69年前の少女

8月 1st, 2010

みなさんこんにちは☆

あっという間に8月に入りましたね。

お祭り、花火、音楽フェスなど、夏のイベント真っ盛りです。

予科練平和記念館でも、7日(土)に、元予科練生の体験を聞く会を

開催します。

当時、予科練生はどんなことを思って訓練していたのか、

どんな気持ちで入隊したのか、生の声を直接聞くことができる

貴重な機会です。

皆さんのご参加をお待ちしております。

詳細はこちらをごらんください。

https://www.yokaren-heiwa.jp/kantan/?detail=true&id=26


さて、今日はすてきなお客様にお会いすることができました。

展示室当番の解説員さんが、こういうお客様がお見えですよ、と教えてくれたので

お会いすることができた方です。

Kさんありがとうございます!


当館展示室5「交流」のパネルの中に、昭和16(1941)年、

霞ヶ浦に流入する桜川が氾濫して、土浦の街が大水に襲われたときの写真があります。

どんな写真かというと、土浦の大通りに面した商店の1階部分が

ほとんど水に浸かっていて、人々は2階に避難しています。

道路だったところは川のようになり、舟が通っています。

ちょっとびっくりするようなこの写真の中に、

小さなおかっぱの少女が一人映っています。


この写真におさめられた少女、増田和江さんがお見えになったのです。

当時10歳だった増田さん。大水の時のことを、こうお話ししてくださいました。


「昭和13年と16年と大水がありました。この時海軍さんが助けにきてくれて、

おにぎりをくれました。そのことを良く覚えています。」


当時、増田さんのお父さんは土浦の街中の大通りで家具屋さんを営んでいました。

写真の中で彼女がいるところが、そのお店の屋根の上です。

足元には幅広のはしごのようなものがあるのですが、これは、お見舞いに来てくれる人に

自分のお店がわかるようにと、お父さんがつけた看板だそうです。


この大水のとき、予科練生や海軍の人たちは、土浦の街を救出すべく、

桜川に土嚢を積むなどの作業にあたりました。

土浦の人たちは、今でもそのことを良く覚えていらっしゃるのです。


増田さんは、戦時中のご自身の体験もお話してくださいました。


3人兄弟の真ん中だった増田さんは、上と下の兄弟が疎開したので、父と2人で家具店を

守っていたそうです。

土浦の女学校に通い、当時は長男がどこの家でも出征してしまって、

田んぼや畑をつくる人手が足りなくなっていたので、他の女学生たちと一緒に、

勤労奉仕でそういう家を回って農作業をしていました。

食べ物はいつもジャガイモばかりで、連日アメリカ軍の飛行機が頭上を飛んできたので、

防空頭巾を被って家を出て、木の下や車の下などで寝たんだそうです。


あるとき、増田さんが病院の近くの坂を歩いていると、艦載機が彼女を狙って

機銃を撃って来ました。


「脇に逃げたりすればよかったんだけど、まだ小さかったから、もう親の元に帰ることしか

頭になくて。飛行機が来る!ってわかって、もう夢中で必死で逃げました。

桜川沿いを必死に走って家に飛び込みました。」


危機一髪難を逃れることができた彼女ですが、それにしても、まだ幼い少女が

戦闘機に命を狙われる時代が日本にあったのだということを考えると、

本当に恐ろしく、なんとも言えない気持ちになります。


「いろんな経験をしたからでしょうかね、今日までいろんなことがあっても

がんばってこれました。」


そういってにっこり笑う増田さんの笑顔はとっても穏やかで、深い優しさに満ちていました。


せっかくなので、昔のご自身と一緒に撮りませんか?とお誘いして

記念写真を撮らせていただきました。



10歳の増田さんと現在の増田さん。69年の時を経ての邂逅です。


息子さんと、お嫁さんと3人でいらっしゃった増田さん。

まだまだ暑い日が続きますが、お体に気をつけて、いつまでも優しい笑顔で

いらしてくださいね。

またお会いできたら嬉しいです。




平和の使者

7月 22nd, 2010

みなさんこんにちは(^o^)

今日も予科練平和記念館のまわりには熱風がそよいでいました。

連日「酷暑」日が続いていますね。

せめて夏休みの子どもたちが外で安心して遊べるくらい、もう少しゆるやかな暑さに

なったらいいのにな・・・と思ったりします。


今日は、お隣の牛久市から39名の中学生平和使節の皆さんが

来てくださいました。

今年もヒロシマの平和式典に参加されるそうです。


最初に元予科練生の戸張さんがご自分の体験談をお話します。



NHK水戸放送局の取材があり、戸張さんのお話にさらに熱がはいります。

予定していた時間をオーバーしてしまいましたが、生徒さんたちは

一生懸命に聞いてくださいました。


中学生ぐらいの年齢では、普段の暮らしのなかでなかなか戦争ということについて

ふれる機会はそう多くないと思います。

もしかしたら「昭和」という時代も、歴史の教科書に載っている昔のこと、という

感覚があるかもしれません。

でも、実際に戦争の時代を当事者として生きた戸張さんのお話を聞くことで、

知識としての理解ではないリアリティを持った現実として、激動の「昭和」という時代を

身近に感じていただくことができたのではないかなと思います。


各展示室は当館の解説員がご案内しましたが、戸張さんは展示室のところどころでも

ご自分の体験を語っていらっしゃいました。



思いを伝えたいという気持ちがよくわかります。


この模様は、夕方6時10分から放送される

NHKいばらき県域デジタル放送「ニュースワイド茨城」にて紹介されました。


牛久市中学生平和使節のみなさん、広島も暑いと思いますので、

熱中症には十分気をつけて、たくさんのことを心で学んできてくださいね。

予科練平和記念館も、みなさんのまたのお越しをお待ちしています。



梅雨明けのラムネ色

7月 19th, 2010

みなさんこんにちは(*^_^*)

連休の最終日、いかがお過ごしでしょうか。

関東地方も梅雨があけましたね。

予科練平和記念館の上にも、きれいに晴れ上がった空が広がっています。

水色というよりは、もう少し情緒があるブルーで、

勝手に「ラムネ色」と名前をつけました。

お祭や花火大会で買って飲むラムネの味に色をつけるとしたら

こんな感じじゃないかなと思っています。



梅雨明けと同時に各地からさまざまなお祭のニュースが聞こえてきましたね。

朝、館の近くで立派なお神輿が運ばれているのを見かけましたので、

このあたりも今日はお祭なのでしょうか。

30度を越す真夏日が続いていますので、みなさんもどうぞ熱中症にはお気をつけください。



除草作業の方も、小さな木陰で一休み中でした。



さて、(ちょっと前ですが)当館ラウンジに資料を検索できるパソコンがはいりました。



タッチパネルで画面に触れていくと、館内常設展示室内に展示してある

資料の情報を見ることができます。

資料の説明文字が小さくて見えなかったという方は、ぜひこちらでもご覧ください。


現在は資料の情報のみ検索していただけますが、順次図書情報も

整備してまいります。


ラウンジは無料でお入りいただけますので、熱中症対策の

避難場所としてもぜひご利用ください(^_-)-☆


夏休み前

7月 15th, 2010

みなさんこんにちは(^o^)丿

ここのところ、雲間からのぞく空がとてもきれいな水色をしていますね。

お祭で売っているソーダ味のドロップのような色です。

梅雨明けが近いのかなと思います。


今週は、夏休み前の授業で町内の中学生が見学にきてくれました。



阿見中学校の2年生はクラスごとに見学しました。

中学生にとっては難しい戦争の話ですが、一生懸命に聞いてくれます。

小学生よりは大人びているけれども、まだまだかわいらしい生徒さんの

顔を見て、予科練生もこのぐらいの年から入隊試験を受けることができたんだなと

思うと、とても複雑な気持ちになります。



竹来中学校1年生は自由見学でした。

元予科練生のお話を聞いて、係員の説明を聞いた後、

それぞれに見学します。

お話をしてくださった元予科練生は、この中学校の

初代校長先生でもあります。


約半数が、小学校卒業前に学校行事で当館を見学してくれた

生徒さんたちでしたので、

中学校に入学して、たった3ヵ月半でこんなに大きくなるんだなぁと思って

ちょっと感慨深いものがありました。


当館の解説員Tさんの息子さんもこの中にいたそうです。

お客様をご案内しているお母さんの姿をちらちら見ていたんだとか。

いつもと違うお母さんの姿は、どんな風に映ったのでしょうか。

R君、お母さんとっても頑張っていますよ!

笑顔がすてきで、とってもすばらしいお母さんですよ!



話はかわりますが、今年は戦後65年目の節目の年です。

当予科練平和記念館では、元予科練生のお話を聞く会を開催する予定です。

詳細が決まりましたらHP上でご案内いたしますが、今のところ、

8月上旬の土曜日と、下旬の日曜日、1日2回の計4回、

館内の20世紀ホールで行なう予定です。

お話を聞いた後実際に予科練生に質問をする時間もありますので、

日頃聞いてみたいことや疑問に思っていたことがありましたら、ぜひご参加ください。


夏休み中の中学生の皆さんも、ぜひお越しくださいね。

65年前の中学生がどんなことを考えていたのか聞いてみるのも、

皆さんにとって大切な夏の思い出になると思います。


姉妹展

7月 8th, 2010

みなさんこんにちは(^o^)

今日は気温が30度を越してとても暑くなりましたが、

久しぶりにきれいな青空が見えて嬉しいですね。

予科練平和記念館のまわりのハス田に白い花が咲き始めました。

館内からも見えますので、これから楽しみです。


4月8日のブログ(https://www.yokaren-heiwa.jp/blog/?m=20100408)

でご紹介いたしました、吉岡玉子さんと熟田鶴江さんの

油絵姉妹展に先日お邪魔してきました。

お二人は、戦時中土浦海軍航空隊の近くにあった銭湯「亀の湯」で、

日曜日に外出してきた予科練生たちとよく遊んでいた姉妹です。


会場内には、お二人の絵がたくさん展示されています。


右側がお姉さんの玉子さん、左側が妹の鶴江さんの絵です。

過去の作品から最新作まで、とても見ごたえのある展示です。


お姉さんの玉子さんは、小さい頃から絵を描くのがお好きだったそうです。

描く対象の一番いいところをとらえて、優しくキャンバスに移しかえたような感じの

絵を描かれます。

光の表現も、まるで印象派の木漏れ日のようにやわらかで

あたたかい感じがします。

椿を描いた最新作は、ナイフを使った力強いタッチで花弁を表現しており、

落ち着いた深みのある画面の中に、静かな時間が流れています。


妹の鶴江さんは、お姉さんとは反対に小さい頃は絵が苦手で、

活発で行動的、いつも飛び回っているような女の子だったそうです。

具象画を描いていた初期から、すでにデザイン的な要素が見うけられますが、

現在は深い紺地のバックに鮮やかな赤の円、そして周りを取り囲むラインで構成された

画面の中に、いろんな素材のものをコラージュした、モダンで好奇心を感じる作品を

製作なさっています。


傘寿を超えてなおみずみずしい作品を生み出すお二人に、とても感動しました。

会場にはお祝いのお花がたくさん飾られていて、交流の広さがうかがえます。

これからもすばらしい作品を見せていただけたら、とても嬉しいなと思います。

予科練平和記念館のホールにも、お二人が予科練生を描いた作品が

展示してありますので、皆さんもご来館の際にはご覧になって

みてください。



お二人のこれまでを振り返る展覧会は今週日曜日までです。

お時間がございましたらぜひお立ち寄り下さい。


吉岡玉子 熟田鶴江 油絵姉妹展

2010年7月2日(金)~7月11日(日)

10:00~16:00(最終日は13:00まで)

阿見町立図書館2階視聴覚室及びギャラリー

(稲敷郡阿見町若栗1838-24 029-887-6331)



朗読劇

7月 4th, 2010

みなさんこんにちは(^^♪

予科練平和記念館の裏のハス田から、優雅な形の大きな葉っぱが

たくさん出て、風にわさわさそよいでいます。

そろそろハスの花も咲く時期になります。

とってもきれいなので、咲き出したらこちらのブログでご紹介しますね。


今日は、お隣の美浦村で「美浦平和のつどい」がありました。

美浦中央公民館の大ホールでは、『女優たちによる朗読「夏の雲は忘れない

ヒロシマ・ナガサキ 1945年」 』の公演があり、

予科練平和記念館も主催者の方のご厚意により、ロビーで

パネル展示をさせていただくことになりました。



館の紹介パネルと、予科練生が家族に宛てた手紙のダイジェストを

読めるようにしたものを展示させていただいたところ、手にとってくださる

方がけっこういらっしゃり、案内をお渡しすると「記念館行きました」と

声をかけてくださる方もいらっしゃいました。

ご覧下さった皆さん、どうもありがとうございました。

ちょうどプライベートで舞台を見に来ていた当館の展示解説員さんが

一緒に案内を配ってくれたので、たくさんの方に

予科練平和記念館をご紹介できたかなと思います。

Mさんどうもありがとう!



会場は開演前から長蛇の列です。

会場も満席。補助席も出ていました。


さてこの「夏の雲は忘れない」は、女優さん6人が、あの原子爆弾が落とされた夏の日、

きのこ雲の下でこの世の地獄を見た人たちの様々な手記を朗読していく舞台です。

その声は子どもになったりお母さんになったり先生になったり・・・

声にならなかった声になったり。

一瞬にして大切な家族や自分の命を失ってしまった

多くの人たちの声のアルバムを開いているような感じを受けました。

悲しい場面もたくさんありますが、それ以上に、人が生きるということについて

考えさせられます。


私が一番印象に残ったのは、原爆が投下されたその日の夜のヒロシマのお話です。


ろうそくの明かり一つない地下室にうごめく被爆者たち。

血のにおい、うめき声、「水をくれ」という叫び。

そんな地獄のような中で、若い母親が産気づきます。

真っ暗闇でお産を助ける道具もない中、

「私は産婆です。私がこの子を取り上げます」と言ったのは、

血まみれになってさっきまでうめいていた女性でした。

しらじらと夜が明けるころ赤ちゃんは産声をあげ、

産婆は静かに息を引きとります。

極限状態に生じたハレーションのような強烈な生と死の対比が、

声だけで表現されるのが本当にすごいと思いました。

多分このお話は、私が死ぬときまで覚えているのではないかと思います。


女優さんたちの語りかける声が、すっと胸の中に染みていくような舞台でした。

今の平和な生活の中で、私たちが決してないがしろにしてはいけないことに

もう一度目を向けさせてくれます。

これからもたくさんの場所で上演されるようですので、

ぜひ皆さんも一度ご覧になってみてください。


終焉後、大橋芳枝さん、大原ますみさん、長内美那子さん、山口果林さんの

4名が、お忙しい中時間をさいて当館に来てくださいました。

自分がさっき見た舞台に出演していた方とこんな近くでお会いできるなんて!と、

とても感激です。

やっぱり女優さんはすごいですね。目がとってもきれいで強いんです。

短い時間ではありましたが、皆さん時には涙しながら展示をご覧くださいました。

なんと、大橋芳枝さんのお兄さんは元予科練生なのだそうです。

こうしていらっしゃったのも、何かのご縁かもしれません。


女優の皆さん、関係者の皆さん、本日は本当にありがとうございました。

毎日暑いですがお体ご自愛くださり、多くの方に素晴らしい舞台を届けてください。

予科練平和記念館から応援しています。



スタンプマシーン

6月 27th, 2010

みなさんこんにちは。

どんより空の日曜日、いかがお過ごしでしょうか。

今日の阿見町は、梅雨真っ只中という感じの湿気を含んだ重い空気の箱を

すっぽりとかぶってしまったような感じです(>_<)


予科練平和記念館の窓から見えるのも灰色の空。

お昼過ぎにはしとしと雨が降り出しました。



こんな光の日は、不思議とアジサイが美しく目立ちます。

どこか奥ゆかしさを感じるアジサイは、日本原産の植物なのだそうです。

茨城県内にも、桜川市の雨引観音や石岡市の県立フラワーパーク、水戸市の保和苑など、

アジサイの名所がたくさんありますね。

じめじめした湿気と暑さと雨でぐったりすることが多いこの時期ですが、

あの不思議で美しい色合いの花(?)があるだけで、梅雨を楽しもうという気持ちになってきます。


予科練平和記念館内にも、ご来館のお客様に楽しんでいただけるようニューアイテムがデビューしました!

さて皆さん、頭の中でドラえもんがにこにこしながらおなかのポケットに手を入れたところを思い浮かべてください。

声は今のドラえもんでも昔のドラえもんでもOKです。

効果音~♪ ハイ!



「スタンプマシーン!!」





これです。

なんとなく、ドラえもんの世界にある不思議な工場で休みなく動いていそうに見えませんか?

黒い台の部分に紙を置いてレバーを手前に引くだけで、

手を汚すことなく、お子様でもきれいに記念スタンプを押すことができます。

スタンプには、予科練平和記念館と、予科練生たちが乗っていた練習機“赤トンボ”がデザインされています。



最後の展示室を出たところに置いてありますので、ご来館の際には

ぜひ押してみてくださいね。

ちなみに、館のリーフレットに押すとなかなかインクが乾かないようですので

お気をつけください。

館内売店には、スタンプ帳もご用意しています。


後悔先に

6月 19th, 2010

みなさんこんにちは。

今日は梅雨時期には嬉しい晴れ間が見えた日でした。

梅雨時期特有の湿気がありましたが、お洗濯物を干すには逃せないチャンスです。


最近、目に映る風景のところどころで、アジサイが静かに存在感を増してきましたね。

梅雨がきたんだなぁと実感します。


なぜか昨日から、ときどき頭をかすめる一曲がありました。

“What a Wonderful World”  ルイ・アームストロングの名曲です。

「この素晴らしき世界」と邦訳されるこの曲は、映画やCMにもたびたび使われていて、

きっと誰もが、意識せずとも一度は耳にしているだろうと思います。


休み明けで出勤した今朝、いつものように記念館のわきを通ると、いつもあいさつをしていた

彼女がいませんでした。


先日のブログでご紹介した、芝生の中に生えていたもみじです。

びっくりしてまわりを見ると、他の草も見当たりません。

芝生だけがきれいにそろって生えています。


もしかしたら、とは思っていましたが、こんなに突然除草作業があるとは

意識が及ばず、知っていれば囲いをつくることも、移植することもできたと思うと、

自分のどんくささにとても悲しくなったのでした。


そんな私の頭の中に、BGMのように“What a Wonderful World”が流れていました。


こんなに後悔するくらいなら、もしかしたらと思った時点でそうしておけばよかったのです。

ぼんやりしていた自分が招いた結果でした。

「後悔先にたたず」ということわざどおりです。


What a Wonderful World・・・

ベトナム戦争を描いた映画「グッドモーニング・ベトナム」で使われたこの曲は、

絶望の夜が明けて見上げた朝の光のような、そんな感じがします。

この世から悲しいことも絶望もなくならないけれど、当たり前の様に夜は明けて

日常が続いていく。

その力強さ。


またいつか違うもみじがここで芽吹いてくれるかもしれないと、

自分勝手な希望を持った自分に、やっぱり少しへこんでしまったのでした。


小さな新参者

6月 12th, 2010

みなさんこんにちは(^_^)

今日も気温がぐんぐん上がって蒸し暑かった阿見町です。

館内には涼みにいらっしゃったお客様の姿も見られました。

館の周りの芝生の色も濃くなってきています。


そんな芝生の中で、先日気付いた紅一点。



小さいもみじが芽を出していました。



どこからやってきたのか、いつのまに出たのか。

気が付けば当たり前のようにいたもみじ。

両手をいっぱい広げて、全身で日の光を受け止めているように見えます。

成木になったもみじはよく目にしますが、こんな赤ちゃんはなかなか

見ないので、毎朝近くを通るたび気になります。

この大きさから成木になるまでにどのぐらいかかるのかな、と思ったり、

他の草と一緒に抜かれてしまわないかな・・・と、心配したり、

まわりの白いのはもしかして何かの薬・・・?と不安になったり。


彼女の住所は、予科練平和記念館左曲る銀色壁二枚目向かいです。(京都風)

皆さんもご来館の折には、あたたかく見守ってあげてくださいね。



 そういえば、日本人は世界でもトップクラスの「小さいもの大好き」人種だそうです。

盆栽とかおひなさまのような伝統的なものから、かわいらしい和雑貨や小物、

おもちゃ、駄菓子など。

私たちの身の回りには、小さくてかわいいものが当たり前のようにたくさんありますよね。

そこが外国の方にとって、不思議で魅力的に映るようです。

ここ何年か「COOL! JAPAN」として注目されている日本の文化。

自国の文化に興味を持っていただけるのって、とっても嬉しいなと思います。



 さて、当館内の売店にも小さい新参者がお目見えしました。

予科練の街クッキー6枚入り 600円です。



これまであった12枚入りのハーフサイズで、ちょっとしたお土産や

おやつにもよさそうです。

お客様からも評判のいいクッキーの味はそのままに

お手ごろ価格でお求めいただけます。



果たしてこの小さな新参者は時流に乗って「COOL! お土産」となれるでしょうか?!

彼の登場は当館お土産界の勢力地図を塗り替えるのか?!

次回の売店売り上げランキングにご期待ください。


65年目の日

6月 10th, 2010

みなさんこんにちは。

今日は全国的に晴れて気温が高かったようですが、

予科練平和記念館の上空にも真っ青な空が広がっていました。



記念館も青空色になっています。

外壁が鉄板なので、その日の空と同じ色になるのです。


今日は、阿見町にとって忘れられない日です。

65年前の今日、予科練の訓練をしていた

土浦海軍航空隊(今の陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校)を目標に

米軍の大規模な空襲があったからです。


1945(昭和20)年の今日も、少し蒸し暑い一日だったと聞いています。

午前8時から4回にわたってB-29が飛来し、

落とされた250キロ爆弾が、爆発や飛び散った鉄の破片によってたくさんの命を奪い、

木造の建物に燃え広がった炎が被害をさらに大きくしました。


亡くなったのは予科練生ばかりではありませんでした。

日曜日だったこの日、わが子との面会を楽しみに隊門前で待っていた練習生の家族や、

隊周辺の一般住民も巻き込まれます。

家を失ったり、家族を亡くしてしまった人が少なくありませんでした。


以前この空襲を経験されたお客様がぽつんと

「地獄のようだったよ」

とおっしゃっていたことを思い出します。


今日はこの空襲で亡くなった方の慰霊碑がある法泉寺(土浦市大岩田)で

慰霊祭がありましたので、

参列された元予科練の皆さんがご来館くださり、思い出話に花を咲かせていらっしゃる

ようでした。


当館のあるあたりも、空襲によって凄まじい様相を呈していたと思われます。

現在ののどかな風景から想像することは難しいのですが、しかしその地層は確実に、

今見えている景色の下にあるのだと思います。



裏手のハス田からは、新しい葉っぱが水面からにゅっと

顔を出していました。



近くにはシロツメクサの花がかわいらしく咲いています。



記念館が映し出す空が、いつまでも穏やかなものであってほしいと思いながら

自分の机に戻りました。