた気持ちよいものですが、雨が降らないことがどうも気になっていた、のですけれど…。明日は大寒というこの日、久しぶりに朝から雨に「恵まれている」と言ってよいでしょう。しかも、雪がちらつくかもしれないとのこと。

 仏教で「竜」は水を司る存在なのですが、さて、今年の竜はどのような計画を立てているのでしょうか?

  

 そのような中でも、桜は怠りなく日に日に開花の準備を進めているようです。記念館前の桜も蕾をずいぶん生長させました。私は12月になると桜の蕾に気付きます。それだけ大きくなっているわけです。厳寒への突入口に、来る春を感じられると和みが生まれます。一年をかけてゆっくりと準備を続け、命ある限りその営みを続ける植物の悠久さ。人間の営みにも是非とも取り入れたいものです。

 

 そのようにあくせくと生きている感ありの人間にもミクロコスモス(小宇宙)が広がっていると言われます。

 写真は次の展示を待つ展示スペースの様子ですが、皆さんどのようにお感じになるでしょうか。予科練平和記念館の7つの展示室も、その他ホールなども、もともとは何も存在しない「のっぺらぼう」なのです。その前に立つと茫漠とした気持ちにもなります。

 展示、という行為は、そうした空間に仕掛けを作っていくことと言ってもよいでしょう。それは、例えば真っ白なキャンバスに色、形を置き、ある世界を形作ることと同じと言えます。

 今、皆さんに記念館にお越しいただくと、それぞれの部屋・場から、いろいろな内容を感じていただけることと思います。物や映像などを通して表しているものは「心」です。心というものの在りかを科学的に尋ねると全身の細胞一つ一つが心になるのかもしれませんが、そのような意味でも、また一つの手掛かりからこの世の真理に広くたどり着こうとする働きからも、「心」をミクロコスモスと捉えることにご共感いただけるでしょうか。

 何もないところに色・形を作り出す行為は藝術的活動と言えます。予科練平和記念館は、予科練、戦争の歴史や遺物などを通して平和社会実現を訴えるという藝術の場です。表される藝術性、つまり精神的な内容は「平和を実現する心」です。

 この記念館には強力な援護部隊が備わっています。お隣の敷地には写真のような公園が広がっています。この砂場や芝生の上に、日々異なる絵が描かれているのです。

  子どもたちの足跡、自転車のタイヤ跡、可愛らしいアンパンマンが描かれているときもあります。芝生の上には、時としてゲートボールが、また親子で興じるキャッチボール、サッカーなどなどが元気よく描かれます。こういったものも、未来への明るい希望を灯す藝術の数々と言えるでしょう。

 

 このように藝術とは決して難しく考える必要がないものです。阿見町でも様々な展覧会が公民館などで開かれますし、茨城県内にも大小様々な博物館、美術館があります。どうぞ、広く足をお運びいただいて、いろいろなミクロコスモスに触れていただきたいと思います。

 そして、もちろん身近な私たちの足跡にも目を向けていただくことをお忘れないように。

元気なアートコラボラボ2012

1月 17th, 2012

みなさんこんにちは。

学芸員Wです。

 

今日は展覧会のご紹介をさせていただきたいと思います。

 

 

元気なアートコラボラボ2012・桜川芸術祭vol.13

「晴れときどき、お散歩アート。 ~障害者とアート、

ぼくらが見つけたもの~」

 

1月17日(火)~22日(日) つくば美術館第2展示室

(〒305-0031 茨城県つくば市吾妻2-8 029-856-3711)

 

 

去年11月10日に、予科練平和記念館に遊びにきてくださった

美術家の出町光識さんと、真壁厚生学園・授産学園・心身障害者

福祉作業所 時計台のみなさんの作品が展示されています。

 

みなさんは、アートワンコというお手製のわんこちゃんたちといっしょに

茨城県近代美術館や予科練平和記念館を巡っていらっしゃいました。

当館に来てくださったときの様子は、下記のブログでもご紹介しています。

https://www.yokaren-heiwa.jp/blog/?m=20111110

 

 

 

 

いろんなところを元気にお散歩したアートワンコたちが

会場内におすましして並んでいます。

 

アートワンコ製作の様子やお散歩の映像がモニターに映し出されており、

予科練平和記念館に来てくださったときの様子もご覧いただけます。

 

お恥ずかしながら学芸員Wもちらりと映っておりますので、

機会がありましたらご覧いただければ嬉しいです。

このほかにもすてきな作品があり、いつもとは違った時間と

空間を体験していただける展示だと思いました。

お近くのお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいね。

期間が6日間なので、お早めにどうぞ。

 

 

茨城県つくば美術館

http://www.tsukuba.museum.ibk.ed.jp/

 

出町光職さんHP

http://www.mitsunoridemachi.com/

 

 

本当は午前中のオープニングからお邪魔したかったのですが、

取材があったので、午後からになってしまいました。

ちょうど城彰浩(たち あきひろ)さんのワークショップ 「思いっきりアフリカン」に

間に合いました。

 

最後はみんなで布をぶんぶん。楽しそうでした。

 

 

 

約30分間激しくアフリカンダンスを踊り続けた城さんの姿に、

会場からは大きな拍手が起こっていました。

私の頭の中は、Lou Bega の「Dance like an African」が

エンドレスでリピートしていました(^^ゞ

 

会期中1月21日(土)には、以下のイベントも行われます。

10:00~12:00

ワークショップ おとなだって、カミタマン土面をつくろう

つくば美術館講座室 定員20名

講師 出町光識(美術家)

申込み要 FAX 0296-23-8522 

またはメール m-kimijima@city.sakuragawa.lg.jp

 

14:00~

特別イベント 現代美術家折元立身さんといっしょにガイコツパレード

つくば美術館および美術館周辺

参加ご希望の方は、13:00までにつくば美術館第2展示室集合

 

こちらもぜひチェックしてみてくださいね。